「KATインターン×ヒマラボ成果発表会」を振り返る その2
福岡で組織開発支援の会社を経営している池田治彦です。
前の振り返り記事が長くなったので後半です。
後半はヒマラボの発表で、僕も発表したので主にそれを。
再掲ですが主宰者の福岡大学商学部森田泰暢先生「ヒマラボ」について。
あと、研究員の阿部君の記事。
「ヒマラボ」という社会人・学生混成の研究的コミュニティを立ち上げた
http://domino613.hateblo.jp/entry/20180404/1522847163
「体験型謎解きゲームにおける問題の分類と製作について」
http://chitabea.hateblo.jp/entry/2019/02/25/132525
強い部活って何なの
ヒマラボ研究員のフチガミ君(4年生)が、
「ずっと空手やってきたけど、強い部活って何なの」ということで、大学選手権で優勝するような部活についての論文を読んだり、自分なりに空手で強い大学について調べて卒論を書いたらしく、研究内容を発表してくれました。
これってプロスポーツチームが何で強いのか、という話に通じるような気がしていて、「要は(金に物を言わせて)強い選手集めればいいんじゃね?」という結論に行きがちなわけですが。
これって映画『マネーボール』を彷彿とさせるところがあって。実在ケースとして題材になったように、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーンが、大学教授などが開発したシステムを使って、ベテランエージェントやプロスカウトが自身の目や勘では見抜けない選手の能力や特質を導き出し、注目されていなかった選手を活用して他のチームを圧倒し、優秀な成績を残した話が有名です。つまり、選手獲得の予算は少なくても、やりようによっては十分勝てるという話かな、と(その後、ヤンキースなどの強豪がやはり同じ手法にお金をかけてパワーバランスを覆す残酷な話ではあります)。
面白かったのは、強い選手を集めても「信頼関係」がやはり重要と結論づけていたことでした。部活動はメンバーが毎年入れ替わるわけで、その中でどう結果を残していくかは大きな課題で、「信頼関係」をどう構築するか、その仕組みを備えている所が強いチームを作る一歩が踏み出せるわけですね。具体的なアプローチは論文ではわからないということでしたが、この辺りは部活動の顧問/トップの力量によるのかもしれません。(会社も同じかもね)
妖怪について
前半の記事に出てきたぽむさんによる発表。
ぽむさんは経済学部なのですが、なぜ卒論で「妖怪」を取り扱ったのでしょうか。僕に聞かないでください。
印象的だったのは、妖怪が出てきた時に日本人は「駆除する」とか「消す」とかを考えずに、もてなしたり、崇めたりして、満足して妖怪に帰ってもらう、ということを伝統的に行ってきたということでした。
確かになぁ、と。福岡ならではの話題で、自分を左遷した奴らに雷を落として殺した菅原道真の話とか、面白かったですね。
妖怪の伝承について、ホモサピエンスならではの「虚構」を信じられる能力を利用した構造があるのも面白かったです。
ぽむさんプレゼンうまいわ。感心する。
そしきかいはつコンサルが インターンせいを ちーむびるでぃんぐした
最後に僕の発表です。
KATインターンのマネジメント舞台裏について、僕が何を考えてやっているかを明かしました。
当たり前ですがドラクエ風です。当然パワーポイントです(笑)
このシーンでは最高瞬間視聴率を記録(一番盛り上がったかな)。
KATは初期トレーニングを行った後に実際に仕事に取り組んでもらいますし、基本的にメンバーに任せるわけですがその辺りの背景を説明しました。
使用理論・手法についてはまとめスライドがないのでここに箇条書きします。
・アドラー心理学
・EQ(Emotional Quotient)
・職務設計理論
・RJP(Realistic Job Preview)
・ノーレイティング
・組織文化
組織文化については実際にサーベイを行い、僕が「やってるつもり」と、みんなが「どう感じているか」について調べました。この辺りはヒマラボの研究的思考の成果です。
一つ言えることは、組織のトップ/主宰者が「こうしたい」という思いをもとに自身の態度を形成し、施策を打てば、組織メンバーもそのように実感するということです。
組織のトップ候補者や、トップその人が組織マネジメントについて体系的に学ぶ事の有用性は、まさしくここにあると言えます。
この後、KATの構想について語り、終えました。
世の中は、やれ理念だビジョンだパーパス(目的)だと騒いでいますが、僕はそんなことより、理念なりビジョンなり目的なりについて、具体的にメンバーの行動や考え方に影響を与えられるように日常的に具現化することだと思います。「言考行動一致」ということですね。
実際、KATメンバーには「これが理想だ!」「これが善だ!」みたいな洗脳的なことを言ったことはありません。が、メンバー各自それぞれ考えて、「こういうのがいいみたい」と自分で答えに辿り着いてることが重要だし、実際に成果を残していることがもう十分すぎるほどかと思ってます。
そして、ドラクエ風のプレゼンは割とウケたようで何よりでした。
ヒマラボ発表 ~エンプロイヤー・ブランディングについて
続いて、僕がヒマラボで追い掛けているテーマについて発表しました。
テーマは「エンプロイヤー・ブランディング」についてです。語ると長くなるのでスライド貼っておきます。
「エンプロイヤー・ブランディング」について、色々な事が進んだのもヒマラボに参加したおかげです。僕は研究はできないけど、研究的なことはやれそうだから、やって良かったなと思ってます。
まとめ
語りきれないこともたくさんあるわけですが、書こう書こうと思ってなかなか時間が取れず、ようやく書けました。満足。
正直、KATメンバーを採用できる企業はラッキーだと思います。みんな感心するほどよくやってますから。もちろん、卒業時には「KATのやり方はいったん全部忘れてね」と言ってます。組織のプロだからこそ言えることかなと(自画自賛)。
ここで紹介した僕のマネジメント手法や根本的な考え方については、いつか企業の人たちに共有してみたいなと思っています(ドラクエ風にするかどうかは別として)。
来年はもっと良くしたいですね。進化必要。