ドラマ「東京女子図鑑」 から読み解く…ググっても出てこない「幸せ」の答え
もしAmazon Primeの会員だったら、ぜひともおすすめしたいドラマがある。水川あさみさん主演のPrime限定ドラマ「東京女子図鑑」です。
元々は東京カレンダーWEB上で2015年の秋に展開された連載だったらしいのですが、そこから書籍化され、さらに2017年にドラマ化。
ストーリーは、秋田のド田舎で生まれ育った綾(水川あさみ)が強いあこがれを持って23歳で上京するところから始まる。キャリアアップと同時に都内を引越ししながら、その時々に暮らす街を舞台に恋に仕事に翻弄され悩みつつ生き抜く、40歳までの人生模様を描いています。
女性特有の人生の悩みをテーマにした部分は、大人気ドラマ「東京タラレバ娘」を思い出させます。
でも「東京女子図鑑」ならではの面白さは、”イライラエンタメ”と評されているほど、見てるこちらが心配になるほどの浅はかな綾の生き方を追いつつ、実在の場所やレストランも出てくるリアリティーのあるエンタメ要素。感度の高いキャリアウーマン系になっていくストーリーなので、ドラマに出てくるファッションやインテリアなどもハイセンスで見ごたえがある。
静岡から上京して今東京に住む自分としても、半分くらいは個人的にも経験してきた悩みということで、涙あり、共感あり。1話20〜30分程度で、軽快なスピード感で半生を描いていて、つい一気見してしまいました。
今日のnoteは、そこから膨らめた「幸せってなんだろう」を考えた個人的な雑感です。
どの女性の心にもひそんでいる? リアルな女性像・綾
主人公の綾は「誰かに羨ましがられる人になりたい」という、しょっぱなから「ん?」となる理由で上京します(笑)。
上京→キャリア転職→結婚…と綾のライフステージが変わる度に、三軒茶屋→恵比寿→銀座…と引っ越しをしてドラマの舞台になる場所が変わっていく。その度に、「恵比寿の女性」はこんな感じ、「銀座の女性」はこんな感じ…と「その土地に住む女性像」に染まっていくだけの人として描かれている。
木俣冬さんのドラマレビュー記事を読んでいて私はドキッとしました。
”でも、ちょっとこわいのは、これ(ドラマ)は、女のリトマス試験紙ではないか。どの時点でイラッとするかで、観ている女のレベルがわかってしまうのではないだろうか。許せる部分はすでに乗り越えた部分。許せない部分は引っかかっている部分なのでは・・・。” ー 木俣冬
参照 : 問題WEB小説「東京女子図鑑」のドラマ版がやっぱりイラッとする
私が特に気になったのが最終話の本当に最後のセリフなんです。いろいろ飛ばして最終話のお話を少しだけ…。
最終話・エピローグの綾のセリフに「ガッカリ」
(ちょっとネタバレ入るので、嫌な方はぜひドラマを見てから…)
最終話の一番最後の主人公たちの掛け合いのセリフが、本当に圧巻でした。よくぞ、ここまで見事に女性の葛藤をまとめてくれたと。こんなにも翻弄されまくりの綾も、さすがに最後は学びを得てハッピーエンドだろうと勘ぐっていました。が、エピローグの綾のセリフに、私はとても落胆してしまいました…。
「頑張りましょ。次から次に、手に入れたいものは増えていくんですから」
え………? これが最後のコメント? とあっけに取られてしまったのです。
なんだか多少の絶望感を超えて逆に切ない。私だけかもしれませんが、「かわいそうな人だ」なんて感じてしまう。
彼女はこんなにも波乱万丈に経験しながらも、なんにも気づかずいるんだろうか…。
改めて、「あなたは、このまま綾みたいに生きたいですか?」と問われるような。ここでイラッとしたということは、私自身、何かが心で引っかかっているのでしょう。
ググっても「幸せ」の答えは出てこない。
主人公の綾は「30歳までにジョエル・ロブションに行けたらいい女」など、世間が作った価値観に、自分を無理やりはめ込んでいく。”いい女になるために”。
例えば「自分が、ロブションが味が好みだから行く」とか「自分が、ロブションの空間が好きだから行く」などの主観的な理由が完全に抜け落ちている。
高収入の彼氏。すごいねと認められる仕事。幸せな結婚式。ブランドのバッグ。人気インスタグラマーのようなたくさんのいいね。
幸せっていったいなんなんだろう。
綾は常に自分の”装飾物”を他人と比較して苦しみ、結局はその溢れ出る自分の欲望がなぜ沸き起こっているのか理解しない。
なぜ彼女はいつまでも苦しみ続けるのか?
それはきっと「自分にとっての幸せ」が何かを、考えようとしていないからだと思う。
幸せは、他人から与えられたり、モノから得るものではなく、自分で決めるものだと思う。「自分にとっての幸せ」なのだから、ググっても出てくるわけがない。幸せだと感じることは人によって様々だから。
もしかしたら、ある人はホットケーキをキレイに焼くことだったり、ある人は自分が感動した瞬間を写真におさめることだったり、ある人は自然の中で散歩することだったりする。
いくら「一般的に」幸せと呼ばれるものでも、その人の環境や状況によって変わる。「結婚が幸せだから」と言って、愛が冷めてもしょうがなく一緒にいる結婚生活で本当に幸せだろうか。「離婚は不幸だから」と言って、それが転機になって本当にやりたい職に就けたら、それは本当に不幸だろうか。
常に自問しない限り、死ぬまで自分が幸せだとは思えずに終わってしまう。
他人との比較で生まれやすい「ないもの」思考
人のことをとやかく言えないくらい、私も他人と比較しまくります。
デザインがうまくできない。東京に住んでるのにおしゃれさが足りない(笑)。収入が上がらない。文章力がない。いいねもフォロワーも少ない。ない。ない。ない。
「隣の芝が青く見える」のは、自分の芝は青くないという思い込みを実現させるために、自身で作り出す幻想。つまり、自分から勝手に”足りないこと”にフォーカスしてしまい、すでに手にしているものに盲目になっているということ。
自分の足りないところもダサダサな部分もすべてを受け入れて、もうあんたはそういう者なのだから、肩肘張らずに”頑張らなくて大丈夫だよ”と自分自身に言えることが、必要だったのです…。
だから私は、「頑張りましょ」と語りかけてくる綾にイラッとしたのでしょう。こんな私こそ見栄を張って頑張ろうとしていたから。
「みんなが思う幸せ」ではなく、「自分にとっての幸せはなにか」を、何度も何度も問う必要がある。そうして何度も心に刻む。たとえ他人の幸せと全然違っても、普通よりすごく変な幸せでも。
小話:ドラマのイメージ画像のクオリティがすごすぎる。
全然本題とは関係ないのですが、このドラマを見る最初のきっかけは、実はこのイメージビジュアルのクオリティがすごすぎたからなんです。
すごすぎるので勝手に拡大します。
自分の本業のデザイナー病なのですが…綾の衣装から小物の配置などを含めた全体のスタイリング、ライティング、レタッチ、タイトルのフォントに至るまで、このたった1枚のビジュアルを作るのにどれだけの労力が掛けられているか…そんな熱量を勝手に妄想してしまいます。
このイメージを見た瞬間、ドラマのクオリティもすごそうだと思ったら、大当たりでした!
興味が沸きましたらぜひ↓
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