お絵描き記録40-64日目|満を持して推しを描いたよ
「練習して上手くなって推しを描きたい!」そんな野望で始めたお絵描き記録38日間を先月まとめましたが、さらに26日間のデッサンを積み、とうとう推しのイラストを描くに至りました。今回はそんな記録です。
11日目の朝、デッサンに出会う前の絵
53日間のデッサンを経て描いたイラスト
すごい…めちゃくちゃ絵が上手くなってしまった…
いざ並べると信じられない。これが…私? 一色しか使ってなくて、画像解像度もキャンパスサイズも同じなのに。前は身体ペラッペラで立ててもいなかったのに。椅子の上に足を抱えて座るという複雑なポーズで、しっかり重心を持っていて、肌と髪と服と椅子の質感の差が表現できてて、光と影で空間も描けている…すごい立体感と実在感がある絵を描けてしまった…!
前回38日間分に引き続き人体のお絵描き練習をして、このイラストを描くに至るまでの記録記事となっております。
前回、お絵描きチャレンジしたい誰かの参考になったり、自分が読み返して楽しい気持ちになったりすればいいなと思ってまとめましたが、どっちの目的も達したみたいで良かったです。今回も目的は同じで、誰かの役に立ったり、未来の自分が楽しくなったりすればいいな。
●お絵描きの動機
LILIUMと黑世界にハマったら絵が上手くなるってことなんだ!
前回そんなこと言ってましたけど、LILIUMと黑世界にハマったら絵が上手くなるって、身をもって証明してしまったのでは!?
イラストを描いたので改めてご紹介するんですけど、「音楽朗読劇『黑世界』 -雨下の章/日和の章-」の主人公リリーちゃんが私の推しです。演じてる鞘師里保ちゃんも推し! 8/9の1st Live DAYBREAKは引くほど泣いた。
黑世界は永遠の命を持った不老不死の少女リリーがあてのない旅を続ける物語です。朗読劇という名ですが、雨下と日和をあわせて30曲くらいあって、台本放り投げてトンカチ持って踊り出すという、とんでもねぇ朗読劇だよ! 最高。
TRUMPシリーズっていう演劇作品群の最新作で2020年9-10月に公演して、雨下の章・日和の章の二篇がBlu-rayになって販売中だよ。前日譚の「LILIUM -少女純潔歌劇-」と一緒に見てね! どっちも鞘師里保ちゃん演じるリリーが主人公よ!
よし。
本編!
課題ポーズ
①片足重心
②前後に足を開いて立つ
③左右に足を開いて立つ
④両足重心
⑤椅子に座る
Tips
・首の前と後ろ
・作品としての絵を意識する、回折光、全体を捉える
・主線の太さ・力強さで遠近が出る、ハッチングの向きに寄る距離感
・布や椅子とかも描こう
・パース、床の影と空間
・関節周りのシワの描き方、質感の差を出す
・イラストでも「なんか変だけどまぁいっか」をしない
39-44日目:④両足重心(後ろから)
早速、前回は到達しなかった基本ポーズレベル④両足重心です。最初は後ろから。重心の取りにくさが上がっている筈ですがしっかり立てられました。また、お尻のプリを出したいなと思ってハッチングを水平方向に入れたら、ちゃんとプリッとたのもよい。
さらに大きな成長があったんですよね。前回16-17日目の時に、「腰の菱形を捉えると『尻が脚の起点』に見えてくるらしいけど全くわからん!」って叫んでいましたが、それがわかってしまった! あと腰骨の直方体もわかった! あんなに悩まされた尻の秘密を、とうとう手に入れた! 分かるようになる日が本当に来るなんて! わかるようになる前の絵と比較すると、明らかに尻と腰の立体感が増しています。これが継続は力なり、というやつかぁ…本当なんだ。
今回、新規なポイントが1つあります。
①首の前と後ろ
また首か。また首です。結構序盤から悩んでいて、結構描けるようになってきたと思っていたんですけど、このモデルではなかなか上手くいかなかったんですよね。
そこでもらったアドバイスが、「鎖骨から顔の左右に伸びてる筋と、背中から頭に伸びる筋が耳の後ろで繋がってる。耳を左右に貫く棒を想像したとき、首の前後から伸びる筋が土台になってそれを支え、頭が耳の軸を中心にブランコみたいに前後に動くと捉えると良い。」というもの。ちょっと難しいけど一生懸命想像してください。
結構驚きました、だって背面の絵なのに身体の前側からのつながりも意識するように言うから。正面からの絵を描く時も後ろにある尻の存在を感じるようにと言われていたのを思い出すと、同じ仲間かという気もしますが。
描けるようになったつもり、知っているつもりになっていた首への認識を改めるべく、首の後ろがもっとアップになっている写真や筋肉の図を探して見ました。そうしたら、確かに前からも筋は繋がっているし、首は後ろから見てもただの筒じゃないことに気付きました。言葉で説明しきれないので、画像を探してみてください。耳の後ろに繋がるところと、頭の後ろに刺さるところの2つに首の構成は大きく分かれてるんですよ。知らなかった〜!
首って面白い。
●バストアップの自画像|自分の頭なら観察し放題
首が面白いなら、バストアップの自画像を描いても良いかも、と提案ももらいました。自分の頭なら造形を観察し放題だし、さらに「どんな表情が魅力的か」「どんな構図が魅力的か」っていう構図作りの勉強にもなるんだって! 自分の体のパーツを題材にするという意味では、手とかもあり。
全体ができないうちに末端ばっかり気にするのは良くないらしいんですけど、全体が意識できるようになってきた今ならやって良いのではとのこと。多分、画面外の体とのつながりが意識できないで末端だけ練習しても、実際の絵として全体を描いたときに、上手く体とつながらなかったりするんじゃないかな。全身を描くのとバストアップ等を描くのを同時進行は難しいので、まだチャレンジはできていませんから詳細は分かりませんけど。
バストアップや手のアップは必ず練習したいです。自分の顔かぁ…とも思うけど。推しの顔が良かったな、無理な話だが…。
45-53日目:④両足重心(ななめ前)
最近、後ろからばっかり描いていたので、そろそろ前から描きたいなと選んだモデル。太もものプリ!と右肩と首の光の入り方が良くできたかな、と思います。
それはさておき、まだ表現として表れてる部分は少ないですが、ここで意識の転換点が来ました。
「作品としての絵を意識する」こと。
①作品としての絵を意識する
これまでずっと「物を正確に写し取る」に主眼がありました。そのために、観察の仕方を覚えたり、身体のつながりを観察したり、明暗・立体・遠近の描き分けをやってきたのは、これまで書いた通りですね。
でも、もう物を正確に写し取るのはできているし、作品としての絵を意識してもいいんじゃないか? とコメントをもらったんですね。
物を正確に捉える目的なら写真とか他の手段でいい。でも絵を描いているのだから、正確さよりももっと優先していいものがある。
この時の友達の言葉が、金言だと思うのでそのまま載せますね。
「描き手が何を良いと思っているのか」っていうのが伝わるデッサンはとても良いデッサンだよ。それは正確さ以上に重視していい。
絵を描くことの意味、絵であることの意味、何より楽しさを感じて描いていきたいな、ってこの言葉で思いました。
そしてここから、作品としての絵を意識して、「見たもののイメージを写し取る」、「描き手が何を良いと思っているのか伝わるデッサンにする」へ、目的を変えました。
それに伴い絵を描く時のプロセスも「モデルを見て良いなと思うところをまず探して、それを描きあらわそうとする」というものに変化。
『「絵を描いてて面白いと思ったこと」が多ければ多いほど、魅力的な絵になっていくんだって!』と前回12日目に言ってましたが、ここで繋がって来ましたね! 伏線回収熱い…!
ということで、良いなと思うところをたくさん探してメモした途中経過があったので乗せておきます。
結果として、太腿のパツーンと詰まった感じが良く出たし、首と肩の光の加減もいい感じにできたと思います。
まだ「作品としての絵」を意識するのは始まったばかりだけど、ものにしていきたいですね。
②回折光
当初、左太腿をキワまで影を濃く描いていたのですが、なんか突然太腿が断ち切られたみたいな感じがして立体感も出ないなぁ…うーん、悩んでいました。その時に、影のキワに光を入れることで立体感が出ると助言をもらいました。
そういえば物理の授業でやりましたよね、光の回折!
光の波動性によって、障害物の反対側に光が回り込んでくる現象です。忘れてましたね、理学部物理学科卒なのに…がんばれ…。それはさておき、絵に描いていこう回折光。立体感が出ます! キワが明るいのは目の錯覚とか画像解像度が低いからじゃないよ。
③細かいところに囚われずに全体を捉える
今回、なかなかアウトラインが上手くとれなくて、描いては消しでウギィ〜〜〜!!って叫んでました。全体を捉える前に、小さいところに囚われてしまったんですね。ということで、全体をしっかり捉えてから細部を詰めましょう。改めて大切なことです。
ちなみに本当に七転八倒だったので、ギィ〜〜〜!って言いながらモデルに5mm幅の方眼紙みたいなマス目を引いて、キャンパスにも同じマスを引いて(procreateの描画ガイド2Dグリッド機能ありがとう)、それを参考にアウトラインを描きました。絶対に上手く描けるに決まってる方法。以前、人のデッサンを探してみている中で、こんな風に細かく枠を引いて描いてるものを見つけたので、それを参考にこの戦略を取りました。かなり力技な気もしますが、ここでちゃんと人体の比や形を学んで、次回似たポーズに挑戦する時に活かせれば良いと思っています。
●挑戦の心、手の捉え方
前回に引き続き、末端の練習の話を友達としていました。今回は特に手。
手って重要じゃないですか、表情も出るし、服着てると露出するのって顔・首・手くらいのものだし。少なくとも推しのリリーちゃんは長袖ワンピースにタイツなので、概ね顔と首と手くらいしか出ないです。
でもねぇ…いやなんですよねぇ…手とかいう複雑なところを描くのが。自分には手がついているので、ポージングも構図も選びたい放題でモデルにできるのにも関わらず。逃げ腰の私。
そうしたら、「自分でポーズを選べるモチーフなんだから、逃げずに挑戦の姿勢を持とう」という感じでね、ご指導を受けました。正面からの手を描くのではなく、ひねりとかがある構図にしようよって。おっしゃる通り!! まだできてないけど、必ずやります。ひねりがある手のポーズ何がいいかなって悩んでたら、ずっと書こうと構想してた小説に手が良いモチーフになりそうだな、という副次的な効果も得ました。一石二鳥!
あと、これまで体の繋がりを捉える訓練をしてきたから、以前とは手の形状の捉え方変わってるはずだよ、とのコメントももらいました。
実際変わってるんですよね、以前とは。14-15日目に「体の大きな繋がり」の話にのせた一枚イメージ図、あれ親指だけ他の指と分かれてるんですよね。あれを見たときから、「手首から生える一本一本の手の甲の骨!指!」っていう感じじゃなくて、「親指の面、人差し-中-薬指と甲で作る面、小指の面」みたいに大きな構造を持ち、かつ腕から続く流れの中で捉えられるように育って来ていたんです。
だから、挑戦すれば前より複雑な、動きのある手のポーズも描けるのではないかな、という自分に対する期待があります。人体全体にばっかり時間を使っていて、まだ手と向き合えてないんですけど。小説のためにも頑張るわ。
54日目-55日目:④両足重心(横から)
体を真横から見た時を理解した〜い!ということで選んだモデルです。
作品としての絵を意識しているので、描く時に「ここが良いな、描きたいな」とポイントを作ってから描いています。
今回はここら辺
・手と太腿の間の空間
・肩の奥行き
・頭の立体
・太腿とお尻のプリ
・腕の立体感
プリが好きだね。好きです、プリ。
尻が脚の起点であるというのを我がものとしたので、尻と腰の形を取るのが結構すんなりしっかり行ったと思います。あと、鎖骨からの耳の裏に繋がる筋、背中から耳の裏に繋がる筋もちゃんと意識されてますね。
肩の位置が特にほぼアイレベルなのに、奥行きがちゃんと出てることを褒めてもらえちゃったぜ! へへ! 嬉しい。ずっと横から見た肩とか腕って意味わかんねぇ…って思って生きてきたのに、そこが褒められちゃう日が来るなんて!
あと今回はペンを変えてみました。今までprocreate標準のソフトパステルだけを使っていたんですけど、作品にする時にはあの質感にしたいとは思っていないので。とはいえこれがベストではないので、この後も継続検討しています。
一方で、今後の課題として残ったところもあります。奥側の足の立体感と遠近の表現がうまくいってないのと、おっぱいが胸にめり込んでることです。足の方は自分でも気付いていたんですけど、おっぱいの方は言われるまで気付かなかった。肋骨の上に肉が乗っているんだということを意識して描くと良いらしいです。
●苦労してるところもそのうち得意になる
いつもやたら苦労してるのが腕です。可動域が広いし、パースがかかりやすいし、謎の隆起があるしで、毎回結構なリテイク数です。でも今苦手でもそのうち得意になる予定だし、と思うと元気になれます。ライフハックです。
56-59日:⑤椅子に座る(横から)
自分で言うんですけど…
めっっっっちゃかっこよくない!!!???!?
なんかすっごい絵って感じがする…!!! 立体感、重量感、遠近感、質感、光がちゃんと表現されてるからかな!! しかも、基本のポーズで難易度最高の⑤椅子に座るをこんなにちゃんと描けるなんて! やったぁ〜〜!!!
描き終えた後、何度も自分でスゲェって眺めちゃいました。嬉しい。
今回良いなぁ魅力的に描きたいなぁって思ったポイントは、
・伸ばしてる脚のどっしりとした力強さ
・首肩背中の遠近と光での描きわけ
・肘から下の感じ
・その他いろんな部分の立体と遠近
・肌、髪、布の質感の差
などです。結構たくさんあって、「いいなと思ったところが多いほど魅力的な絵になる」っていうのを実感しますね。
今回気づいたことなどをいくつか。
①主線の太さ・力強さで遠近が出る
左太腿を力強く描こうとしている中でたまたま気づいたんですけど、主線の太さ・力強さで遠近感が出る! よく気付いたねって褒めてもらえたやった〜! 思い返してみれば漫画でも手前の方が主線太かったりしてたけど、それが自分の中で有効なツールとしてしっかりものになりました。
これまでは遠近を出すのには、ぼかしと濃さくらいしかツールがありませんでしたが、主線という新しいアイテムが増えて、表現の幅が広がった感じがしますね。描きたい絵の雰囲気によって、何を使って遠近を出すのか選択できる。
あと、主線の色を変えることも覚えました。お腹のところで顕著に色を明るくしています。お腹は光が結構よく当たっていて明るかったので、それを表現するために最初は主線を弱くしようかなと思ったんです。でもそうすると、さらに奥にある右脚との整合性に困るなと考えました。そこで、線ははっきりさせつつ色を明るくすることで、その問題をカバーしました。
②ハッチングの向きによる距離感
右太腿の付け根部分なんですけど、最初は手前の太ももに沿う形で影を入れていたんですね。モデルがそう見えるから。でも、そうすると太腿がくっ付いて見えてしまう。距離を出したいなら手前の足に沿うようにではなく、奥の脚の筒状な立体に合わせてハッチングを入れるといい、と教わってそうしました。やってみたら確かに脚が離れて見えるようになりました、すごい。
脹脛のところは逆にくっ付いて見せたいので、脹脛に沿う影を入れました。そうしたら確かに密着感が出ました。すごいなぁ。
③布や椅子とかも描こう
布のかかった椅子(多分)とか描かなくてもよかろう…としていたら、「皺のでき方の理解につながるし、質感の描き分けの練習にもなるので描くように」と、ご指導いただきました。全くもっておっしゃる通りですね。
推しのリリーちゃんのイラストを描くためにお絵かきチャレンジをしているわけで、リリーちゃんはお洋服を着ているのが標準装備なので、布を描く訓練は必要です。
というわけで、それまで雑な線だったのを、ちゃんと布椅子にしました。椅子がちゃんと描けたら、絵がめっちゃ格好良くなってしまった! 物をちゃんと描き込むってすごい!
質感の差を出したいので、肌、髪、服、布椅子のペンを変えてみたんですけど、それもちゃんと出たなと思います。初めてまともに布を描く中でも、これまで人体を描く中で獲得してきた、反射光や明暗境界線を捉えて描く能力がとても役立ちました。なかったら多分、形の理解や表現方法に混乱して、こんなにうまく描けてなかったと思う。一つのスキルが広範に役立ってて良い傾向ですね。
●イラストとしての映えを優先させること
「物のイメージを写し取る」、「描き手が何を良いと思っているのか」っていうのが伝わるデッサンにする、っていうのをずっと念頭に置いています。描き始めるときに描いている間に、このモデルのどこを良いと思って、それをどう表現しよう、っていうのといつも考えていましたし。実際、イラストとしての映えを形状把握より優先してると、自分でも明確に言える場所がいくつかあります。
でも、その映えを正確さよりも優先させるときに、ただ雑になったらいけないな、と思ったんですよね。例えば苦手な腕を描く時に難しからといって正確さはある程度でいいから諦めて手を抜こう、だったら絶対に上手くならない。正確さよりも映えを優先すると言うのと、手を抜くと言うのは全く違う。
ちゃんと立体を理解して自分の中で納得を作ってしっかり描く、というのは、決して蔑ろにしてはいけないなって。そう思って描いたら苦労はしたけど、左腕の力強さも表現できてカッコよくなって、とても良かったです。
●フェチ、あるいは描くのが好きなところ
前回褒められた首と肩あたりの反射光が入ってる面を描くの、めっちゃ好きで気に入ってるね? それはフェチよ、という主旨のお言葉を友達からもらい、びっくりしました。
これが…これがフェチという概念!? とうとう私にフェチが!? 首肩背中が光で綺麗に抜けて立体も出てめっちゃかっこいいじゃん〜!ってしてただけだったんですけど、そうか、これが…。
いやでも、聞いた事がないよ……首肩の面を描くのとか背中を反射光を抜いて立体感を出すフェチって…。絵描きさんの世界ではもしかしたらメジャーなのかもしれないけど…。特殊…。
でも、これがデッサンをしていることのメリットかなぁ、と思いました。人体の描き方って教えてくれるサイトや本があって、見ると人体の捉え方がわかってすごく助かってます。だけどそれらは「自分以外の誰かが選んだポイント」っていうフィルターがかかっているので、それだけに依存していたらその外側にきっとある「自分が良いと思うところ」を見つけられないんじゃないかな、と思いました。そう、私はデッサンをすることによって、フィルターの外にある「首肩背中の立体感を出すフェチ」を獲得したんだ…。耳馴染みがないけど…。
これまでにもよく登場しているプリとかもフェチなのかもしれない。いや、正直フェチって言葉に人生でずっと馴染みのがなかったのでちょっと単語としての馴染みとしては違和感を覚えています。描くのが好きなところ、くらいが私にはちょうど良い言葉ですね。
描くのが好きなところはこれまでにたくさん増えて来たけど、もっと増やしていきたいな。絵の魅力に繋がるのを実感してきたので。
●ノーマン・ロックウェルの画集
「その布の描き方はノーマン・ロックウェルっぽいから、ノーマン・ロックウェルの画集を買いたまえ、お手頃だし」という、若干無理筋では?という切り出しで勧められました、ノーマン・ロックウェルの画集。買いました、素直なので。
記事中にレギュラー出演している友達が大学生の頃にめちゃ傾倒していたに加えて、他のこれまためっちゃ絵が美しい友達もロックウェルにハマった時期があったと言っており、画面作りでもすごい参考になるから絶対いいよ、と聞いたら買わない手は無い。
買って早速開いてみて、一番私が強く思ったのは、「表情は顔や手の動きだけでなく、全身の動きなんだ」っていうことです。驚いたら足の爪先まで動くんですよね。言われてみればそうなんだけど、つい頭から抜け落ちていた。その他にも、絵の前後にある物語もわかるようなモチーフの置き方、空間の切り取り方とかが、とても良いと思いました。
推しの鞘師里保ちゃんの舞台での芝居も、全身での表現が美しいので(ダンスが上手いからね!)、推しの演じる推しのリリーちゃんを描くためにも必要な能力です、全身で感情を表現できる絵を描く力。手に入れたいなぁ〜!
60-64日目:⑤椅子に座る
自分で言うシリーズなんですけど、すっごい頑張りました。
この複雑なポーズ、複雑な椅子に加えて床の影まで描いてある! そのおかげか、すごい実在感と立体感がでた!!! す、すげ〜!!! こんなものが描けるようになるなんて! 思ってなかった!! 感動…。
各パーツの前後感や空間をちゃんと出すこと、椅子に座ってる重さを出すこと、椅子自体の重みを出すことなどを目標に描いたんですけど、しっかりできたと思います。
前回学んだ「距離を出すには奥の物体の立体に沿ってハッチングを入れる」というのを使って、右足首の奥に空間ができたし、膝頭と鎖骨の周りも離すことができました。「くっ付いているところは手前の物体に沿って影を落とすと良い」ので、左の二の腕とか右の前腕とかは足にくっついてる。暗い部分も反射光と回折光で抜いて立体ができてるし。当初は反射光の抜きが足りなくて、左腕の影とかが模様っぽくなったりしましたけど、今はOK。
初心者はこういうポーズを描くと、身体の側面の描写が抜けて身体がペラペラになりやすいらしいのですが、側面がちゃんと描いてあって厚みが出てていいね!って言われましたやった〜!
前回まとめのデッサンを見返すと、中盤まで結構体がペラいんですよね。割とシンプルな立ちポーズにも関わらず。なので、とても自分の成長を感じます。
さて、これまでは描いてなかった椅子と床があるので、二つ新規なポイントがあります。
①パース
私のような初心者が描きたくないもの(独自)ランキング上位、複雑な椅子。ぶっちゃけやだなぁと思ったんですけど、椅子に座る人を描くためには椅子を描かないとお話にならないでしょう、ということで描きました。辛かった。でも結果、木材の柔らかそうな感じが出たし、足元の空間もちゃんと出てよかった!
この椅子を描く苦しみの過程で、気付いたんです。
「椅子の足の太さが奥と手前で違う気がする…もしかして、足の一本一本にパースが効いてる…?」と。目の錯覚であることを祈りましたが、当然のこととして言われました。「目で見える物には全部パースが効いてるから、椅子にもパースが効いている。パースがないのは設計図などの図面だけ。」と。
そうでございますよねぇ〜〜〜! パースか……じゃあ椅子の足の太さを部分ごとに変えないといけないんだぁ…ZETSUBOU…って気持ちがちょっとありましたが、絶望を乗り越えました。せっかく体がちゃんと描けたんだから、椅子もちゃんと描きたいという執念です。
あと、椅子を描くときも、補助線を引いて全体のバランスを取ってからの方がうまくいきます。指摘されるまで足を一本ずつ仕上げようとしていましたが、全然うまくいきませんでしたので、ここに記しておきます。
②床の影と空間
これまで床の影を描かないできたけど、描いてやろうかな、というカジュアルな気持ちで描き始めました。この床の影っていうのが、空間を描写するのに重要なアイテムらしいんですよ。
水平方向にハッチングすると空間が出る、空気遠近法に則って奥の方の影を薄くする、床の影の中にも濃淡がある、というあたりを意識して描きました。そうすると、人間の周囲の空間が表現でき、椅子の重みが! 本当に出た!
空間と実在感がグッと増す、すごいアイテムです床の影。
ちなみに元のモデル写真は、多分なんですけど、床に白い布が敷かれていて、左の方に行くと垂直方向に持ち上がってるんだと思います。
●Day6の頃
実は同じモデルで、Day6(がむしゃら期)に描いてるんですよね。それがこれ。
もう絵に求めるものから違って、比べようがないですねぇ。遠くに来たなぁ…。
推しのイラスト
実はこの椅子に足を乗せているポーズ、これで推しの黑世界の主人公リリーちゃんを描きたいなぁ、と思って選びました。一度デッサンをしてポーズを理解・練習してから、リリーちゃんのイラストを描くって決めていたんです。
遂に、とうとう、満を持して、これまで2ヶ月くらいやってきたデッサンのパワーを使って、推しを描く!! 黑世界の主人公で推しのリリーちゃんを!!
それが冒頭にも載せた、こちらのイラストです。
こ、これが私のイラスト…? 身体ペラペラで立ててもいない絵を描いていた私の…?
未だかつてこんなに、立体感、実在感を持ってイラストを描けたことがあったろうか。いやない。
出したいと思った裸足感もあって、顔の側面と膝に当たる光の感じも出て、肌と髪と服と椅子の質感の差も出てて…嬉しい〜〜!!!! やっっっっっったーーー!!!
ようやく黑世界の主人公で推しのリリーちゃんが!! 描けました!!
ー以下早口
ちなみにイメージは雨下の章一話くらいのはちゃめちゃに目が死んでるリリーちゃんです。リリー(演:鞘師里保)がシュカ(演:松岡充)に、「僕はお前を視ている」って歌われながら床に膝をついていくところのお顔が、すっごい冷たい美人でだーい好き!! 話が進むとふにゃほわに笑うシーンもあるよ、そっちはほっぺがほにゃっとして可愛い。
早口終わりー
絵の構成としてはものすごくシンプルで、見ての通り一色しか使ってなくて、女の子が椅子に座ってこっちをみてるだけなんですよね。それでも、Twitterでいいねが600を越えて、ドイツ語で素晴らしいねってコメントもらえたりして、びっくりしました。見守っていてくれた、めちゃくちゃ立体的でプリっとしてる絵を描く他の友達が、「光があたたかそうなのに表情が拒絶しているようにも感じるから絵の温度が下がるのも、良い」って、分析的なコメントをしてくれて感動しちゃいました…。こんなの初めて。
「デッサンが取れてる絵はそれだけで魅力が出るというのを感じてもらえて嬉しい」、っていつもの友達が言ってくれたんですけど、本当にそうなんですね。しかも自分で感じるだけじゃなくて、人にもちゃんと伝わってる。やったー!!
この上にテーマ性や思想やデザインが乗ってくることでより人を惹きつける絵になっていくんだって! すっごい楽しみ! 何ができるようになっちゃうんだろう!? テーマ性や思想やデザインを絵で表現しようと思ったら、また別のお勉強が必要なんだと思いますが、それも含めてワクワクしますね。
人体の練習を始めたのは、絵の中でできることを増やしたいからだったんですけど、当初想像していたよりもすごい広い世界の片鱗が見えてきた。楽しい…! やったぁー!!
そういえば全て同じキャンパス設定(600dpiでA5よりちょい大きい)で描いてPNGで保存してるんですけど、執念の問題か推しの絵だけPNGだと12MBとかになったので、JPGで載せています。それでも3MBある。え、ほんとになに? 執念?
さて、初めてイラストにしたので、いくつかポイントがありました。
①関節周りのシワの描き方
「中川さんはいつも関節に服を巻きつけて描くけど、そうじゃないよ。」と、フレア袖の画像が友達から飛んできたあの日。リリーちゃんの服装がフレア袖なので何度か調べて描いてみたことがあったんですけど、正直どうして写真のようになるのか、どうやったら描けるのかわからなかったんですよね。
でも送ってもらったフレア袖画像や頭の中でこれまで培ってきた腕の立体的な捉え方を見たり考えたりしながら描き直したら、変わりました。ちゃんとフレア袖っぽい! 人体の立体的な理解は服を描くのにもしっかり役立っています。
以前は関節を強調しないと服の中身がわからんのではないかという気持ちがどこかにあったと思うんですよね。でも今は腕全体の立体感が捉えられているので、関節を不自然に強調しなくても腕があることを表現できる、という自信がついたことも、ブレイクスルーに一役買っていると思います。
②質感の差を出す
肌、髪、服、椅子の質感の違いをこんな風に出したいな、というイメージがいくつかあって、procreateくんの初期ツールをたくさん試しつつ、こういう感じが好きだなぁと思う絵達を見つつ、試行錯誤してみました。それぞれちゃんと質感の差が出てよかったです。
特に、髪の塗り方に元々すごい苦手意識というか、どうやって塗ればいいんだろうって戸惑いがあったんですよね。リリーちゃんは黒髪ウェーブという、お絵かき初心者殺しの髪型なので(最高に似合ってるので変えないで欲しい)。
それで今回いろいろ試して思ったのが、頭の立体をとる→ふさ感を出す→段差とかを反射光で抜く、って順番でやるのがいい気がしました。髪の塗り方に七転八倒していらしたら、ついでに試してみてください。
③イラストでも「なんか変だけどまぁいっか」をしない
だめだぜ。
途中でしようとしてて、ヤメロー!ってツッコミが来ました。違和感に気づいてたしこう直すべきだろうなってまで頭にあったのに、誤魔化せるんじゃないかっていうね、悪しき心。誤魔化そうとするんじゃないよぉ! そもそもイラストを上手になろうと思って練習してたのに、本番で手を抜かない!
●作風を作る
素直に言って、推しのリリーちゃんを可愛く描きたい!て気持ちと、これまでのデッサンを出したい!て気持ちが、統合はされてない状況です。統合しようともしていないというか。
この先、デッサンとイラストのすり合わせがもっと必要かな、と思っています。イラストをこのタイミングで描いたのも、そのすり合わせが課題だよね、と言う話をしていたのもあったので。
要は、作風を作っていくのが、この先に待っている。
顔をもう少しリアル寄りにする(瞼の厚みを描くとか、目の際の粘膜を描くとかディテイールを細かくする)とか、身体をもう少しデフォルメするとかしながら、自分がいいなと思える雰囲気を探していく感じかな。
元々こういう感じの絵がすきだなって見てるのは、けっこう目の粘膜とかを描き込んでる系なんですよね。でも今の顔の感じもスッとしてて結構好きだし体をデフォルメしてもいいかなぁ、と思うので、一朝一夕には決まりそうもありません。
具体的には、デッサンしてから同じポーズでイラストを描いてみるとか、そんな感じのアプローチをとると思います。まだ自由自在に人体が描けるわけではないですしね。
「作風を作る」ことも、絵を描く楽しさを感じなら、これからやっていきたいと思います。
というわけで、エンドレスお絵描きロードはまだまだ続く!!
永遠に絵を描いていられる
「立体感のあるイラストが描けて嬉しいー!!」ってめっちゃよろこんでいたら、友達から「その気持ちがあれば永遠に絵を描いていられるよ」と、もらいました。
私は永遠を手に入れてしまった。
永遠の少女を描こうとしていたら、永遠をこの手に…。
みんなもどうかな!? 「LILIUM -少女純潔歌劇-」と「音楽朗読劇『黑世界 ~リリーの永遠記憶探訪記、或いは、終わりなき繭期にまつわる寥々たる考察について~』」を観るのは! LILIUMと黑世界によって絵が上手くなる効果、私は実感しました!! 永遠も手に入るし!
私は推し舞台に真剣ですが、ひとまずそれはさておきます。
本当に絵を描くのが楽しいです。そして、永遠に絵を描いていける中で、作風だけでなく、何をどう描くかなどの、絵描きとしての自我を見つけていきたいですね。
以前、高校の古文の先生が言っていたことを思い出します。いわく、小説には二つ必要な要素があって、①なにを書くか、②どのように書くか、だそうです。人類史は長いので①なにを書くかはまず間違いなく被るから、②どのように書くかが評価される。でも①なにを書くか、つまりはテーマがないものは三文小説でしかないからしっかり据えなければいけない。ってそんな感じの話。
これって、自分にとってはお絵描きの上でも外せないかな、と思いました。テーマ性や思想やデザインを今後乗っけて絵を描いていくのでしょう。そのときに、それぞれの絵で何をどう描くのか、あるいはどう描きたいのかを、探していくんだろうねぇ。
いやぁ…やることたくさんありますね! 勉強することいっぱいありそう! でも、できることが増えるって楽しいですね。やったぁー!
●ありがとう
お絵描きアドバイスをくれた友達、見守っていてくれたみんな、ありがとう。
●続きもできたよ
推しと推し舞台
最後に、推しと推しコンテンツのご紹介ですよ! 前回もしたし、今回もしますわ。
LILIUMは公式動画がありませんが、黑世界は公式のダイジェスト動画があります! それがこちら!
雨下と日和の二編ありますが、どちらも主演はリリー役の鞘師里保ちゃん。永遠に枯れない花リリーの永遠の旅路を歌って踊る朗読劇でやるんですけど、2020年9-10月に上演されているため、舞台上でもソーシャルディスタンスを取っているんですよね。これがねぇ、いいんだな…歌って踊って当然体で芝居もするんですけど、決して一定以上の距離は近づかない。
この触れざる距離が、時間から外れてしまった永遠の少女の孤独を浮き彫りにするようで最高。
ぜひ、LILIUMを見て、黑世界を見てくれ。LILIUMは今ならU-NEXTで配信もあるから。LILIUMはキャスト全員がハロプロの当時十代の女の子が演じるミュージカルだよ。この作品のせいで拗らせてしまったオタクたちがこの世にたくさんいる。怖いね。
推しの鞘師里保ちゃんがYouTubeの公式チャンネルを作ったので貼っておきます。
Dance practice動画をどれでもいいので見て欲しいんですけど、このダンスのかっこよさを絵に描けるようになったら、また世界が変わりそうな気がしています。
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