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メディバンプロで水彩風 3・テクスチャのレイヤーとブレンド

iPad用ペイントアプリ、MedibangPro(メディバンプロ)で透明水彩風に塗ることだけに偏った解説シリーズ。
今回は、テクスチャのレイヤーを重ねるブレンドモードについて。
※執筆時のバージョン1.0.10に基づいています。
※「メディバンペイント」「メディバンペイントプロ」ではなく、「メディバンプロ」の記事です。


テクスチャのレイヤーを用意する

メディバンプロのシンプルなブラシでは、アナログ風の表現には物足りない。これを補うためにテクスチャ(質感)のレイヤーを重ねて、紙目や色むらなどを表現する。
テクスチャは実際の紙をスキャンしたものや写真で撮ったもの、ネット上で有料または無料で配布されているものも使えるが、ここでの解説ではメディバンプロの機能に含まれているカスタムノイズとテクスチャ素材を使う。
新規レイヤーを作り、カスタムノイズで生成するか素材を貼り付ければテクスチャのレイヤーができる。
カスタムノイズと素材の使い方については以前の記事で。

レイヤーブレンド

レイヤーにはいくつものブレンドモード(合成モード)があるが、ここでは目的を水彩風に絞り、白黒のテクスチャ(明暗の情報のみ)で紙目や色むらを表現するのに役立つと思われるブレンドモードを解説する。

左の画像に、中央にはグレーの画像を100%で、右にはテクスチャの画像を80%で重ねていく。
この図ではいずれもブレンドモード通常、100%。

乗算

乗算は透明色を重ねるように、下にある画像を覆い隠さずにレイヤーの色を足すモード。明るい色を重ねても明るくならず、重ねるほど暗くなっていく。
下の画像の色や明るさに関係なくプラスされていくため、下の画像が真っ白でも乗算レイヤーの画像は反映される。
このため白地にもテクスチャを乗せられる一方で、画面全体は暗くなってしまう。

乗算

オーバーレイ

オーバーレイは、レイヤーの色と明暗が、下の画像の明度に合わせて合成されるモード。下の画像の明るい部分には弱く、暗い部分には強く反映される。
中間のグレーに近いほど、オーバーレイレイヤーの画像がそのまま反映される。
テクスチャの明暗を、下の画像の色のある部分にのみ合成でき、なじみやすいのでテクスチャをのせる定番のブレンドモード。手軽に水彩風にするなら、他を覚えなくてもこれだけで十分とも言える。

オーバーレイ

覆い焼き

覆い焼きは、レイヤーの明度によって下のレイヤーの画像の色の明度と彩度が上がるモード。覆い焼きレイヤーの明るい部分ほど、下のレイヤーの画像を明るく鮮やかにし、覆い焼きレイヤーの真っ黒な部分は、下のレイヤーの色に影響しない。
全体としては明るくなりつつコントラストが強まる。

覆い焼き

焼き込み

焼き込みは、レイヤーの明度によって下のレイヤーの画像の色の明度が下がり、彩度が上がるモード。焼き込みレイヤーの暗い部分ほど下のレイヤーの画像を暗く鮮やかにし、焼き込みレイヤーの真っ白な部分は、下のレイヤーに影響しない。
全体としては暗くなりつつコントラストが強まる。
つまり覆い焼きの明度の影響が逆転したブレンドモード。

焼き込み

複数のテクスチャとブレンドモードを組み合わせる

実際の水彩画では、紙目の凹凸、絵の具のむら、粒子の沈澱など複雑な要素が重なり合っている。メディバンプロでそれを再現するのは不可能ではあるものの、複数のテクスチャを効果の違うブレンドモードで重ねていくことで、水彩風の表現を目指している。
ただ、レイヤー数が多いほどデータも負荷も重くなるので注意。

ブレンドモードはここに紹介したものをすべて使う必要はないし、ここで紹介しなかったものを使ってもいい。

テクスチャのレイヤーのブレンドモードと不透明度を設定し、重ねたらフォルダ化してまとめ、ロックして階層の上に置いておく。
毎回テクスチャの組み合わせを作るのは大変なので、組み合わせたテクスチャのファイルを作ったらそれをテンプレートとしてとっておき、複製して使う。

この絵では、素材のテクスチャ(モノクロ)のうち4種の紙テクスチャを重ねている。
紙目の凹凸にできた影、紙の繊維、凹みに溜まる絵の具、色ムラなど、水彩画の要素を考えてテクスチャとブレンドモードを選んでいるが、あくまでこれは一例なので、各自自分で好みのテクスチャを探してみてほしい。

今までの記事はこちら

次回は水彩風に描くための小技集を予定しています。
その前に、テクスチャを重ねる作業をしなくてすむ、テクスチャ設定済みmdpファイルをいくつか配布予定です。配布しています。

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