豊田有恒『ビバ日本語!』のレポート

2014 年 5 月 13 日
先生からはあまり評判が良くなかったレポートという思い出がある。まあ、一応、アップしておきましょう。
1 概要 豊田有恒『ビバ日本語!』を読み、それをふまえて以下に出題された課題の二つの設問についてまとめた。
2 日本語の特徴
この作品では外来語を全て日本語の単語で表すことが法律で定められているという設定で物語が書かれてい る。この作品を眺めると現在ほとんどカタカナで使われる語句は漢字だけの単語に置き換わっていることが分 かる。しかし全体を通して読んでみると単に置き換わったというより、他者とのコミュニケーションの雰囲気 まで変化しているように思える。
この作品を読んで気付いたのは単語はそれ自体が一つの意味のかたまりとして捉えられるものであるだけで はなく、指すものの性質を漢字一文字ずつの意味の組み合わせとして表しているものが多いということである。 例えば「同盟罷業」(p,5) や「昇降機」(p,7) などの名詞などはそれぞれ読んだだけでどのようなことを言って いるのかが分かりやすい。もちろん英語やそれ以外の言語でも同じような事が言えるが「ストライキ」、「ア クセル」、「エレベータ」などはそれぞれ単語より小さい単位で分解する事が出来ない。この作品では「襟締」 (p,5)、「加速践板」(p,6) のような造語も多いが、初めて読んだ人にも何となくネクタイを意味しているのが伝 わってくるのも語素同士の組み合わせによる単語が多いということが原因である。更には漢字一文字の単語で さえ部首から意味が連想させられるものが多いことから日本語はことばの一つ一つに意味を多く含む言葉が多 いのではないかと考えられる。
3 語彙の由来について 本文にあった語彙について調査して次のようにまとめた。基本語彙として使われているものも成り立ちや由
来を辿ると他の用語や他の語彙体系などが元になっている場合も多いことが分かった。
• 機嫌 (p,7) 元々は「譏嫌」と書いた。誹るや嫌うなどといった意味があった。仏教で他人の「譏嫌」を受けないよ うにする戒律である「息世譏嫌戒」から出た語で、のちに「機」が気持ちに通じるという意味で使われ 始めてから用いられるようになった [2]。
• 相槌を打つ・・・「相槌を打ってから」(p,13) 昔、刀をつくるときに、鍛冶が二人で調子を合わせてかわるがわる槌を打った事が語源で、相手の話を 聞きながら調子を合わせて言葉を挟むという意味である [1]。「相の槌」や向かい鎚とも呼ばれていた。
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参考文献
[1]「例解新国語辞典 第七版」三省堂 [2]「デジタル大辞泉」小学館
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