『無知の代償』第二話
この作品は、TikTokの高額ギフトを投げられたライバー達への注意喚起として作りました。
過去にもアフィリエイトやFXでお金のあり方に無知なまま、高額なお金を手にした主婦や若者たちが納税忘れで脱税として痛い目をみています。
まぁ、気をつけましょう!ってことで。
こっそりと、この件に目をつけていた税務署の方々にはご迷惑をお掛けします。
何卒、お許しください。
『煌めきの罠』
美月(みづき)は、ネオンに照らされる夜の街を見下ろしながら、部屋の中で新たな自分を探し始めていた。
TikTokライブ配信の中で人気を集めるためには、ただ日常を語るだけでは足りない。
彼女はそれを本能的に感じ取っていた。
「もっと目立たなきゃ。もっと特別でなくちゃ。」
その思いが、次第に美月を新たなステージへと駆り立てていった。
ある日、彼女はいつもより大胆な配信を試みることを決意した。
手に取ったのは人気アニメのヒロインのコスプレ衣装だった。
鮮やかな色彩と体のラインが強調されるデザインに、美月は一瞬ためらいを覚えたが、画面の向こうで待つ視聴者たちの反応を想像すると、その躊躇はすぐに消えた。
彼女は鏡の前で微笑み、唇に深い赤のグロスをひと塗りする。
「これならきっと、もっとたくさんの人が見に来てくれるはず。」
配信が始まると、美月の予感は的中した。
視聴者数は一気に増え、コメント欄は驚きと歓声で埋め尽くされた。
「美月ちゃん、最高!」「こんなコスプレ見たことない!」と、画面に飛び交うコメントに目を通しながら、彼女は心の中で歓喜に震えた。
そして、投げ銭のエフェクトが次々と光り輝き、部屋中に反射して小さな光の粒が踊る。
「これだ…」
美月はその瞬間、何かが弾けるような感覚を覚えた。
その日から、美月の配信はさらなる進化を遂げた。
コスプレだけではなく、視聴者のリクエストに応じて肌を曝け出すこともいとわなくなった。
もちろん、一線は超えないと決めていたが、その境界は曖昧になっていく。
「もう少し大胆でもいいんじゃないか?」と囁く内なる声が彼女を背中から押していた。
視聴者数は増え続け、投げ銭の金額も日々高まった。視聴者たちは美月を「推し」として応援し、彼女の魅力に夢中になっていった。
その一方で、美月自身もその注目に酔いしれていた。ブランドの服、最新のガジェット、豪華な食事。
これまで手の届かなかった世界が、彼女の手の中にあった。
彼女は夜毎、その快楽に溺れていった。
ある晩、特に熱気の高まった配信中に、美月は視聴者からのリクエストに応じて大胆なポーズを取った。
「このくらいなら大丈夫…」
心の中で言い聞かせながらも、スマホ画面に映る自分に一瞬戸惑いを覚えた。
しかし、次の瞬間、画面いっぱいに流れる「スーパーチャット」のエフェクトと投げ銭の金額に、彼女の心は興奮で包まれた。
「これが私の居場所だ。」
彼女はその瞬間、完全に世界に呑まれていた。
しかし、輝きの中で浮かぶ影にも気づかないまま、美月はその夜も画面の向こうで微笑み続けた。
彼女の中に生まれた満たされない渇望が、新たな形で現れることを、まだ知る由もなかった。
#LimitlessCreations
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