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昼間だけど夜逃げ計画・7


そして、3カ月後

目当ての物件が見つかった後は、ひたすら仕事をして資金を貯めました。
身の回りの整理を少しずつ進め
スケジュールを調整しました。

子どもたちにも説明し
心の整理をするにも
ちょうど良い時間だったと思います。

そして3カ月後に、再度Aさんのいる不動産屋を訪ねました。

幸運にもあの時の部屋が空いていたので(ボロだし人気もない物件なのだと思いますが)
即日に内見し、契約することができました。

最悪、物件が空いていなくても
この不動産屋さんなら別の部屋を探してくれる。
という信頼感が強くあり、
不安はまったくありませんでした。

なにしろ
引っ越しに必要な準備はほぼ整っていたので、
日取りがズレることは問題なかったのです。

感情にフタをする

契約前に内見に行きました。

私たち以外誰もいない場所では
Aさんはご自身の実体験も交えて
色々と話してくれました。

不特定多数の人がいる場所では決して話せない内容だったので、
私も堰を切ったように事情を話しました。

聞けばAさんは女手一つで
お子さんを育て
つい最近自立されたそうです。

昔のご自分の姿に私が重なったのかもしれません。
多くを語らずとも親身に対応してくれたことも納得できました。

私の引っ越しは、極秘にする必要があり、
子どもの友人関係はもちろん
私の友人にもほとんど打ち明けていませんでした。

夫にバレようものなら、
(大袈裟と思われるかもしれませんが)
殺されかねない状況でした。
自暴自棄になり、
夜中に火をつけるのでは?
寝込みに首をしめられるのでは?

そんなことに怯えながら
非常にピリピリした心情で日々を過ごしていました。

今の自分の状況を
こんなに細かく他人に話したのは初めてでした。

「子どもたちはお母さんの姿をちゃんと見てる。すぐに助けてくれるようになるから、大丈夫。」
Aさんにそう言われた時、
頬に涙がつたいました。

私は自分を強い人間だと思っていました。
こんな計画を企てて、
平然と生活を送っている。
夫にどんな暴言を吐かれても
心を病むことなく、
子どもの前では笑顔でいることができる。

だから、
泣くはずがない。
と思っていました。

涙が次から次へあふれてきて、知らないうちに感情にフタをしていたんだな、と思いました。
=(^.^)=

8につづく


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