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『無知の代償』第五話

この作品は、TikTokの高額ギフトを投げられたライバー達への注意喚起として作りました。
過去にもアフィリエイトやFXでお金のあり方に無知なまま、高額なお金を手にした主婦や若者たちが納税忘れで脱税として痛い目をみています。

まぁ、気をつけましょう!ってことで。

こっそりと、この件に目をつけていた税務署の方々にはご迷惑をお掛けします。
何卒、お許しください。

#LimitlessCreations


『手にした光、消せない影』

美月(みづき)の成功はさらに加速し、彼女の貯金はついに3,000万円を超えていた。
彼女はその額をスマホの画面で確認し、思わず歓喜の声を上げた。
「こんな金額、夢のよう…」彼女の心は達成感と共に高揚し、そのまま部屋の中を駆け回りたい気分だった。
都会の狭いワンルームマンションは、もはや美月の努力と夢の証を抱える宝石箱のように見えた。

その夜、美月は特別なライブを開くことを決意した。視聴者に感謝の意を伝え、さらに自分が手にしたものを共有するためだった。

部屋には新しく購入した豪華な背景セットと、光り輝くLEDライトが設置され、視聴者を魅了する準備は万全だった。
衣装はブランド品で、まるでファッションショーのステージから飛び出してきたような華やかさを持っていた。

「みんな!今日は特別な夜よ。私が今、どれだけ感謝しているか、伝えたくて仕方ないの!」

と、美月は笑顔を浮かべて声を弾ませた。
コメント欄は瞬く間に「美月ちゃん、おめでとう!」「これからも応援するよ!」といったメッセージで埋め尽くされ、投げ銭のアイコンが次々と輝いた。
その光景は、まるで夜空に咲く花火のようで、美月の胸をさらなる喜びで満たした。


ライブ終了後、彼女はワインを開け、一人で祝杯を挙げた。
ソファに沈み込みながら、初めてライブ配信を始めた頃のことを思い出した。

最初は誰も自分を見てくれず、たった数人の視聴者を前に孤独と不安を感じていた日々。
しかし、今や彼女は多くの人々に愛され、成功者として認められている。

「私はここまで来たんだ…」

その実感は、甘く心を満たした。


美月はこれまでの努力を振り返り、自分がどれだけのものを手に入れたかを噛みしめた。

貯金の額はもちろん、新しい家具や高級ブランドのコスメ、贅沢な食事、友人たちとの豪華なパーティー。
彼女の生活は、かつて想像もしなかったような煌めきに包まれていた。

だが、その一方で、美月の心の片隅には消せない影が潜んでいた。

「次は何をすれば、もっと注目を集められるんだろう?」

一度手にした成功は、さらなる期待を生み出し、それに応えるためのプレッシャーとなっていた。夜が深まると、彼女はスマホを見つめ、次のライブの構想を練り始めた。
視聴者を楽しませるためには、常に新しいものを見せなければならない。そう信じ込んでいた。


ワインのグラスを傾けると、窓の外に映る自分の姿が見えた。
笑顔でワインを手にする美月の背後に、都会の光が彼女を包み込んでいたが、その奥には深い闇も感じられた。
光と影の境目で揺れる自分を感じながら、彼女は心の中で誓った。

『これからも、私はもっと輝く存在になってみせる。』

その言葉と共に、美月は再びスマホの画面に目を戻し、視聴者に見せるべき次の自分を探し続けた。


#LimitlessCreations


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