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『虚構の光、フォロワーの影』第六話 最終話
この作品はSNSに蔓延るお金配布に興味を持ち、
そこに群がるフォロワーに紛れて体験してみたことをヒントにAIに想像させて作りました。
フォロワー集めや、別のプラットフォームへの誘導を促し、アフィリエイトで稼ぐ仕組み。
グレーだけど素晴らしいなぁと思ってネタにしました。
しかし、一つ間違えると恐いので気をつけてね。
そんなお話しです。
咲希(さき)と奈々(なな)は、ついに真実を告白するため、SNSでライブ配信を行う準備を整えていた。
部屋の片隅でパソコンを起動し、手元にスマホを置いて、二人は並んでカメラの前に座った。
二人とも、普段の華やかな装いはなく、いつもの派手な化粧も施されていない。
画面に映るのは、素顔の彼女たちの姿だった。
「今日は皆さんにお伝えしなければならないことがあります」と咲希は静かに語り始めた。
言葉が震えているのが画面越しにも伝わる。
彼女たちはこれまでの行為をひとつひとつ、慎重に言葉にして説明し始めた。
フォロワーを集めるための「お金配布」企画が嘘であったこと、フォロワーを他のプラットフォームへ誘導して報酬を得ていたこと、そして、孤独な人々の心を弄ぶような行為に及んでいたことを素直に告白した。
真実を話す度に、彼女たちの表情は次第に青ざめ、かつての輝きは消えていくようだった。
「私たちは…罪を犯しました。みんなに偽りの夢を見せ、自分たちの欲望のために利用していました」奈々が涙ながらに語ると、咲希もまた涙を流し、静かに嗚咽を漏らした。
配信を見ていた視聴者からは、「裏切られた」「信じてたのに」といったコメントが次々と寄せられていたが、中には「謝罪するなんて勇気がある」と評価する声も少なからずあった。
しかし、彼女たちが気にしているのは視聴者の反応ではなく、自分たちの告白がどれほどの意味を持つのか、その一点だけだった。
告白が終わると、二人は視聴者に向かって深々と頭を下げた。
何分かの沈黙が続き、その後、配信は終了した。咲希は配信を終えた直後、自分の中に奇妙な感覚が湧き上がってくるのを感じた。
何か大きな重荷が取り除かれたような、そんな解放感があった。
しかし、その夜。
咲希と奈々のSNSは騒然とし、二人のアカウントには大量のメッセージが殺到した。
多くは罵倒や怒りの言葉だったが、中には「自分も同じように孤独で、頼りたいと思っていた」という声もあった。
彼女たちは多くの人々の人生に影響を与えていたことを改めて実感し、自らの罪の重さを再確認した。
その翌朝、咲希はスマホに届いたメッセージを確認した。それは、例の謎の男からの最後のメッセージだった。
「よくやった。これで、君たちも自由だ」
そのメッセージを見た咲希は、深い安堵と同時に、どこかで自分が赦されたような気持ちになった。
奈々もまた同じメッセージを受け取り、二人は静かに微笑み合った。
全てを告白したことで、罪の意識から解放されるとともに、何か新しい人生の一歩を踏み出す決意が芽生えていたのだ。
数日後、二人はSNSアカウントを削除し、これまでの生活を一切捨て去ることにした。
咲希は別の仕事に就き、奈々も新しい道を模索し始めた。
再び人々の前に姿を現すことはなくなったが、彼女たちの告白はネット上で記憶として残り、彼女たちの罪と償いの物語が人々に語り継がれていくことになった。
そして、静かに生活を送り始めた彼女たちは、誰かに頼らず、自分自身の力で立ち上がっていくことの大切さを実感し、地に足のついた生活を歩み始めた。
彼女たちが再びSNSに戻ることは二度とないだろう。
だが、贖罪の日々は続き、彼女たちの中で静かに刻まれていくのだった。
『虚構の光、フォロワーの影』 - エピローグ
半年が過ぎ、咲希(さき)は静かな日常の中で一歩ずつ前に進んでいた。
SNSの世界から離れ、現在は小さなカフェで働いている。
日々、同僚やお客との何気ないやりとりに少しずつ喜びを感じ、SNS上での虚像とは違う「自分の居場所」を見つけていた。
店の掃除や雑用をこなしながら、彼女はふとした瞬間に自分が「今ここにいる」ことを実感し、静かな安堵を覚えることができるようになっていた。
一方、奈々(なな)は地元に戻り、家族と共に過ごしている。
彼女もまた、SNS上で見せていた煌びやかな生活とは異なる、穏やかな日々を送っていた。
実家の近くにある図書館でパートとして働き始め、本の整理や貸出業務に携わる中で、多くの人と関わる日々に安らぎを見出していた。
時折、小さな子どもたちが絵本を手に取る姿を見て、彼女は微笑みながらも、自分のこれまでの過ちと向き合う時間を過ごしていた。
ある日、咲希の元に一通の手紙が届いた。差出人は匿名だったが、手紙には「君が新たな道を歩んでいることを知り、心から祝福している」という言葉が綴られていた。
彼女はすぐに、これがあの謎の男からのものであることに気づいた。
手紙の最後には「過去は決して消えないが、それでも人は変われる。君の選択を信じている」とだけ書かれていた。
咲希はその手紙を読み終え、静かに目を閉じた。彼女が犯した罪は、決して消えることはない。
しかし、彼女は新たな生き方を選び、その中で過去の自分を受け入れ、反省し続ける覚悟を持っていた。
この手紙が彼女に与えたのは、赦しではなく「信じている」という言葉だった。
その言葉が、彼女にとって何よりも大きな救いとなり、再び前を向く力となった。
数週間後、奈々にも同じような手紙が届いた。
彼女はその手紙を握りしめ、窓の外の空を見上げた。
手紙には「君が見せた勇気を、決して無駄にしないでほしい」とだけ書かれていた。
彼女は深い息を吐き出し、これまでの自分を振り返りながら、新しい未来に向かって歩み出そうと決意を新たにした。
咲希と奈々は、二度とSNSに戻ることはなかった。しかし、二人は別の場所で地に足をつけた生活を送りながら、時折過去の自分に向き合い続けていた。
贖罪の道は決して平坦ではなかったが、彼女たちはその道の中で、少しずつ成長し、自分を見つめ直す時間を大切にするようになっていた。
※フィッシング詐欺にはご注意下さい。