AI時代に仕事がなくなるって?違います「生まれ変わる」の間違いです
皆さん初めましてこんにちはこんばんは。スウェーデン在住のエンジニア、Harry(ハリー) ( https://twitter.com/harrythecode )と申します。
専門はクラウドとセキュリティで、サブでは生成AIに関するウェブアプリケーションでのフルスタックエンジニアとして上流から下流(要件定義から保守運用/LLMOps)まで幅広く経験してたりします。
本題です。皆さんは「AIによってなくなる仕事」と不安に煽られてませんか。
それでSNSのAIインフルエンサーが出す「AI人材育成講座」のようなものに高い授業料を払ったりして「本当にこれで大丈夫なのかなぁ」と思われてませんか。
そんな「AIに仕事を奪われるかもしれない、どうすれば良いかわからない」と思っている方に向けて本記事を書いています。
結論から言うと「仕事がなくなる」ではなく「仕事が生まれ変わる」の方が正しい表現です。こちらは歴史、現代の流れに沿ってお話していきます。
歴史は必ず繰り返す
AIの登場で変わる事
AIと共存する未来
歴史は必ず繰り返す
AIのお話をする前に今みなさんに関係する時代まで遡って、効率化とお仕事の関係について歴史を見ていきましょう。
パソコンの歴史
今みなさんが当たり前に持っているスマートホンを見てください。これ自体が普及したのは2010年以降で、まだ登場から10年も経っていません。
そして今からさらに60年前にさかのぼると、今みなさんが持っているスマートフォンと同じものを再現しようとするとどうなるか。
答えは「できない」が正解です。
下の画像は、日本で初めて作られたコンピュータ「FUJIC」で、今から60年前ほどの1956年に完成しました。
そしてこんなお話が残されてます。
あれれ人手でやっていた1000~2000倍の効率が上がったのにリストラが起きなかったそうです。
つい最近あったMS Igniteを見た方の感想です。
1日8時間労働で平日20日と計算すると「9600倍の効率」が上がるんですかね。
ちなみに60年前の時から今のテクノロジーを考えると1万倍以上の効率が様々な分野で起きています。人間の仕事は無くなってますかね?そんなことはありません。
家電製品の歴史
もっと日常生活に目を向けて「テレビ、洗濯機、冷蔵庫」を例にあげましょう。
今生きてる世代の人からするとあって当たり前、ですが、これは同じく60年前は「三種の神器^2」と呼ばれ、時間革命が起こりました。
今の時代に洗濯物を手洗いする、なんて日常は日本では見かけませんが、海外の発展途上の国では普通です。
ちなみに、大昔の専業主婦は1日「12時間労働」で365日休まず働いていたそうです。^3
こんなのを会社でやらされたらブラック企業、の騒ぎどころじゃありませんよね。
効率化されても人は誰かにお願いする
でも今の現代を見てみると「ボタンぽちっ」で誰でも簡単に洗濯ができちゃいます。掃除もルンバがあれば簡単ですよね。
そんなに効率化された現代でも「家事代行」を頼む人は出てきます。オフィスに関しては必ず「清掃員」がきてますよね。
どんなに仕事が効率化されて楽になったとしても「誰か代わりにやってくれる」を求める人は多いです。
食べ物だってそうです。コンビニのお弁当もおにぎりも、機械やAIのおかげで効率化が進み、低コストで美味しいご飯が食べられるのです。
じゃあパソコンの世界に閉じたAIがめちゃくちゃ発展する、と言っても「作業が面倒」と言う理由で誰かに「AIを使って仕事をしてもらう」人だって出てくる訳です。
AIの登場で変わる事
「歴史は分かった、けどAIの登場で何がどうなるか知りたい」と思う事でしょう。こちらは実際の業務をいくつか例にとってみましょう。
以下に出す事例はあくまでも「エンジニア目線で実際に起こり得ること」を述べています。
エンジニア業務
今まで1ヶ月かけて全体の5%の仕事効率だったが、AIのおかげで1週間で50%の仕事効率になった。
リファクタリング、テストコードに割く時間が1ヶ月かけても終わらなかったのが1週間、はたまた2,3日で終わるようになった
新しい機能の開発スピードが従来の10倍以上に効率化された(1週間->1日)
ボクもエンジニアだからこそ分かるのですが、現時点の技術やツールを使うと、今までかけていた時間の単位が1つ減るレベルの効率化が起こっています。この現象はさらに加速すると考えられますが、1つ言っておかないといけないことがあります。
「AIで生成したコードを誰が面倒見るんだい」と。
結局人が作ったものは人が管理する必要があります。なので今まで大規模に人員を当てていたプロジェクトで少人数でPDCAサイクルを回す、と言ったような事象は多く起こりえます。
開発してもその後に「運用、保守」も必ず必要です。システムを作りっぱなしで終えるのは絶対にあり得ません。そんなことにお金をかけても無駄です。
オフィス事務
今までExcel, Wordなどで作成していた資料を印刷して手作業でやっていた業務がAIで自動化された。
非効率的だった作業がAIによって半自動化が行われ、従来の半分以上の時間で作業が終わるようになった。
上記のような事例はたくさん現れるかと思います。また実際に企業レベルでChatGPTの技術を活用した事例を紹介します。
今までシステムを構築してドキュメント作成などをしてきましたが、これらも全てAIによって効率化されますね。
ただみなさん忘れてるのが「誰がそのドキュメントを更新するの」です。
AIが人間の感情、行動、言動を全て抜き取って、自動でドキュメントを書き換えてくれますでしょうか。どんな情報を入れれば良いのか「取捨選択する人」が必ず必要になります。
AIと共存する未来
ボクの言いたいことは以下の2つです。
AIを使うスキル(例えば、文章を読んで理解してAIに分かりやすく伝える国語力)はもちろん伸ばしていって損はありません。ただその先には「人がいる」と言う事実を忘れてはいけません。
技術や効率化だけを追い求めて「AIでカッコいいことをしたい」と言うのは分かりますが、じゃあ実際の業務を理解した上で「人に寄り添った提案」をしていく必要があります。
ここをきちんと理解して皆さんも情報を取捨選択していくスキルが求められます。
「便利、すごい、やばい」の言葉だけでAIを説明するのはナンセンスです。実際に数字で具体的にどう変わるのか、ここをきちんと抑えないとAIを一時的に試しても、長期的には使えません。
最後に
いかがでしたでしょうか。今この記事を最後まで読まれている方はかなり情報リテラシの高い方だと思います。
そんなあなたに最後の言葉が以下の通りです。
今あるAIは決してドラえもんのように全ての悩みを解決してくれる万能なものではありません。ただし、実際に一部業務では今まででは考えられないような効率化が起きているのも事実です。
この効率化の現象は時間と共に様々な分野で見られることになります。
本記事で語った内容はボクの考えの一部にしか過ぎないので間違っている部分があるかもしれません。ただ、歴史は語ります。
それをきちんと理解した上で今後のAIとの付き合い方についてもう1度学び直す必要はボクも含めてあるのかもしれません。
本記事の感想などはX(Twitter)のDMやコメント欄などでお受けしております。
https://twitter.com/harrythecode
では、また。