『無知の代償』第三話
この作品は、TikTokの高額ギフトを投げられたライバー達への注意喚起として作りました。
過去にもアフィリエイトやFXでお金のあり方に無知なまま、高額なお金を手にした主婦や若者たちが納税忘れで脱税として痛い目をみています。
まぁ、気をつけましょう!ってことで。
こっそりと、この件に目をつけていた税務署の方々にはご迷惑をお掛けします。
何卒、お許しください。
#LimitlessCreations
『頂点への渇望』
美月(みづき)は、冷たい夜風を感じながら窓辺に立っていた。
都会のネオンが彼女の瞳に映り込み、まるで彼女自身がその光の一部となっているかのように感じられた。
ここ数ヶ月で、彼女のフォロワー数は急激に増加し、ライブ配信の同時接続者数(同接)も3,000人を超えるようになっていた。
彼女は、かつてアパレル店員だった自分が、今や多くの人々に愛される存在となったことに酔いしれていた。
「美月ちゃん、次のライブはいつ?」「早くまた見たい!」と、ファンたちの声がSNSで溢れ、彼女のスマホは一日中鳴り続けていた。
美月はその通知を見るたびに、胸が高鳴るのを感じていた。
そんな中、ある夜、美月に転機が訪れた。
TikTokのトップ配信者の一人からダイレクトメッセージが届いたのだ。
「美月ちゃん、次回のライブバトルに参加しない?」
それは、彼女が憧れと恐れを抱いていたTikTok四天王の一人、煌(きらめき)からの誘いだった。四天王とは、TikTok界で圧倒的な人気を誇るトップ4の配信者たちで、ライブバトルで名を馳せ、その圧倒的な存在感で視聴者を虜にしていた。
心臓が跳ねるような興奮と不安が同時に押し寄せてきたが、美月はすぐに返信を打ち込んだ。
「もちろん!参加させてください!」
この瞬間、彼女の中で新たな火が燃え上がった。「もっと、もっと上へ――」その渇望が彼女を突き動かしていた。
ライブバトルの当日、彼女は自信を持って配信スペースに立った。
背景には新しく購入した特注のLEDライトが輝き、コスプレ衣装は視聴者が見たこともないほど豪華なものを用意した。
スマホのカウントダウンがゼロを示すと同時に、美月の画面は一気にコメントと投げ銭で溢れ返った。
「美月ちゃん、頑張れ!」「絶対勝って!」と、視聴者の声援が彼女を背中から押してくれた。
バトルが始まると、煌をはじめとした四天王たちが次々と圧倒的なパフォーマンスを披露した。
投げ銭の額も跳ね上がり、視聴者の熱気は画面を超えて伝わってくるようだった。
美月は一瞬、彼らの存在感に圧倒されそうになったが、自分を奮い立たせた。
「ここで引いたら終わりだ。」
「みんな!今夜は特別なパフォーマンスを見せるから、絶対に最後まで見てね!」
美月は声を張り上げ、自分の持つすべての魅力を解き放った。
大胆なダンスパフォーマンス、視聴者との緻密なやりとり、そしてとっておきのサプライズ企画――それが功を奏し、視聴者数はさらに増加し、ついに3,500人を超えた。
美月の胸にはかつてないほどの高揚感が渦巻いていた。
ライブバトルは無事に終わり、美月は煌から
「いいバトルだったね。また一緒にやろう」とメッセージを受け取った。
興奮で震える手でスマホを握りしめ、美月は窓の外の夜空を見上げた。
「私はここまで来たんだ…」と、彼女の目には涙が滲んでいた。
しかし、その高揚感の裏に潜む不安や焦燥感も確かに存在していた。
誰もが認める「美月」という存在になった今、もう後戻りはできなかった。
彼女はもっと注目を浴びること、もっと愛されることを求めて、さらに深い世界へと踏み込んでいった。
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