ぶらんこ
揺れる、揺れる、ぶらんこ一台。
そこには誰も乗っていない。
だけど、揺れる、揺れる。
僕はベンチでその様子を見ている。
大きく、大きく、揺れる、揺れる。
くるりと一周回ってしまいそうなほど。
揺れる、揺れる、ぶらんこ一台。
揺れはだんだん収まっていく。
だけど、揺れる、揺れる。
止まらない動きに僕は魅入られる。
小さく、小さく、揺れる、揺れる。
揺れが止まった。
静かになったぶらんこ。
次は僕の番。
僕はぶらんこを漕ぎ出す。
揺れる、揺れる、ぶらんこ一台。