ともに人生を走りきるサポーターになりたい
今回は、りおん薬局で在宅訪問の薬剤師として活躍されている山崎さんに、インタビューをしました!
調剤薬局での薬剤師と異なり、在宅訪問の薬剤師はどのような働き方をしているのでしょうか。
是非ご覧ください!
現在、どのようなお仕事をしていますか?
りおん薬局では、在宅・施設へお薬をお届けする「在宅訪問の薬剤師」と、小児科の外来の対応をする「調剤薬局の薬剤師」の2種類の働き方があります。その中で、私は在宅訪問の薬剤師として4つの施設を担当。毎週、火・水・木・金に分けて訪問しています。各施設、1週間分のお薬を準備してお届けします。
薬剤師を目指したきっかけはなんですか?
祖父と叔父が薬剤師でした。
二人とも長崎に住んでいて、私が小学生のころ、夏休みなどの長期休暇によく遊んでくれました。いつも笑顔で優しくて、憧れの存在だったんです。その時、二人のように優しい人なることが夢で、薬剤師を目指すきっかけになりました。
りおん薬局 代表の平井さんとはどこで知り合ったのですか?
大学卒業後、ドラッグストアの薬剤師として2014年に新卒入社しました。
その時の、新人研修の講義担当が平井さんだったんです。これが最初の出会いでした。
平井さんの話を聞き「今後の薬剤師は、在宅訪問の薬剤師が主力となるのではないか」と心打たれました。そして、講義が終わって、すぐに平井さんに話を聞きに行ったところからの付き合いなんです。
患者さまとの思い出に残っているエピソードはありますか
私はバイタルサインの講習会を修了し、聴診や脈拍、血圧測定などを学び、患者さまに対してサポートできるようになりました。
その後、初めて患者さまのご自宅に訪問した日が今でも忘れられません。
下剤を飲んでいるおばあちゃんのお宅に伺った際に、「おなかの音を聞かせていただけますか?」とお伝えすると、すごく驚いた表情をして「今の薬剤師さんは、こんなこともしてくれるんですか!」と喜んでくれたことが嬉しかったんです。
本来、患者さまがお薬を飲んだ後の効き具合は、フォローしにくい部分なんです。しかし、バイタルサインがわかると、患者さまのお薬の効き目や副作用の有無など、身体の状態を把握することができます。ただお薬を届けるだけではなく、本質的な健康のサポートができているのは嬉しいですね。
患者さまに深く関わることができる、素敵なお仕事ですね。
ところで、こちらは何でしょうか??
患者さまからいただいた手作りのぬいぐるみです。いつも訪問する施設やご自宅は、どこを担当するか決まっているので、患者さまと深い関係性を築くことができます。
訪問在宅を必要とされている方の大半は、ご高齢で自由に体を動かせず、家の中で生活をされています。家族以外と会話をすることがない方もいらっしゃるので、伺った際は、なるべくいろんな会話をするようにしています。
患者さまに本気で寄り添っていると、「いつもありがとう」と言っていただけます。そして、手紙やプレゼントをいただくこともあります。心が温まりますし、本当に嬉しいです。
プレゼントやお手紙会社グループのデューデリは心温まる素敵なお話ですね。患者さまの身体・心に寄り添っているからこそですね。
ところで今後、薬剤師に求められることは何だと思いますか?
医療費の削減を手掛けていく。これが薬剤師として求められることだと考えます。
その手段としては、「健康レベルの底上げ」と「社会とのつながりを持つこと」が大切だと感じています。
一つ目の「健康レベルの底上げ」はどういう意味ですか?
例えば、子どもには手洗い・うがいの大切さを伝える教育をするところからはじまり、成人の方には、食事のサポートをして健康レベルを上げます。
お薬に頼るところが大きい慢性疾患をお持ちの方や、高齢者の場合は、なるべくお薬の種類をシンプルにします。高齢者になると、複数の症状が出てしまい、医者としても「なんとかしてあげたい」という想いから、お薬が多くなることはよくある話です。
訪問時に、患者さまの状態を診て、「今、副作用が出ているので、この薬は控えたほうが良い」など体調を考慮しながら、アドバイスができるのも、在宅訪問の薬剤師の特権です。
言われた通りにお薬を飲むのではなく、体調に合わせたり、シンプルにして飲みやすさを考慮したりすることが、健康レベルをあげるために大切だと思っています。
二つ目の「社会とのつながりを持つ」とはどういう意味ですか
ご高齢の方が衰弱すると、身体的にバランスを取れなくなり転倒し、骨折されることがあります。その後入院となると、お金がかかってしまいますよね。
では、なぜ衰弱していくのでしょうか。
社会とのつながりが絶たれた瞬間に、身体を動かさなくなると同時に、頭も使わなくなるので精神的にも体力的にも衰弱した状態になってしまいます。
それを解消するためには、少しの雑談でもいいので、社会とのつながりを維持するのも一つの役割だと感じています。
そこで、小さい子どもから高齢者までつなげる活動ができたら、手段の一つとして医療費の削減に繋がるのではないかと考えています。
どのような薬剤師を目指していますか?
薬剤師は対物の仕事で、患者さんをマラソンランナーに例えると、時々出てくる給水ポイントに見えてきます。喉が渇いたときに、水を渡すことは重要な仕事ですが、そうではなくて、走りきるためにどうするかのアドバイスをしていくコーチのような存在を目指していきたいです。
実はこの言葉は、在宅医療の現場等で医師として診療を行う狭間 研至先生のお言葉で、私自身、患者さまが生まれてから亡くなるまで、一緒に人生を走り切れるサポーターのような薬剤師になりたいと思っています。
~インタビューを終えて~
在宅訪問の薬剤師は、患者さまの身体に寄り添うのはもちろんのこと、心に寄り添うお仕事だなと思いました。そして実際、お手紙やプレゼントをたくさんもらっている山崎さん、りおん薬局の皆さんが本当に魅力的でした。
多くの患者さまは、お薬に詳しいわけではないと思うので、飲んでいるお薬についての知識や、健康に関する知識を教えてもらえると嬉しいですし、安心しますよね。
もちろん、人の人生に寄り添うことは、決して簡単ではないと思いますが、患者さまや、そのご家族から感謝される在宅訪問の薬剤師は素敵なお仕事だと実感しました。
山崎さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!