「残鐘のエピローグ」
まだ2日か、もう2日か、
僕にはどっちかよく分からないけど。
でもやっぱり、気を抜くと泣いてしまいそうだった昨日までとは違ってこうして文字を綴らなきゃと思えたのだから、たしかに時間は進んでいるんだと思う。
こうやって僕らのいびつな日常は、
少しづつ浸食されていくんだ。
いつかのライブで、
「終わって消えていくのではなく、思い出を一つずつ宝箱にしまってる。」と話した。
夢中で走り抜けた4時間も、
照明が全身に当たった時のあの熱も、
身体が震えるほど大きかった君たちの声も、
散らかして失くしてしまう前に、
ここに閉じ込めてやろうと思うんだ。
でもなにぶん大きくてね。
一人じゃ押し込めそうにないから、
ちょっと手伝ってよね。
最終公演が終わって家に帰ってる最中は、
実感なんてまるでなくて。
「次のライブいつだっけな〜、あぁ、ないのか〜」なんて馬鹿みたいなことを考える余裕だってあったよ。
でも家に着いて、一度深く息を吐いたら、次の瞬間新しい空気とともに現実が一気に流れ込んできて。息はまだ吸いたいのに、ちゃんと呼吸したいのに吸えなかったんだよ、へんだよな。
ライブが終わってからまだ2日なのにさ、変化したことだって早々にあるんだ、残酷だよ。
お風呂上がりに髪を乾かすのが早くなったし、
リュックを背負う時に襟足を巻き込まないように気を付けなくて良くなった。
夜寝る前に喉の薬だって飲まなくて良くなったし、喉の乾燥対策をおざなりにしたって罪悪感がない。
行きつけだった薬局のおばちゃんに「異様に後ろ髪の長い兄ちゃん最近来ないな」って思われちゃうだろうな。ごめんよおばちゃん。
でもだからこそ、これは急いで書かなきゃいけないと思えたんだ。
綺麗事でもなんでもなくこの気持ちや熱って絶対に今しか留まってくれないものだからね。
あの日あの場所で誰といたとか、そういうのは史実として忘れないんだろうけどさ。
起き抜けの緊張感とか、
どこで何食べたとか、
ライブが始まる前の空気の重さとか、
天気とか、肌寒さとか、渋谷駅の雑多とか、
涙がしょっぱかったとか。
あとから思い出そうとしても、思い出せなくなることなんていっぱいあるんだよ。そしてその思い出せなくなる部分ほどその日が特別だった証な気がするんだ。
とか偉そうなこと言ってる僕も、
昨日は一文字も書けなくて、みんなからもらった手紙を読んで、配信映像を観て、ぼーっとしてたら一日が終わってたんだ。
こんなふうに、あっという間に冬が来て、気付いたら遠い場所にいて、うららかな春の日差しにふと絶望するんだ、きっと。
「これはきっとわるいゆめ いつか醒めてしまうもの」なんて歌ったのにさ。
まだしばらく醒めないかも、まぁいいか。
なんて書きながらもやっぱりコーヒーは美味しくてさ。自分の薄情さに嫌気がさすね。
ライブの話にも少し触れようかなと思ったけど、あの日言いたいことは全部言っちゃったし、配信はまだ観れるから今はこれだけ。
あの景色を僕らに見せてくれてありがとう、
4時間ずっと幸せだった。
思い出を全部しまってしまったら、
また殺風景な部屋に戻ってしまうなあ。
なんて考えながら書いてきたけど、
よくよく考えたらまだまだベルのハロとしてやることいっぱいあるんだよな、
明日もメンバーに会うし。
ベルとしては最後の作品となる、
人生初のBlu-ray映像作品。
TOUR FINAL「残鐘のエピローグ」映像盤は特典で分けた2typeがありますが、
ご予算やご都合に合わせて好きな方を選んでください、大切に作りますね。
あ、完全受注生産なのだけは気を付けてね、
申し込み期限は一カ月です。
あと午前3時の環状線(acoustic ver.)の収録。
こちらは君たちから寄せられた願いと、
僕らの想いが合致したから実現したよ。
最後の音作品としてリリースした
『哀愁ロマンチカ』
あの制作に僕らは間違いなく全てを注いだから、午前3時の環状線(acoustic ver.)の収録はわりとギリギリまで皆で悩んだよ。
何かが欠けていたら実現しなかったと思う。
そういうタイミングのものってあるよね。
ちなみにはサブスクなどにも配信しません、
君だけのものにしてよ。
とまぁおそらく来年1月くらいまではなんだかんだメンバーと共に過ごしたりする機会もあったりして、そうして少しずつ痛みがやわらいできた頃、少しずつ会わなくなっていくんだ。
それは決して悪いことではなくて、
必然の変化で、自分が変わらなくたって立ち止まっていたって変わっていくんだ。
季節も、周りの景色も。
それがバンドの解散というもの。
ライブというものがなくなってしまった以上、
生存確認はネット上のみになってしまうかと思いますのでたまには更新する予定ではいます。
が、あくまで予定です。
絶対なんてないもんね。
今はまだ全然、受け止めなければいけないことの多さにTwitterも開けていないんですが、
どうか気長に見張っていてください。
あ、会場に届いたお花など全て僕のカメラフォルダと心に残してあります。
データと記憶の二段構えです、忘れてなんかやらないですよ。
仲良くしてくれたバンドマンの友達や先輩、
慕ってくれた数少ない後輩も。
応援してくれた、支えてくれた関係各所のみなさまがたも。
本当に、どうもありがとうございました。
読んでくれてるかわからないけど。
結構負けず嫌いなので、過ごしてきた時間は、味わった苦悩や葛藤は、悔しさは全部これからの僕の人生の栄養にしてやろうと思います。
そして、受けた恩は返していける人間になれたらいいなと思う。
何度季節通り過ぎても、
忘れることなどできない日々よ。
夢中で駆け抜けた日々よ。僕の愛した日々よ。ルミナ、タイちゃん、明弥、正人、僕の総てだったものよ。本当に、お世話になりました。
宝物をありがとう。
ライブでもお伝えしましたが、叶うなら、これを読んでくれている君たちが、これから先の季節にもベルの楽曲を連れて行ってくれたら本望です。
ベルとして過ごした最後の4ヶ月で全ての曲を歌ったけど、やっぱ良い曲多いもの。
これって親馬鹿なのかな、わからないけど、わかる人にだけ伝わってたらいいや。
それでは、長くなりました。
計画性もなく書き始めたので、物書きにあるまじき散乱した文章になってしまいましたが。
ここで一旦の区切りです。
10月中に書けてよかった。
最後はいつも書いていた言葉を、
願いに変えて。
それではみなさん
またどこかのライブハウスで。
2023.10.31 ベル ハロ
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