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松本泰志さんオンパレード
さいきんの松本泰志さんは、いわば松本泰志のオンパレードだ。過去のいろんな自分をひっぱり出しては、かぶったホコリをはらい、ピカピカに磨きあげてからピッチに披露している。で、おそろしいことにそれが片っ端から効くプレーになるっていうミラクル。ちょっとことしの14番、ひと味違う。
はじめのかれは、1歩引いて仲間を支える黒子になろうとしていた。でも早々に自分のことすらままならないってことに気付かされる。手一杯になって、もはやだれかをささえるどころではなかなった。
今度は一転、たくさん走ることにした。そういって実際に1試合13キロ走れちゃうんだから、そもそものスペックがどうかしている泰志さん。おかげさまでスタメン確保、日本代表にも選ばれた。ただその代表遠征後調子を崩し、結局ゲームから遠ざかってしまう。
お次は年初めのキャンプ、異様なまでにパンプアップして現れた。1対1でなんとかできないとだめだよ、というオーダーにこたえたカタチだっんだとおもう。ただその取り組みもうまくはいかない。ベンチも遠のいた。
その後2軒ほどよそんちにお世話になって帰ってきた松本泰志さんは、あらたな指揮官のもと、ペナ脇侵入専用機にモデルチェンジ。何回も相手の裏に抜け、ペナ脇の常連に。ゲームにもからめるようになった。ただ決定機を決めきれず「松本泰志ここにあり!」とまではいかず。ゲームに出たり出なかったりが続いた。
そしてことし、いまの松本泰志さんである。はじめにオンパレードと書いたけれどまさに松本泰志の集大成。相手チームの鼻先や隙間にスッと入り、ボールを受けて味方をサポート。たくさん走って何回もこぼれ球や相手のパスをかっさらい、強い当たりでボールを守る。ペナ脇に侵入したりしなかったりの駆け引きを仕掛ける。サイドの高い位置に立ったときは、昌平高校の松本泰志をリヴァイバルなんかもしちゃったりなんかして。もう出し惜しみなしの松本泰志っぷり。これまでの歩みをふりかえったうえでその大盤振る舞いを観るもんだから、こちらとしてはやっぱり沁みるものがある。遠回りしたかもだけれど、実りのある回り道をしたんだなあ、泰志さん。
かれはこれからどうなっていくんだろうか。新たな松本泰志が上乗せされるのか、いままでの松本泰志がさらにブラッシュアップされるのか。なんにせよまだまだ変わるはず。できればこのまま、ヴァイオレットカラーのユニフォームを着たままの松本泰志さんの歩みを追いかけられたらうれしい。
ごじせい的にわがままがすぎるか。