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高額取引されるイーサリアム・ネーム・サービス(ENS)とは 歴代トップセールスや利用用途を徹底解説


出典:ENS公式Medium

DNSに対してデータ作成元の認証やデータの完全性を確認できるようにする「DNSSEC」を、ENSの「DNSレジスター」にインプットすると、ETHアドレスで所有するENSネームのサブドメイン(例:_ens.yourdomain.tld)にDNS名を登録できる。ENSネームを元にウォレットアドレスの情報を検索する「ネーム・レゾリューション」が可能になり。要求に対して、ENSの「DNSSECオラクル」がオフチェーン接続を処理する。


米国の仮想通貨取引所コインベースはブラウザ拡張版「Coinbase wallet」でENSに対応しているだけでなく、独自ドメイン「cd.id」をENSにインポートしている。取引所ユーザーは好きなIDを指定して「Username123.cd.id」のようなサブドメインを無料で取得できるようにしている。



ENSとweb3

ENSは、今後到来するWeb3(分散型ウェブ)社会において、あらゆる中央集権型組織から切り離されたアイデンティティを表す「分散型ID(DID)」の役割を担うと期待されている。

既に、多くのWeb3ユーザーがENSネームをコミュニティのユーザーネームとして使用している。22年1月には、ツイッターがプロフィールアイコンをNFT画像に変更できる機能を実験的に導入したため、ENSネームを使用することもできるようになった。


イーサリアムコミュニティの枠組みを超え、幅広い分散型ID(DID)として相互運用性を実現するために、既存のENS名をラップする分散型エージェント「Veramo」との取り組みも進行している。

一方、10月にはAaveの分散型ソーシャルメディア「Lens Protocol」がENSと提携。ENSリゾルバーを使って、Lensの各種データを照会できるようにした。


Lens Protocolは、分散型のソーシャルメディアネットワーク構築ソリューション。Lens Protocol上でユーザーは、音楽やゲームのSNSプラットフォームなどを構築することができる。

LensはまさしくENSをWeb3基盤のDNSとして利用していくようだ。ユーザーネーム、プロフィール写真、カバー画像、アドレスなど「.xyz」ベースのLensデータが、ENSレジスターと適合するようになっている。「Lensのようなデータストアは安全で信頼できる検索手段を必要としており、この分野ではENSほど優れたパートナーはいない」とLensは述べている。

ガバナンストークン

イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)は2017年の設立以来、分散型自律組織(DAO)で運営してきた。21年11月にプロジェクトはDAOガバナンスの分散化に向けて、ガバナンストークンENSを配布した。

発行量1億ENSのうち、半分はコミュニティ育成用に配分され、4分の1はENSの開発貢献者に、残りは、2021年10月31日までにENSネーム(.eth)を契約したユーザーにエアドロップ(無料配布)された。

同時期にENSはコミュニティ代表者を募集。選ばれた代表者は個人の投票に代わり、コミュニティの意思決定に貢献していく。ENSのDAOデリゲート(代表者)として選ばれた米コインベースは、ENS DAOで初めての投票を開催した。

関連:米コインベース、Ethereum Name ServiceのDAO提案に投票

ENSトークンの保有者は、関連プロジェクトの資金配分やDAOディレクターの任命などについても投票できる。ケイマン諸島で法人化されたENS FoundationがDAOの管理下に置かれ、現実世界でDAOを代表する

2022年は、金融マーケット及び暗号資産(仮想通貨)市場に逆風が吹いている。ベアマーケット(弱気相場)が長期化している中、イーサリアムのウォレットアドレスを簡略化する「ENSネーム」の売れ行きは好調だ。

分析サイトDuneによると、ENSネームの新規登録件数は9月に437,000件、前月の301,000件から57%増加した。22年10月10日時点にENSユーザー数は56万を超えており、ENSネームの累計登録数に関しては260万件で、5月以来2倍以上に増加している。

公式ツイッターによると、ENSのDAO(分散型自律組織)が受け取る販売収益に関しては、22年9月に累計8億円(550万ドル)となり、前月比で17%増加している。

NFT(非代替性トークン)電子市場OpenSeaでENSは、過去30日間の取引量が約13億円(950万ドル)となり、イーサリアムベースのNFTコレクションとして5位にランクイン。PFP(プロフィール画像)コレクションが立ち並ぶマーケットで異彩を放っている。

9月27日には、暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックが運営するNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」でENSネームの取扱いが開始したばかり。

Web3(分散型ウェブ)の文脈においても、ENSは分散型ID(アイデンティティ)の役割を担うと期待される。

この記事ではイーサリアム・ネーム・サービス(ENS)の仕組みや使い方、企業の導入事例について解説する。


ENSとは

イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)は、「0x」で始める英数字の長い羅列であるイーサリアムアドレスを簡素化し、より覚えやすく簡単な文字列を仮想通貨のアドレスとして利用できるようにするためのサービス。

「coinpost.eth」のように一見して識別可能にすることで”誤送金”を防ぎやすくなるメリットもあり、ユーザーがより簡単に資金を送受信できるだけでなく、コミュニティのユーザーネームとしても普及している。「.eth」以外にも、「.xyz、 .kred、 .luxe、 .app、 .io」に対応する。

ENSはWeb3(ウェブスリー)におけるDNS(ドメインネームシステム)とされ、IPアドレスではなくユーザーのイーサリアムアドレスに対応する。

例えば、Ethereumの共同創設者Vitalik Buterin氏のENSネーム「vitalik.eth」は、彼のイーサリアムアドレス「0xd8….45」に紐づいている。

ENS自体はNFT発行用のトークン規格ERC-721に準拠するため、NFTと同様にアドレス間で送受信したり、OpenSeaなどのNFTマーケットで転売することも可能。

そのため、インターネットのドメイン同様にchanel.eth、nike.eth、hermes.ethなどといった、有名ブランドの名称や固有名詞などを、将来的に高値で売却することを期待して買い占める投機的な動きも拡大した。仮想通貨業界の多くの著名人が個人用にENSネームを使用するだけでなく、ENSネームを取得する企業も登場している。

21年8月には、米大手ビール銘柄の「バドワイザー」が、ENSネーム「beer.eth」を約30ETH(約1,100万円)で購入して注目を集めた。


ENSネームのトップセールス

NFTコレクション別に歴代トップの落札額をチェックできるNonFungibleによると、ENSネームの最高額は「paradigm.eth」。2021年10月に2.1億円(420ETH、当時149万ドル)で落札された。




この取引は当時、米コインベースなどに出資する大手VCParadigmによるものと指摘されたが、同VCはこれを否定している。


ENSネームの歴代セールス2位は9月22日に当時350ETH(当時6,700万円)相当で落札された「pjfi.eth」だ。販売者はその数日前にこのENSネームをわずか0.12ETH、約23,000円で購入したことが分かっている。

より文字数が少なく、よりバリエーションが少ない数字(ナンバー)は、希少性が高く、高価で取引される傾向がある。歴代第3位は「000.eth」で、2022年7月3日に約300ETHで販売された。000.ethは通算で6名のウォレットを渡り歩いており、1番最初の取引は2019年11月9日に52ドルで成立している。

特に「123.eth」や「456.eth」のような3桁台は、高単価で取引される傾向がある。執筆時点、OpenSeaに掲載されている3桁のENSネームで最も安いものは約700万円(36 ETH)で販売されている。


背後では、3桁または4桁のENSネームの所有者のオンラインソーシャルクラブ「999 Club」や「10k Club」のブームがある。22年夏には、1,000以上の投資家(アドレス)が100番以上のネームを買い占める熱狂が確認された。


これに派生して0~99まで2文字+絵文字のENSネームを持つ「Ethmoji 99 Club」や、シングル絵文字+.ethの「Ethmojis」などが人気カテゴリーとなっている。

ENSの取得コスト

ENSネームを保有するには、レンタル料を支払うことになる。費用はENSネームの文字数(3文字、6文字など)と期間により算出される。先ほどのvitalik.ethは2034年まで取得されていた。

文字数が少ないほど利用可能な組み合わせが限られるため、3文字のENSネームが最も高価になっている。年間コストと文字数に応じた基本価格は以下の通り。

3文字の.eth名:年間640ドル(ETH払い)
4文字の.eth名: 年間160ドル
5文字以上の.eth名: 年間5ドル

出典:ENS公式サイト

また、ENSはイーサリアム・ブロックチェーンをベースとするため、ネームの取得やNFTの送付時に、オンチェーン手数料(ガス代)をETHで支払う必要がある。例えば、「cpwriter.eth」の取得時にかかるコストは、7.34ドル分のETH+トランザクション発行時のガス代(ETH)となる。

ENSの仕組み

ENSを構成するメインシステムは、「レジストリ(registry)」と、「リゾルバ(resolver)」と呼ばれる2つのスマートコントラクト。レジストリが、全ENSネームと所有者(ウォレットアドレス)、対応するリゾルバ等を記録する。また、ネーム購入者がサブドメインを発行する際に使用される。

リゾルバは、名前をアドレスに変換する実際の処理を行う。ENSネームを元にウォレットアドレスの情報を検索することを「ネーム・レゾリューション(name resolution:名前の解決)」と言う。


出典:ENS公式サイト

ENSでの名前解決は2段階プロセスで行われる。最初に、レジストリにENSネームを担当するリゾルバを問い合わせ、次に、そのリゾルバにアドレスを要求する。

アプリケーションがENSアドレス「alice.metamask.eth」を解決したい場合、まずレジストリに対応するリゾルバを問い合わせ、次にリゾルバーに問い合わせ、「0x890AB…」の解を得ることになる。

ENSの採用拡大

2017年5月のローンチ以来、ENSはブロックチェーンドメインの標準(スタンダード)として広く利用され、様々なdApps(分散型アプリ)に採用されている。

Metamaskなど主要なウォレットはENSネームを使った送受信に対応しており、長いアドレスの代わりにENSネームを指定して、NFTを含む様々なトークンを送受信することができる。

ENSリゾルバーはレイヤー2「L2(Optimism、Arbitrum、Starkware、ZKSyncなど)」やEVM(イーサリアム仮想マシン)互換チェーンからも通信可能になっており、22年1月時点に17以上のEVMチェーンでENSネームを表示可能になっている。

DeFi(分散型金融)レンディング大手Aaveなど、ENSをサポートしているdAppであれば、どのチェーンで接続しても、自分のプライマリ(第一)ENSネームが表示されるようになっている。


さらにENSは21年8月に「.eth」だけでなく、DNSで取得している従来のWebドメイン( .com等)を統合。既にDNSを所有している組織や人は、ENSでもドメインを使用できるようになった。下図は右上のアドレス表示欄に「.com」ドメインが表示されている。



DNSに対してデータ作成元の認証やデータの完全性を確認できるようにする「DNSSEC」を、ENSの「DNSレジスター」にインプットすると、ETHアドレスで所有するENSネームのサブドメイン(例:_ens.yourdomain.tld)にDNS名を登録できる。ENSネームを元にウォレットアドレスの情報を検索する「ネーム・レゾリューション」が可能になり。要求に対して、ENSの「DNSSECオラクル」がオフチェーン接続を処理する。


米国の仮想通貨取引所コインベースはブラウザ拡張版「Coinbase wallet」でENSに対応しているだけでなく、独自ドメイン「cd.id」をENSにインポートしている。取引所ユーザーは好きなIDを指定して「Username123.cd.id」のようなサブドメインを無料で取得できるようにしている。


Web3とENS

ENSは、今後到来するWeb3(分散型ウェブ)社会において、あらゆる中央集権型組織から切り離されたアイデンティティを表す「分散型ID(DID)」の役割を担うと期待されている。

既に、多くのWeb3ユーザーがENSネームをコミュニティのユーザーネームとして使用している。22年1月には、ツイッターがプロフィールアイコンをNFT画像に変更できる機能を実験的に導入したため、ENSネームを使用することもできるようになった。



イーサリアムコミュニティの枠組みを超え、幅広い分散型ID(DID)として相互運用性を実現するために、既存のENS名をラップする分散型エージェント「Veramo」との取り組みも進行している。

一方、10月にはAaveの分散型ソーシャルメディア「Lens Protocol」がENSと提携。ENSリゾルバーを使って、Lensの各種データを照会できるようにした。


Lens Protocolは、分散型のソーシャルメディアネットワーク構築ソリューション。Lens Protocol上でユーザーは、音楽やゲームのSNSプラットフォームなどを構築することができる。

LensはまさしくENSをWeb3基盤のDNSとして利用していくようだ。ユーザーネーム、プロフィール写真、カバー画像、アドレスなど「.xyz」ベースのLensデータが、ENSレジスターと適合するようになっている。「Lensのようなデータストアは安全で信頼できる検索手段を必要としており、この分野ではENSほど優れたパートナーはいない」とLensは述べている。

ガバナンストークン

イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)は2017年の設立以来、分散型自律組織(DAO)で運営してきた。21年11月にプロジェクトはDAOガバナンスの分散化に向けて、ガバナンストークンENSを配布した。

発行量1億ENSのうち、半分はコミュニティ育成用に配分され、4分の1はENSの開発貢献者に、残りは、2021年10月31日までにENSネーム(.eth)を契約したユーザーにエアドロップ(無料配布)された。

同時期にENSはコミュニティ代表者を募集。選ばれた代表者は個人の投票に代わり、コミュニティの意思決定に貢献していく。ENSのDAOデリゲート(代表者)として選ばれた米コインベースは、ENS DAOで初めての投票を開催した。


ENSトークンの保有者は、関連プロジェクトの資金配分やDAOディレクターの任命などについても投票できる。ケイマン諸島で法人化されたENS FoundationがDAOの管理下に置かれ、現実世界でDAOを代表する。


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