Vtuberの恋愛とガチ恋の大きなリスク

メディアやSNSでは、芸能人の恋愛事情が地球上で最も重要なことかのようにセンセーショナルに発信されている。

バーチャルの存在であるVtuberも例外ではなく、彼氏がいるとうわさされただけでも大騒ぎだ。この話題はまとめサイト等でよく面白おかしく取り上げられているので、見たことがある人も多いだろう。

しかし、話題になることは事実だが、それで「恋人がいたら文句を言う人ばかり」と言われるのはファンとしてかなり違和感がある。もしそうなら登録者が減ったり辞めたりする人が大勢いるはずだが、筆者は殆ど見たことがない。また、結婚や出産を発表するVtuberもいるが、集まるのは祝福するコメントばかりである。

Vtuberは恋愛NGではないのだろうか?

ファンは何を観ているか

炎上というのは、その事態に対して不満がある人が多数存在することで発生する。今回の場合では、ガチ恋勢等といった異性と関わることに抵抗がある人達が該当するだろう。

だが、実際に多いのはVtuberを面白くて観ている層だ。

そもそもVtuberというものが人気になったのは、配信中に起こった面白シーンが切り抜かれたためである。現在もファンの入り口となっている切り抜きは、面白場面やゲームや歌がうまかったりするシーンのものが圧倒的に多いことからもわかるだろう。

また、関係性オタクと呼ばれる人たちもかなり多い。Vtuberの人間関係はバッグ中にいれた有線イヤホンのように絡んでいるので、そういう人達にとっても非常に魅力的だ。

ただし、ガチ恋勢が少数だとはいっても相対的な話で、例えば登録者が100万人いればたった1%だとしても単純計算で10000人程度存在することになる。なのでファンの総数などの情報を何も知らない外部からから見れば、そういった層が大半だと誤解されることもあるだろう。

また、ガチ恋というのは理解できない人達にはとても滑稽に写るため、もの笑いのタネとしてまとめサイト等が恣意的にピックアップし、多数だと錯覚させている。というのも理由のひとつだと思われる。

事務所のルール

恋愛でよく話題に上がるアイドルや声優は、そもそも所属事務所が恋愛を禁止している(調べてみるとどうやら一概にはそうだと言えないようだが)場合が多い。

では、Vtuberではどうかというと、実はそんなルールがある事務所は殆どない。というか全く存在しない。

大手の採用ページをいくつか確認したが「どんな人でも才能があれば採用します!」と書いてあるばかりだ。アイドルを自称している事務所だったとしても、恋愛禁止なんてどこにも記載されていない。

中には結婚して子供いたり、過去の恋愛遍歴を語るVtuberが多数いる事務所もあり、更には男女をカップリング(これはネタでやっているだけだが)したりと、むしろ推奨しているきらいすらある。

いったい誰の話なのか

今まで「Vtuberに恋人が〜」と表現してきたが、これは誤った表現だ。実際に恋人がいた、又はそう噂されているのはVtuberの演者、つまり中の人である。この違いはかなり大きなものだ。

大半のファン及び運営事務所はVtuberを独立した存在として認識しており、中の人とは完全に別として考えている。なので恋愛に限らず中の人がどうといわれても知ったことではないのである。これは、ディズニーランドにいるミッキーマウスのようなもの、というとわかりやすいだろうか。

また、恋人の有無というのは、Vtuberの数ある設定の一つに過ぎない。にも関わらず、この項目のみを現実とリンクさせるというのはどう考えてもおかしいだろう。

現在まで炎上した、と言われているものの殆どは中の人の話であるので、実際に「Vtuberが」炎上した例は非常に少ないといえる。炎上がファンに無視されているのもこのためで、ガチ恋がどうこう以前の根本的な話だ。

余談だが、Vtuberを理解できない、人気の理由がわからない人達は、「中の人は○○(例えば容姿)なのに~」と同一視している場合が多い。なので、この「Vtuberを中の人と別に考える」というのがファンとそうでない人達との大きな溝となっているのではないか、と考えている。

情報源はどこ、誰から

炎上が盛り上がらないファクターとしては、その情報が高確率で第三者の手によって暴露されている。というのも大きい。

配信中に発覚した場合(例えば、メッセージや声、写真が画面上に表示されてしまう)であれば、Vtuber自身がバラしてしまっているので流石に中の人の~といのは苦しい言い訳である。更に情報管理が杜撰であるとしてガチ恋勢はともかく一般層からも批判の声が挙がる可能性もある。

だが、悪意を持った第三者が「こいつが彼氏だ!」などと動画サイトやSNSで発信しているとなれば話は別だ。

アンチや荒らしの情報に、はいそうですかと素直に従うファンは少ないだろう。逆に猛反発してしまうはずだ。それに、この場合怒りの矛先を向けられるのは、マスコットの頭を無理やり脱がせるような行為をした第三者の方である。

しかも、この暴露するような情報というのは検索すれば簡単に出てくるものが多く、中にはそのVtuberが活動するかしないかぐらいから存在するものもある。そんな古い情報で誰が炎上するものか、むしろ気にしているのに知らないという方が悪いまであるだろう。

ガチ恋のリスク

上述の通り、大抵のファンや事務所は恋愛に関してかなり好意的、というより推しが幸せならなんでもいいと思っている。個人的には健全でいいと思うのだが、ガチ恋勢にとっては深刻な状況だ。

なぜなら、Vtuberが「ガチ恋して!」などと言ってたとしても、恋人がいないのを保証するものはなにもない。ということだからだ。なので良く考えた方が…

と、ここまで書いた時、誰かが炎上したらしいという情報が流れてきた。どうやら配信中に何かが映ってしまったらしい。

そのVtuberはかなり荒稼ぎしていたらしいが、彼氏がいた又はそうと誤解されないような対策を全く講じていなかったのは興味深い話である。甘い汁を吸い続けたいのならば、より一層慎重になるべきだろう。

だが、問題はこのVtuberではなく、ショックを受けているガチ恋勢の方である。

配信外のことを全く知らないにも関わらず、勝手に信用して精神的、物理的に莫大注ぎ込んでいた、というのはいくらなんでも不用心すぎる。相手は営利目的の配信者であるので、共感してくれたり優しかったりする意味をもっと理解すべきだ。

しかも、この事務所は例によって恋愛禁止ではなく、「他に問題がなければ」お咎めはないはずなので、恐らく文句を言っても何も返ってはこないだろう。それに殆どのファンは炎上してかわいそうぐらいにしか思っていないので、対応を間違えなければ10日もしないうちに元通りだ。ガチ恋勢の一人負けである。

この話は今回だけでなくVtuber全体に言えるので、ガチ恋するにはリスクが高すぎる…というかこちら側にはリスクしかない(Vtuberは画面越し、更に次元も違うので会うことすらできない)と言える。

それでもガチ恋したいというのなら、相手のことをちゃんと調べ、適切な距離感で推すべきだろう。アンチになられても困るし、がっかりするのは自分である。


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