『無知の代償』第七話
この作品は、TikTokの高額ギフトを投げられたライバー達への注意喚起として作りました。
過去にもアフィリエイトやFXでお金のあり方に無知なまま、高額なお金を手にした主婦や若者たちが納税忘れで脱税として痛い目をみています。
まぁ、気をつけましょう!ってことで。
こっそりと、この件に目をつけていた税務署の方々にはご迷惑をお掛けします。
何卒、お許しください。
#LimitlessCreations
『再生への一歩』
美月(みづき)は、税理士の吉田との会話を通じて、自分の過去の収益を整理し、現実に向き合うことの重さを初めて実感していた。
日々のライブ配信で得た輝かしい収益の裏側に、見過ごしてきた課題が積み上がっていたことを、痛烈に思い知ったのだ。
「税金の総額は、追徴課税を含めるとこれくらいになります。」
吉田が提示した紙には、膨大な金額が記されていた。
額面を見た瞬間、心臓が止まりそうになった。
「こんなにも…」
美月の手は震え、涙が目に滲んだ。
自分の無知と無責任さに、怒りと後悔が押し寄せてきた。
しかし、その日、美月は一つの決意を胸に抱いて帰路についた。
「もう逃げない。これからは、自分のやったことに責任を持って生きていく。」
そう心に誓い、これまでのように見栄や虚勢だけで突き進む自分を変えようとした。
数日後、美月は久しぶりにライブ配信を再開することにした。
視聴者は「美月ちゃん、元気だった?」「ずっと待ってたよ!」と、彼女の復帰を喜ぶ声を送ってくれた。
彼女は、これまでと違う、少し控えめで真摯な笑顔を見せながら話し始めた。
「みんな、今日は大事なお話があるの。」
いつもよりゆったりとした口調で、美月は視聴者に向き合った。
「これまでたくさんの応援をもらってきて、本当に感謝してる。でも、その中で私自身が見過ごしてきたことがあったんだ。」
視聴者たちは静かに聞き入り、コメント欄も一時的に落ち着きを見せた。
「正直に言うと、私は配信の収益に関する税金について何も考えずにいた。
それは無知で無責任なことだった。
今は、それに向き合っている最中です。」
美月の言葉に、視聴者の間で様々な反応があった。「そういうことだったんだね」「これからも応援するよ」と、彼女を理解しようとする声が多く寄せられた。
配信後、美月は思わず涙を流した。
これまでとは違う涙だった。
自分の過ちを受け入れ、視聴者に正直に向き合うことで、胸に重くのしかかっていたものが少し軽くなったように感じた。
その後の美月の配信は、以前よりもシンプルで、飾らないものになっていった。
過激な演出や贅沢なアイテムに頼らず、視聴者との純粋なコミュニケーションを大切にすることを心がけた。
収益は一時的に減ったが、彼女にとってそれはもはや重要ではなかった。
視聴者はそんな美月を理解し、少しずつ新しい形で彼女を支えるようになっていった。
税務署との話し合いも順調に進み、美月は必要な手続きを終えた。
納税は苦しい決断だったが、それでも、自分の人生を再構築するための一歩と感じていた。
貯金は大幅に減ったが、心には新たな希望が芽生えていた。
ある夜、美月は窓辺に立ち、東京の夜景を眺めた。
都会のネオンはこれまで以上に美しく、彼女の心に穏やかな安堵をもたらした。
「これが本当の私。見せかけではなく、自分の人生を生きていくんだ。」
そう思いながら、彼女は新しい一歩を踏み出す決意を固めた。
美月は光と影の中で生きることを学び、これからは自分の本当の価値を見つけていく。
その先に待つ未来は、かつての煌びやかな虚構とは異なる、真実の輝きだった。
終わり。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
どんな時代にも新しい価値が生まれて、そして溺れていく人たちがいて、嘲笑う人たちがいて、繰り返し繰り返されていることが滑稽で愛らしくもあるけど、AIが人間のサポーターとして有能になったこの時代からは、また違う角度からの価値というものが生み出せるはずだと信じています。
これからも皆様の心にちょこっと刺さる話を書いていきたいと思っております。
応援頂ければ幸いです。