【相対する意向の実害を食らう】
18年前の話
その頃のご時世はまだ『お腹をいためて我が子を産む』のが当たり前みたいな風潮があり、無痛分娩なんて以ての外、という声もよく聞かれた時代でした
私自身は産み方に対して特に思い入れはなく、とにかく無事でこの世に出せたらそれで結構、という考え方です、安全であればどういう産み方であっても中身が変わるわけでもなし
第一子はいわゆる自然分娩で、第二子は計画分娩を希望していました
がっつり年子で同じ学年になるやもしれんという可能性もあり、学年は分けて産みたかったので結構慎重になっていたと思います
よちよち歩きの第一子を抱えて新生児を迎えるとなると出来るだけ家族の手が多い時期に退院したいというところから、長期休暇の前に入院中&出産したいという計画分娩
『計画分娩されるなら無痛分娩にしましょう、産後の体力も残せますよ』
という医者の説明を受け、パンフレットをもらったものの、麻酔とか子どもにどんな影響が出るのか、その後の母乳は大丈夫なのか等疑問があったため、パンフレットを熟読し、PCで調べたり、本を買ったり
確かに産後体力残しておけるのはありがたいし、異常がなければ入院4日で済ませられる
麻酔も以前盲腸の手術で受けたことがある麻酔だし、胎児にも母乳にも影響はなさそうだ
お返事くださいね、のギリギリまで考えて、よし無痛分娩やってみよう!と覚悟を決めました
まぁ冒頭に書いたようにお腹をいためて産まないと愛情わかないんじゃないの?麻酔使って産むなんて、みたいな発言をがっつり同居の義母にされ、いやいやあなた帝王切開ですよね、と思いながらも、義母は同時期に同じく帝王切開で出産予定の義妹のお世話に行くことが決まっていたので、『子どもらの世話だけだったらいいんですけどね、お義父さんとパパの世話もしないといけないんで体力残しときたいんです』て笑顔で返しておきました
未だに義母のこの発言は解せない、帝王切開も麻酔使うやん
そろりそろりと過ごしなんとか同学年でなくなる日を迎え、出産予定日の前日、自分で車を運転しひとりでひっそり入院
無痛分娩の最終説明を受け、明日に備えて準備し早めに就寝しました
無痛分娩当日
最終説明の通り、エビのごとく丸くなって1回目の麻酔を入れ、陣痛誘発剤(促進剤やったかな)を入れ、痛くなりそうになったらナースコールを押してくださいね、担当の看護師が来ますんで、といって医者は外来診察に行きました
担当の看護師さんは私の専属?になるそうで、基本すぐ近くのナースセンターにいる、と告げられました
その後すぐに『担当の田中(仮名)です』と看護師がやってきました
そして驚愕の一言
『麻酔は体に悪いので自然分娩にしましょう、頑張りましょう若いんだし』
ええええええええええええええ麻酔体に悪いのおおおおおおおおもう1回入れてしもたやんんんんんんんどーゆーことおおおおおおおおおお
さらに驚愕
『麻酔なんか使って楽して産んだら子どもかわいく思われへんよ〜私業務に戻るからなんかあったらナースコール押して〜』
体に悪い麻酔を入れた私を置いてあなたはゆくのね田中さんんんんんんんん
つか医者と看護師で言うこと真逆やんんんんんん
まぁあとは自然分娩の流れと同じなので省略するとして←
一気に不安が襲ってきたのはいうまでもありません
調べたとはいっても私は医療関係者じゃないし、知識と経験豊富な看護師が体に悪いと言っている
もはや軽くパニックになりながら、きちんとくる陣痛とひとりで戦っておりました
最終説明では10時頃にもう1回麻酔をしてそこから陣痛の進み具合と相談しながら合計3回麻酔をする予定だったので、10時にきっと医者が来るだろう、その時に聞こう、ちゃんと確認しようと思いながら時刻は13時半
誰も来ない
来たといえばお仕事を半休して旦那が病院に来てくれたくらいで、医者はおろか田中さんも来ない
『無痛分娩のはずじゃなかったの?』
『うー』
『麻酔効いてないんじゃないの?!』
『痛い』
旦那がスチャッと立ち上がりナースコールを押しました
しばらーくして田中さんが口をもぐもぐさせながらやってきました、お前昼飯食うとんな
『どー?陣痛進んでる?』
旦那が医者を呼んでください、とわりとぴしゃっと言ったのですが田中さんが
『子宮口開いてなかったら二度手間になるから確認してから先生呼びますね』
といって陣痛のピークをこらえている私に向かって『ほら仰向けにならんと診られへんよ!』とベッドの柵を掴んで固まってる私のお尻をぺちぺち叩きました、田中ふざけんなよ
陣痛と陣痛の合間に仰向けになり、子宮口を確認してもらった結果、全開大
田中さん内線電話で医者を呼びました、内線電話あったんか…自分でかければ良かった…
さらに医者から驚愕の怒号が
『なんで痛みを我慢するんですか!!!!無痛分娩の意味ないでしょ!!!!』
…田中に聞いて、田中に笑
説明する気力もないしそれどころじゃない笑
医者は慌てて麻酔を入れてましたが出産の痛みはまともにあって、会陰切開を縫合する時ぜーんぜん痛くなかったです
出産が無事終わり、冷静になったところで出産費用のうちの麻酔部分を払いません、と医者に伝えたところ、ご自分の意思で麻酔をされなかったのだから云々と言い出したので、確かに私にも落ち度があるが田中の所業を聞いてから判断してくれまいかと
で
『申し訳ございませんんんんんんんん』
という陳謝と、麻酔の内訳を説明してもらい、使う予定だった麻酔の分だけ差し引かせていただきます、ということで話はつきました
後々改めてお詫びをとのことで経緯説明を伺ったところ、田中はそこの病院に来たての看護師で知識と経験は豊富だけれど無痛分娩に関しての知識が浅かったと
なので勉強も兼ねて私の分娩を通して学ぶ予定だったそうです、こんなはっきりとは言うてなかったけど要はそういうことね、という
母子ともに健康で済んだから良かったもののなにかあったら大変なことでしたねぇ、いやぁそれにしても田中のあの感じは無痛分娩じゃなくてもあかんと思いまっせ、あはは、で終わらせました
そんなんで揉めてる場合じゃない、手のかかる1歳と新生児と義父と旦那が待っている
※無痛分娩の段取りや麻酔の回数等かなりうろ覚えです
あれから18年
産み方がどうであれ、我が子ほど腹のたつものはないし、憎たらしいものはないし、心配なものはないし、かけがえのないものはありません
18年も経てば話のネタにしかならんよーなもんです、18年前の私に言ってやりたい、悩まんでもええ、我が子はどないあがいてもかわいい、田中には気をつけろと
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