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「鬼滅の刃」ブームの雑誌への影響

鬼滅の刃のキャラクターを表紙に据えた雑誌が大ヒット!

「鬼滅の刃」の映画の爆進が止まらない!興行収入も100億超えだとか!すごいですね!!恥ずかしながら昭和生まれの自分はマンガを読んだこともなく、独身子供なしの自分は今のところ映画を見に行く予定もなく、、、でもこれだけの社会現象だからマンガか映画、どっちかには手を出しておきたいところ。社会勉強としてね。

ヒットの背景とかそんなことは一旦置いておくとして、実は鬼滅の刃を連載していた週刊少年ジャンプだけではなく、他の雑誌にも少なからず影響がありました。

鬼滅の刃のキャラクターを表紙に据えた「anan」(マガジンハウス)が大ヒットしたらしい。(羨ましい)「anan」はしばしば表紙でヒットを誘いますよね。横浜流星を表紙にしたりジャニーズタレントを表紙にしたり。しかも半裸とかで。

因みに余談ですが、ジャニーズのタレントさんを表紙にするとジャンル関係なく雑誌は売れます。←これホントにビックリしますが事実です。

話をマンガに戻して、実はこの手の事例、以前にもありました。もう6年も前なのかと驚きつつ、

2014年に「進撃の巨人」が大ヒットした時に「FRAU」(講談社)がマンガ内の人気キャラクターのリヴァイ兵長を表紙にしたことで大ヒット!!(これまた羨ましい)

作品としては鬼滅の刃の方がヒットしたかもしれないが、雑誌業界内での成功事例としては全くと言っていいほど同じパターン。当時自分が担当している雑誌の表紙にも進撃の巨人のキャラクターを使おうと編集長に進言したくらい。。。

まぁとにかく雑誌がそんなにも売れてくれたら版元である雑誌の出版社は万々歳!!ただ、雑誌の広告営業をしている自分の目線でちょっと違った見解を。

大ヒット雑誌の広告主の反応はどうだったのか?

皆さんもご存知の通り、雑誌の売り上げは皆さんが雑誌を買った「誌代売上」と広告主さんから集めた「広告売上」の2つの柱で成り立っています。(細かいことを言えば、コラボグッズの売上とかイベント収益とか色々ありますが省略します)

一番大きいのはやはり誌代売上。つまり雑誌が売れてくれれば大儲けというお話。分かりやすい!しかし広告に関しては、雑誌が売れたのは結果論で、雑誌が世に出る前に売り上げが確定しているので特に関係なし。雑誌が売れたから広告料を上げるみたいな仕組みももちろんなし。では、大ヒットした雑誌の次の号に広告がたくさん集まるのか?もしかしたらほんの少し影響はあるかもしれないが、これまたほとんど影響はないと思われる。

1つ例を挙げると、野球雑誌の広告を見ていると野球をする人、スポーツをする人を対象にした広告が多数。当然のことである。野球用品やスポーツウェア、プロテインなどが多いだろうか。それは読者にターゲット絞って広告主も広告を出しているから。では、野球雑誌の表紙に鬼滅の刃のキャラクターが野球のユニフォームを着て登場したとして、、、その本がたくさん売れたとして、、、鬼滅の刃ファンという立場でその本を買った人が果たして野球用品の広告を見てグローブやバットを買うだろうか?もちろんその野球用品は一切鬼滅の刃コラボ商品などではない。

というのが広告的見解。

先に挙げた「anan」や「FRAU」はどちらも20代~30代の女性向けファッションやカルチャー、ライフスタイルを訴求する雑誌。すべてをチェックしたわけではないが普通に考えれば20代~30代の女性をターゲットにしたファッションやカルチャー、ライフスタイルにまつわる商品の広告がほとんどじゃないかと。そういう広告主さん的にはマンガ、アニメのキャラクターでヒットした雑誌の効果ってほぼないはず。もちろんほんのちょっとはあると思うけど。例外として雑誌のジャンルやターゲットを選ばずよく目にする「パワーストーン」や「結婚相談所」みたいな広告はもしかしたら他の広告よりは反響があったかもね。でも出版社側の本音としてはその手の広告って雑誌の品格が落ちるからホントは入れたくないんですよね。(その辺はまたいつか別の機会にお話しできればと思ってます)

広告主目線で言うと「雑誌が売れてよかったね!」と言ってくれる広告主さんももちろんいるでしょう。ただ、「雑誌があんなに売れたのに広告の反響はあんまり変わらなかったよ」という少しネガティブな意見も多かったはず。もちろんそれは雑誌への期待の表れなので、しょうがないですよね。広告主さんも自分が広告を出した雑誌は売れて欲しい。でも、それは読者にスポットを当てた面白い企画が刺さった結果として売れて欲しいのです。じゃないと広告商品のターゲットとなる読者が増えないから。先の野球雑誌の例で考えてもらえればご理解いただけるかと。

つまり、雑誌自体の知名度を上げたり誌代売上を稼ぐという意味ではどんな手段であれ雑誌が大ヒットしたというのは素晴らしいこと。でも長い目で見た時に誌代売上にも広告売上にもそんなに影響しないというのがホントのトコロ。

だって、あんなに話題になったのに、「FRAU」の表紙がリヴァイ兵長だったってみんな忘れてるでしょ笑

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