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飼い猫に本気噛みされた夜の話

突然だが、
うちには猫がいる。
名前はジュピター
2歳オス、足が短いマンチカン。
尻尾のところにアルファベットの”j”みたいな模様があるのと、
しましまのパターンが木星っぽかった(らしい)から、
そう名付けられた。
彼は、猫にしてはだいぶ大人しく、
最初、引き取りに行った時に初めてブリーダー?に会ったときにも、
「大人しくて飼いやすいと思う」
とお墨付き(大人しすぎて猫っぽくないから人気がなくて最後の一匹だった模様)をいただいた
それはありがたい猫である、タブン。

いつもは温厚な彼なのに、
ドライヤーや掃除機などの大きな音を聞いた途端、
血相を変えて一目散に走りだし、
部屋の隅っこの一番ホコリが溜まるところにスライディング!セーフ!!
そして、小さく丸くなって息を潜めるのが常なのである。

だいたい
いつもと何か違うことが起こってしまう日は、
”いつもと違うこと”がいくつか重なっていることが多い


次女が、
あの文房具入れの一番奥の方にあった
”穴あけパンチ”(思春期の男の子っぽいネーミング笑)をついに見つけた!
見つけてしまった!
よりにもよってこんなシーズンに!致命的だ!
南国産まれ、南国育ちにとって、
”スノゥ”への憧れは、計り知れないモノなのだ
本物のスノゥを見たことも無いくせに、
いや、見たことがないからこそ、
スノゥというものへの幻想がさらに幻想を呼び、
イリュージョンッッ!!
「スノーフレークにミルクをかけて食べたいなぁ」
とか
訳わからない次元へと到達してしまうものだ

その次女が、そこで、乱暴に穴あけパンチを持って立っている!
おもむろにプリンターにセッティングしてあるA4用紙を一枚サッと抜き取り
今度は、その用紙をパンチの僅かな隙間に挟んでセッティングしているではないか!
なんであそこに、ああやって紙を挟むって、もう知ってるんだろうな
野生のカンってやつかな?
あれを見るともう、絶望的な気分になるわ
次に彼女が何をするのかはもう、想像に容易い。
無限にレバーを押し続ける
押し続けるのみ、だけ。
こんなときにだけ、無駄に集中力が発揮される
エネルギーと集中力の無駄遣い
命を繋いできた全先祖に謝れ!
口なんて半開きで、永遠無限の勢いさ!
この師走の忙しない空気の部屋には、
カチャカチャカチャカチャと、
そしてそのカチャカチャに少し遅れて追いかけるように
シャクシャクシャクシャクと
A4コピー用紙が押し切られるときの音が
ハーモニーを奏でる・・・
いや、不協和ーーーーーー音!!
不気味に部屋中に響き渡る
カチャカチャシャクシャク
耐えがたい!
耳につく!選手権、ぶっちぎり優勝!
だって、もう、ママさ、
次女に関する未来を見通すSPECがあるから、
なんでこんなにも、耳につくのかわかるよ
耳どころか、髪の毛とか、顔とか、服にもつきまくるんだよ、この後
このただ丸くて白いだけの
量産されまくったー
あれだ!
あのぉ〜穴あけパンチで押し出されて出来た
不要な部分の方の、丸丸丸丸丸達が、
あれだ
くっつくんだ、身体中に、きっと

次女「みて!みて!ママ!マレーシアに雪がぁ、フルぅぅぅー!」
ザキヤマさんかよ!誰も教えてないのになんで知ってるんだ?
期待を全く裏切らない4歳児だ、拍手!

次女「か〜れきに はなぁ〜を さかせやしょ〜♪」
えっ?
ちゃうやん、自分、雪ゆうたやん!?
なんでここで”花咲かジジイ”出てくんの?
スノゥフレークにミルクぶっかけはどこ行ったぁー!?
吹いたわ
ママの鼻息で小さい丸いのさらに舞い上がって
家中スノードームみたいになってまうわ!
誰が”お土産げの定番”だ!

はぁー
不要な情報が多すぎて
いっこうにジュピターの噛みのシーンにたどり着けないことを先にお詫びしておきます

でさ、やっぱり一通りやったら、
4歳児ってすぐ飽きるじゃん?
案の定、フロアー丸のモザイク画みたいになってたのね
その丸、全部白の丸のはずだったのに、
ママのわずかばかりのささやかなエコの精神のために、
プリントしたものの裏面をもう一度使おうと思って差し込んであった用紙だったみたいで、
本当になんらかの謎のアートが出来上がってたんだけどね、イリュージョン!

で、いつもはオコになるはずのママも、
この日はそうではなかった。
その理由は、少し前に我が家にやってきた
新しい、コードレスの掃除機
楽しくて、楽しくて!
プラグから解放して、パワーHIGHを使用すると、
結局20分くらいの命のそれ。
限りある命にこそ、愛おしさが増すというもの!

壁の近くで、常にスタンバイしている彼に目配せする
「奥方様!わっちは、スタンバイオッケーでやんす!フルバッテリーでやんす!」
とウィンクしながら、彼が言った(気がした

ほほおぉ、いいでしょう。
今日も、マックス20分思う存分フロア中を駆け巡りながら、
モザイクを全部吸ってやりましょう!
しがらみを解き放て!お前自身の自由を謳歌するんだ!
ボタンを押した瞬間、軽快な滑り出し!
吸い込み口に重心がくるように設計されているのかしら?
こちらが強く押すことなく、少しだけ手を添えるだけで、
自動で進んでゆくこの感じ
まるで、それ自体が意志を持って動いてくれているかのよう
なんてはかどるのかしら?
あなたって、本当に優秀ね!

ゴスっゴスっゴスっ

あまりに気分良くスムーズに掃除機をかけまくりすぎていて、
ママは大切な何かを見落としていたに違いない
なんせタイムリミット20分だから、超集中よ
いや、あの時、例え耳を注意深く済ませていたところで、
それに気づけたはずも無い
だってこちは掃除機をかけていたんだよ。
すげー音するじゃんか、掃除機って、やっぱり。
丁度、そこのカーテンの後ろで、
ゴスゴスゴスゴス
って掃除機ぶつけられて
シャーッッ!シャーッッ!!シェーーーーーーッッ!!!
って魂の叫びを上げていたであろうジュピターが
まさかそこに居ただなんて、
そんなこといったい誰が気づくことができたのだろう

先でも申し上げたが、
だいたい、
何かいつもと違うことが起こる日は、
いつもと違う事が起きているものなんだ(小泉節)

流石に、ゴスっゴスっ
って何かに突っかかって、角のすみまで、掃除機をかけられてないよな?って
カーテンをはらって目視せずに
手探りにトライしたママが悪かったんだ!
ここはマレーシアだぞ?!
マレーオオトカゲが陰に潜んでいる可能性がないわけでも無い
細心の注意を払わなくてはならなかったのに、
ママはそれを怠った

ズシューーーンッッ

手に激痛が走る
押さえようとしたら、さらに興奮して
ガブリッッ!
んんんんノノののノノのノノノノのぉぉぉぉぉぉ!!!!
いっ、いちゃいれす(痛いです

ああそうだな、そうだったな。
君はさ、ジュピター、
次女の
”か〜れきに はなぁ〜を さかせやしょ〜♪”
が大嫌いだったもんな
あれを彼女が大声で言いながら
紙とか、なんらかの小さなかけらを、パラパラを撒くたびに
君はコーナーに逃げ込んでは小さくなって、存在を消してじっとしていたもんな
それで、みんなに忘れ去られて、ついにはみんなが外出までしちゃって、
ケージの中にあるトイレにたどり着けずに大失敗をしてしまった事、あるもんな
ごめんな
今回も、いつもは君がいないこの時間に、
まさか君が、そこにいただなんて想定外だったから、
新しい掃除機でゴスゴスゴスゴス突きまくられて
恐怖の連続で、もう
「ヤるしかねぇ!アイツ、今回ばかりは、ヤるしかねぇ〜よ!」
ってなったのもわかる、わかるよぉ〜
もう噛むな!シャーするな!鎮まれーーーーい!!!!!

次女が泣いている
どうしたの、ママのことを心配してくれているのかな?
次女「わたしもホスピタル行きたーい!ママだけズルいー!」
知らんがな!
次女「わたしもさ、ホスピタルいって、あのぉ〜前、
車のドアで、この指とぉこの指を、ドアではさんだの。
で、エクスレイしてぇ〜、
あ、まって、今エックスレイ持ってくるから(マレーシアはレントゲンの白黒のフィルムをもらえる)、まっててね、待っててね、うごいちゃダメよぉ〜」
待てない!
血が垂れてくるし、一刻を争うウイルスとの戦いなんだから、待てないよ!
パ「大丈夫?なんかあったら電話してね、電話持っとくし」
寝るなよ!絶対寝るなよ!本当に心配してるのなら!ってか、支払い額、未知数だから、グーグーすなよ!

パスポートと1000リンギットを持って
あと、母子手帳とか、猫のワクチンの記録とか
もろともカバンに突っ込んで、
夜の9:00に病院のイマージェンシーに向かった
ネットで調べてたら、
”猫に噛まれて、感染症にかかって大ごとになった”
とか怖いこと書いてあって、
脳内グルグルが始まる
血が止まらないし、結構ザックリ深そうだったから
早く抗生物質打っとかないと、心配で夜も眠れずさらに免疫が低下して、
身体中でウイルスが増殖し、猛威を振るうことになってしまう
想像がホップ ステップなし ジャーンプなママは、
一晩中ぐるぐる妄想をすることだけで、
軽く3回くらいは死にかけることができそうな気がした
丑の刻あたりなんて本当に危険だ!
何がなんでも、薬だけは手に入れなくては!

どこの馬の骨ともわからない、日本のパスポートだけ持ってきました〜
みたいな中年の外国人にも、マレーシアの病院はちゃんと暖かい
あ、ちゃんとキャッシュで500リンギット、ディポジット払ったからだと思うけどね
傷口の消毒してくれて、抗生剤の注射打って、エックスレイ撮って、
薬も抗生剤とペインキラー処方してくれて
ドキドキのお会計の時がやってくる

しめて、360rm

とりあえず、ホッ

なんだかんだ自宅にたどり着いたときには
12:00AMを回っていた
とりあえず、ホッ(2回目

カーテンがぬらりと動く
おっ、おい!まさかっっ、君は!
ジュジュジュジュジュ、ジュピターやないか!?
おい!君は、もうちょっと主張しなさい!
また、ケージに戻し忘れ去られてるじゃあ無いの!
あれからずっとそこにいたの?
膀胱パンパンじゃ無いかい?
みんな、もう少し、自分の事以外にも、目を、気を配ろうよ。

そして、おい!夫よ!夫はどこよ!
彼は、携帯さえもほったらかしにしたまま、
グーグー遺伝子を持つ者らしく、
そのグーグーの遺伝子を受け継ぐ子供達共々
ベッドルームでグーグー眠っておりました
長女に次女に夫で
久しぶりの川の字だね❤️

で、終われるかッッッ!!!

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ジェーーーーーーい!!!

読んでくださってありがとう
次回はもっと面白い
では、また!


心地良いプレッシャーをありがとうございます!もっと面白くなるかどうかは、あなたにかかっていると言っても過言ではないのです!今後も、”全力の合いの手”をよろしくお願いいたします!