『無知の代償』第六話
この作品は、TikTokの高額ギフトを投げられたライバー達への注意喚起として作りました。
過去にもアフィリエイトやFXでお金のあり方に無知なまま、高額なお金を手にした主婦や若者たちが納税忘れで脱税として痛い目をみています。
まぁ、気をつけましょう!ってことで。
こっそりと、この件に目をつけていた税務署の方々にはご迷惑をお掛けします。
何卒、お許しください。
#LimitlessCreations
『迫り来る現実』
美月(みづき)は、自らの成功を象徴するように光り輝く日々を送っていた。
フォロワー数は日増しに増え、視聴者は彼女のライブを心待ちにしていた。
貯金額も3,000万円を超え、心の中には高揚感が溢れていた。
しかし、その喜びの裏側には、見えない影が静かに迫っていた。
ある朝、美月はスマホを手に取ってSNSをチェックしていた。
視聴者たちからのメッセージは相変わらず溢れていたが、その中に一つのメッセージが目に止まった。
「美月ちゃん、税金ってどうしてるの?」
その言葉はまるで冷たい刃のように胸に刺さった。
思わず息を止めてしまい、心臓が不安にドキドキと鼓動した。
『税金...そういえば、全然考えてなかった。』
心の中で美月は呟いた。
これまで、視聴者の応援と投げ銭で得た収益に夢中になり、そのことを見て見ぬふりをしてきた。ライブでの投げ銭や収益は、日々の生活を華やかにし、欲望を満たしてくれたが、その裏にある「税金」という現実には目を向けることなく過ごしていた。
心配が胸を締め付け、スマホで「ライブ配信 投げ銭 税金」と検索し始めた。
検索結果には、多くの税務に関する情報が並んでいた。
「申告漏れ」「追徴課税」「罰金」という言葉が次々と目に飛び込んできて、美月は冷や汗をかいた。「まさか…私も?」
心臓が高鳴り、手が震え始めた。
その夜、美月は普段の高揚感とは違う感情に支配されながら配信を始めた。
視聴者数は相変わらず高く、投げ銭のアイコンが輝きながら飛び交っていたが、美月の心には重く暗い影が差し込んでいた。
いつものように明るく振る舞うものの、心の中には不安が渦巻いていた。
「私がやってきたことは、本当に大丈夫だったんだろうか…?」
ライブ終了後、美月は何もせずにソファに座り込み、頭を抱えた。
視聴者の愛と応援は、彼女にとって何よりの支えだったが、それと同時に、背負うべき責任があることを痛感させられた。
『私には、これを無視していきていくことはできない...』
その言葉が心の中で響き、美月は決意した。
次の日、税理士に相談し、現実と向き合うことを決めたのだ。
税理士のオフィスは、街の片隅にひっそりと佇んでいた。
初めて訪れるその場所で、美月は冷たい手のひらを握り締めて緊張を抑えた。
『初めまして、吉田先生。今日は私の配信の収入について相談したくて...』
と小さな声で切り出した。
税理士の吉田は穏やかに頷きながら、「まずは全ての収入を明らかにして、申告の準備を始めましょう」と話した。
その日から、美月は自分の過去の収益を整理し、税金の計算を始める日々が続いた。
見たことのないほどの額を目の当たりにし、その重さに息を呑むこともあった。
しかし、その一つ一つを向き合うことで、彼女は少しずつ自分自身に責任を持つ感覚を取り戻していった。
#LimitlessCreations