ビットコインとS&P500、ゴールデンクロスが目前 ──ただし、毎回上昇するわけではない

ビットコイン(BTC)とウォール街の株式指数であるS&P500は、しばしばトレーダーを歓喜の渦に巻き込む強気のテクニカルシグナル、ゴールデンクロスの寸前にある。

ゴールデンクロスとは、価格の50日単純移動平均(SMA)が200日SMAの上方に突き抜け、チャート上に交点(クロス)を形成することだ。移動平均線は先行指標ではないため、このシグナルは市場の短期的な上昇が長期的な上昇を上回ったことだけを示唆している。しかし、チャートアナリストやトレーダーは、このシグナルを長期的な価格上昇の前兆と見ている。

米投資会社ヴァルキリー(Valkyrie)のアナリストは最近のニュースレターで、ビットコインとS&P500の日足チャートで目前に迫ったクロスに言及し、「近い将来、強気のゴールデンクロスが起こる可能性が高まり、変化の風が吹き始めている」と指摘した。

チャートプラットフォームのTradingViewによると、ビットコインは2週間以内に2021年9月以来のゴールデンクロスが発生する可能性が高いという。一方、S&P500はまもなくゴールデンクロスを発生させるようだ。

ビットコインとS&P500のゴールデンクロスの同時出現は、トレンドを追う暗号資産トレーダーが新たに市場に参入する動機になるかもしれない。ビットコインは2020年初頭からマクロ資産として進化しており、S&P500と一致して推移する傾向がある。

ただし、ビットコインの大きな上昇はしばしばゴールデンクロスで始まるが、すべてのゴールデンクロスが大きな上昇につながるわけではないことに注意する必要がある。


ビットコインはこれまでに8回のゴールデンクロスがあり、そのうち2012年2月、2015年10月、2020年5月に確認されたものは、価格が100%から350%も上昇する少なくとも1年間にわたる強気市場を予感させるポイントだったことがTradingViewのデータからわかる。

一方、2014年7月、2015年7月、2020年2月のゴールデンクロスは、その後の数週間から数カ月でデスクロスに向かって激しく下落するブルトラップになった。デスクロスとは、ゴールデンクロスの逆で、長期トレンドの弱気転換を意味する。

ビットコインは、2019年4月と2021年9月のゴールデンクロスの直後に顕著な価格上昇を見せた。しかし、これらの利益はつかの間のものだった。

2019年4月と9月に形成された残りの2つのゴールデンクロスは、その後の2カ月で価格は急騰したものの決定打に欠け、後にデスクロスに陥った。

S&P500の過去データも似たような図式を描いている。同指数は1930年以降、52回のゴールデンクロスを経験している。ダウ・ジョーンズのデータを引用したMarketWatchのレポートによれば、この時、翌年の株価は71%の確率で上昇しているという。

つまり、ゴールデンクロスは単独の強気指標としては信頼性が低く、他の要因、特に月を追うごとにタカ派的でなくなっている連邦準備制度理事会(FRB)の政策と合わせて読む必要があるようだ。

予想通り、FRBは2月2日に0.25%の小幅な利上げを行い、基準金利を4.5%から4.75%のレンジに引き上げた。連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でジェローム・パウエル(Jerome Powell)FRB議長は「インフレはやや緩和した」と認める一方、金融引き締めによる景気後退のリスクを軽視したことで、リスク資産に明るい兆しをもたらした。

INGグループのアナリストによると、FRBは3月に0.25%の追加利上げを実施し、その後、2022年の金融市場を揺るがした利上げサイクルを一旦停止する可能性が高いという。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/TradingView

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