派遣報告書に記載する安全衛生教育とは
労働安全衛生に関する教育の必要性が高まっていますが、特に派遣報告書における安全衛生教育は重要です。
本記事では、労働安全衛生法第59条に基づく派遣労働者の安全衛生教育の報告について解説します。
派遣労働者の安全確保や労働環境の改善に関心のある方は必見です。
労働者安全衛生法第59条に基づく安全衛生教育って、どうして5、6、7?
労働者派遣事業報告書(提出期限6月30日)において、(6)教育訓練(キャリアアップに資するものを除く)の実績 ①労働安全衛生法第59条の規定に基づく安全衛生教育 という安全衛生項目の実績記入欄があります。
安全衛生法第59条の規定ですので、 雇い入れ時の安全衛生教育を指すのですが、 労働者派遣事業報告書に記入する際、労働安全衛生法第59条に基づく安全衛生教育の実績については、労働安全衛生法施行規則第35条に従って記載する必要があります。具体的には、雇い入れ時の安全衛生教育に関して、以下の事項を実施し、その実績を報告書に記入します:
機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
作業手順に関すること。
作業開始時の点検に関すること。
当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
整理、整頓及び清潔の保持に関すること。
事故時等における応急措置及び退避に関すること。
前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項
上記の項目は8つあるのに、なぜ厚生労働省の記載例では、5、6、7の3つ?
労働者を雇い入れたときは、遅滞なく、上記の事項について、教育を行なわなければならないことになっています。ただし、労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種(その他の業種)の事業場の労働者については、第1号から第4号までの事項についての教育を省略することができます。
つまり厚生労働省の記載例は、非工業への派遣の例となっているからです。省略できない業種への派遣をしている派遣元はご注意ください。
省略できない業種とは
第1号から第4号までの事項についての教育を省略できない業種は以下です。
○ 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業
○ 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業
上記以外の業種については、第35 条の1号から4号の雇い入れ時労働安全衛生教育を省略できます。
なお、派遣事業報告書への記載項目番号1~10に関する補足として以下2項目です。
9 作業内容変更時の安全衛生教育
10 各種、危険有害業務に係る特別教育(派遣先にて行われることが多い)
(参考) 労働安全衛生規則第35条
(雇入れ時等の教育)
派遣労働者に対する安全衛生教育について
派遣労働者については、雇入れ時・作業内容変更時(派遣時)の安全衛生教育は派遣元に、危険有害業務に従事する者に対する特別教育は派遣先に実施義務があります。
派遣元で雇入れ教育等を行う際は、派遣先からマニュアルを入手する、もしくは派遣先に委託する等をして派遣労働者の安全を確保しましょう。
派遣先に対し、安全衛生教育の実施を委託した場合は、その実施結果について書面等で確認してください。
また、 特別教育が必要な危険有害業務に派遣労働者が従事する場合は、派遣先が実施した特別教育の実施結果を書面等で確認してください。
出典:厚生労働省 2r985200000305vu_1.pdf (mhlw.go.jp)
労働者派遣における教育訓練の整理
なお、労働者派遣事業に係わる教育訓練の種類は、下記の3つがあります。
①キャリアアップに資する教育訓練(必須)
②労働安全衛生法第59条の規程に基づく安全衛生教育(必須)
③その他の教育訓練(任意)
派遣労働者の安全衛生対策について
派遣労働者の安全衛生対策も確認しておきましょう!
派遣労働者の安全衛生対策について |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
書いた人
派遣の労務管理に強い社会保険労務士 沼田博子です。
人材派遣会社で、営業をしていた経験を活かし、多くの派遣会社の労務相談顧問をしています。社会保険労士として開業以来29年、派遣会社の許可更新や労務相談に対応してきました。
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