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AIは作曲家を駆逐するのか?


この記事は作曲するAIが私のような弱小作曲家を駆逐するのではないかという事に対する私なりの考察です。このAI問題はいくつか焦点が混在していることから整理してみました。

AIと一口に言っても、使う人の立場によって使い方は異なるのではないかという点と、この立場を混在させて考えてしまうと正しく理解できないためです。


音楽を取り巻く環境の変化について

音を表現する者もしくは聞く者が使う環境の変化を、過去から現在の時間軸に沿って大雑把に並べてみました。

以下は作曲家が使う道具(楽器)の変遷です。

(1)声・骨・木 → 楽器(ピアノ) →シンセサイザー → ソフト音源(DTM) → AI(?)

音楽を道具(舞台装置)として使いたい人の変遷はどうでしょうか?ここではクリエイターとしておきます。

(2)楽団・オーケストラ → レコード・CD → 楽曲データのダウンロード(Audiostock含む) → AI(?)



音楽を聴きたい人(リスナー)の変遷はどうでしょうか?

(3)コンサート → レコード・CD → サブスク → AI(?)


すべての変遷において生音からデータの方へ移行していますが陳腐化した技術(テープ、レコードなど)はファンの間に残っているものはありますし、全滅したわけではありません。またこの先、生楽器が使われなくなるということも無いでしょう。

上記のとおり、立場によってAIの使い方は異なります。それぞれ見ていきましょう。

  1. 作曲家
    作曲家が使うAIの理想的な形は、例えばメロディーを入れると伴奏を含んだ形で曲に仕上げてくれるとか、編曲してくれるとか、ミックス・マスタリングをやってくれるとか(これは既にありますね)そうした道具の面でのAIです。曲はどんどん作る一方で、完成させるまでにはそれなりに時間がかかります。仕上げにAIが使えるのであれば使いたいですね。

  2. クリエイター
    ここでのクリエイターは音楽を作らないクリエイターとしていますが、このクリエイターは自分が作る映像やゲームなどに合う素材として音楽を使いたい者です。いま注目を浴びている楽曲データを生成してくれるAIはこの層を対象にしていると言えるのではないでしょうか。AIを使えば使いたい音楽をいくらでも生成できるのであれば、使いたくなるのは当然ですね。

  3. リスナー
    楽を聞きたい人が使うAIがあるのかどうか、考えてみたのですが、〇〇ぽい作風の曲を聴きたいとか、そうした使い方は一部あると思いますが、これは限定的な使い方になるでしょう。リスナーにとってのAIは今のところレコメンドシステムが関の山という気がしますが他に何があるでしょうか?
    仮にSpotifyやAmazonMusicなどのサブスクでAIが無限に生成した曲に対して課金するかとなると、仮にそれが良い曲であってもハテナが付きます。

作曲AIを使うのは一体誰か?

上記のとおり、作曲AIを使うのは自分で作曲をしないクリエイターであることが分かりました。そして、私なりの結論が見えてきました。この先AIがライバルとなって苦しくなるのは対クリエイター向け作曲家ということが分かりました。

つまり、リスナー向けの作曲家は作曲AIによってすぐさま駆逐されることはなく、この先も必要とされるのではないかという希望が見えてきました。
つまりこれからもファンが大切という当たり前のことでした。


少し未来の予測

先に述べた楽器の変遷ですが、この後何が来るでしょうか?

声・骨・木 → 楽器(ピアノ) →シンセサイザー → ソフト音源(DTM) → AI(?) → 〇〇〇

これまでに無いAIによる独創的な楽器が発明されるかもしれません。ソフト音源はより一層リアルになるでしょうし、演奏も人が演奏しているように打ち込めるようになるでしょう。(今でも自分で演奏して打ち込んでいますが・・・)
独創的な楽器といってもリアルに存在せず、PC上のソフト音源のように無限に音を作り出してくれるでしょう。ただ今でもOmnisphereとか使いきれない大量の音源がありますので既に満腹な感じもします。何か次元の異なる新しい分野が出てくることに期待したいです。


新しいリスナーの可能性

これから先は、人間以外に聞いてくれる存在が出てくるでしょう。それはまさにAIだったりするわけです。

AIが作る音楽といっても、これまでに存在する音楽から統計的に作った曲となるわけなので、AIが作った曲を学習させていってもそのうち同じような曲になってしまうでしょう。

そこでAIに学習させる専門のサービスが出てくるのではないでしょうか?作曲AIはどれだけ世の中の曲を学習しているのか不明ですが、著作権がある音楽を無断で学習してよいわけありません。例えばAudiostockでは機械学習のデータとしての利用は禁止されています。

そのため、良いAIにするためには曲を学習する必要があるので、学習用データを作るというわけです。もうすでにあるのかもしれませんが・・・

まとめ

以上、AIに駆逐されないためにはこれまでと同様にファンを大切にすることがカギであることが分かりました。

この時代ファンを作るための手段はたくさんありますが、まったく十分に使いこなせていない状況ですので、いろいろと挑戦していきたいと思います。
noteも活用しなくては・・・

AIを使う使わないは個人の自由ですし、新しい表現方法を取り入れつつ、自分の好きな音楽を作り続けていきたいので、応援いただけますと幸いです。

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