氣まぐれ瞑想日記 #006 金と銀の両翼
2024年11月21日(木)夜。
紫と藍色がゆっくり混じり合う。
境界線を超えて2色は溶け合い、紫でもあり藍色でもある不思議な色となった。
頭の奥のあたりがジーンと反応する。
白い鳥が大きな翼をバサバサと動かし、
目の前を羽ばたいてく。
空高く、上へ上へと上昇する。
私からどんどん離れていく。
その姿を私はずっと眺めていた。
立派な翼だった。
その鳥がかなり上のあたりまで昇ったかと思ったら、
透明のドームが表れて、
大きな翼を広げたまま、ドームを覆い隠すように天頂に張り付いた。
天頂の中心で止まった鳥はクルッと首をこちらに向けて、
「こちらに付いておいで」
とテレパシーみたいな非言語を投げかけてくる。
私は人間の身体でどうやって空を上がればいいのか方法に困っていたら、ドームの天頂から石の階段がこちらまで降りてきた。
連なる石の階段。
白くて、とてつもなく長い。
人ひとりが通れるくらいの梯子みたいな階段だった。
何段階かステップを挟みながら
階段は天頂まで続いていく。
私は必死に一段ずつ歩いて登り始める。
まだ数歩しか歩いてないのに息が詰まるし、身体は重い。
(夢の中で身体を動かそうとする時みたい)
なんとか必死の様相で石の階段を歩いて登っていたら、
そのうち大きなシャボン玉に身体全体がすっぽり包まれた。
丸いカプセルに包まれたような状態で階段を登り続けていく。
すると速度が少し早まったようで、重さも抵抗感も軽減された。
やっと天頂まで来たと思ったら、一瞬で何かが起きた。
気付いたらドームの外側に出ていたのだ。
私はいつの間にか境界線をくぐり抜け、ドームの外側の天頂に立っていた。
内側にいたのに外側に変わっていた。
あれ?おかしいな…
戸惑った。
飛び越えるようなことは私は何もしていないつもりだったけど、
どうやらドームの中心はポータルのような気配があって、その領域に私が意図せず触れたのだろう。
ポータルに吸い込まれるようにして外側に出てしまったような感じがした。
掃除機の吸引口みたいに、ポータルの中心はとても速度が速いんだと思う。
中心に触れた時、吸い込まれて外に出されたような感覚がする。
外側に出た私は、ドームの天頂に佇んでいた。
そこは宇宙の空で、あちこちに星が煌めいている。
右後ろに自分と同じくらいの大きさの鳥がピッタリ身を寄せていた。
私はその鳥に右腕を回し、宇宙の空をしばらく眺めていた。
その鳥は相棒という感じで、あったかくて信頼感を感じる。
色のない鳥。
なんとなく白っぽくも視える。
白いカラスみたい。
(そんな鳥いるのだろうか…)
私はずっと自分と鳥の佇まいを背後から眺めている。
寄り添っていた鳥は金の鳥と銀の鳥に分かれ、
私を挟んで右側と左側にピッタリくっついた。
後ろから見て、金の鳥は左に、銀の鳥は右に付いてくれた。
いつしか鳥は姿を変え、金の鳥は私の左の翼に、そして銀の鳥は私の右側の翼に変化した。
(腕、どこいった…?)
なんて心強い存在なんだろう。
私は大きな両翼を手に入れた。