MTG パイオニア奮闘記 店舗予選編
ほとんどが初めましての方になると思うので簡単なプロフィールだけ失礼します。
前置きとしてほぼほぼ個人の日記に毛の生えたような内容になる上に、もう賞味期限が切れたような遥か昔の出来事を適当に書き殴ったようなものですので、具体的な戦略記事をお求めの方はブラウザバック推奨です。
プロローグ
チャンピオンズカップなる以前の地域プロツアーに相当するイベントが復活するらしい!
かつてプロツアーを夢見て北関東を駆けずり回っていたあの頃を思い出すには十分過ぎる報だった。
新型コロナウイルスの蔓延により停滞していた紙MTGに復活の兆しを見せた日本選手権。このイベントへ密かに参加していた私はリアルでプレイするMTGに飢えていた。
そんな私は迷いなくチャンピオンズカップ参加を目指しスケジュールを組み立てることにした。
調べるとチャンピオンズカップへ繋がる道は2つ。
1.プレミア予選の上位者(基本的には優勝者1名。参加人数で変動あり)
2.店舗予選通過者が参加できるエリア予選の上位者(4名〜12名、開催店舗によって抜け人数が違う)
この時点では参加できればエリア予選の方が期待値は高そうだが、店舗予選に参加して1度きりのエリア予選に懸けるのは微妙だし、並行してプレミア予選も参加していくようかなぁなどとぼんやりと考えていた。
それを踏まえてスケジュールに予定を埋めていくと……きつい!キツすぎる!
予選は7月から始まり、期間は8月いっぱいまで。なんと2ヶ月しかない。必然的にカレンダーの休日枠全てに大会予定が書き足されていく。
店舗予選抜けを狙いながら参加できるプレミア予選を全て回るって無理ゲーじゃないか?
ついでに各予選の詳細を店舗ごとに調べていくと参加費が高い高い。店舗予選で基本的には2000円。プレミア予選ともなると倍の4000円。更にここに交通費……。
2年ほどデジタルでMTGをプレイしていたが、大会参加費は精々$5程度のぬるま湯に浸かっていたものだからこの参加費の高さには大いに震えた。
そんなことを思いながらも、やりたいものは仕方がないと理性に蓋をして無心で土日祝日を真っ黒に塗りつぶしていった。
参加準備
さて、この予選シーズンのフォーマットは主にパイオニアである。
この2年間プレイしていたMTGアリーナでは実装されていないフォーマットだった。
それは同時に自分にとっては気軽に練習できない環境での予選になることを意味していた。
しかしながら闇雲に予選参加をして経験を重ねればそのうち勝てるなんてことをすれば忽ち参加費交通費で身動きを取れなくなってしまう。
そう考えた私はまず練習環境を整えることから始めた。
と言っても練習環境についてはほぼ1つしか選択肢はない。Magic the Gathering Online(以下MO)である。
MOとはMTGアリーナの前身とも言えるゲームで、実在するカードプールほぼ全てにアクセスできる。そのため、アリーナでプレイできないフォーマットについてもサポートされている。
その一方で日本語化がされていないこと、あらゆるカードの入手にはチケットと呼ばれる擬似通貨を利用して買うしかないことから新規参入の障壁が高いことに加え、UIはファミコンと揶揄される程度には古く、快適なゲームとは言い難い。そのため一部の狂ったMTGジャンキーしかプレイしないような代物である。近年はプレイヤー減少が顕著となってMO村などと言われることも多い。
自分も名誉MTGジャンキー程度なら名乗れる自信はあるので、当然MOをプレイすること自体は初めてではなかったものの最後にプレイしたのは2年前のマジックフェスト名古屋に合わせた練習以来である。資産はない。どうしたものかと考えていた矢先にとある情報が目に入る。
「6月はMOの20周年記念イベントが開催される! 全てのカードへの期間限定アクセス権が買えるぞ!」
これ幸いと入村を決めたのだった。
環境把握
なにを使うか決めるに当たってまずは環境を把握しなくてはならない。
最後にプレイした頃と比べ、6月上旬に電撃的に発表されたウィノータと表現の反復の禁止により環境は激変していた。
世はまさに大緑単時代。そう言いたくなるほどに緑単信心と呼ばれるデッキが勝っていた。
それもその筈、8枚のラノワールのエルフにより最低限の速度を担保しつつ、ニクソスがマナを異常なまでに加速させ、強力なクリーチャー、PWを叩きつけ、なんとか対処してもフラッシュバック付きの集合した中隊(収穫祭の襲撃)でリカバリー、対処できてなければそれはそれで埋められない差を広げられる。おまけに即死無限コンボ搭載な上、潤滑油として非常に優秀なニッサの誓いまで擁し、動きの再現性が高い。大いなる創造者、カーンで状況に応じたシルバーバレット戦略も可能。最強の風格しかない。
しかしながらカードプールの広さのおかげか次の週にはこの最強を打ち倒すデッキが上位を席巻していた。
青単スピリットである。
デッキの動きとしては単純明快。軽いスピリットクリーチャーでクロックを重ね、カウンターで相手の動きを阻害し、相手が勝つ前に自分が勝つ。いわゆるクロックパーミッションと言われるそれだった。
このデッキが緑単信心に強いミソは
①戦力のほぼ全てが飛行である。
②クロックが早いため緑単信心の要所をカウンターするだけで間に合う。
③このデッキの弱点となる軽い単体除去を緑単信心はプレイできない。
と言った点で特に③の視点は今後緑単信心を攻略する上で大きな糸口となる。
さて、ここまでが私がMOでの練習を開始するに当たって大会結果で読み取った環境変遷だった。
この時点で自分がデッキを選ぶ条件はシンプルだった。緑単と青単を相手に戦えるデッキはなにかを探すことだ。
ボロスヒロイック
緑単信心の最大の弱点は満足にクリーチャー除去をプレイできない点である。
青単スピリットの弱点の一つはカウンターを有効に使えず自分よりクロックが速いデッキ=軽いアグロデッキである。
この2つを的確に突けるデッキとして第一候補に考えたのがボロスヒロイックであった。
ボロスヒロイックは恩寵の重装歩兵などクリーチャーを対象とするスペルをプレイすることでサイズを大きくする生物を大量に採用し、各種キャントリップスペルを連打することで育て上げ早急に殴り勝つアグロデッキである。
また最新セットであったニューカペナの街角より照光の巨匠が加入したことによりキルスピードが格段に上昇したことも追い風となっていた。
これにより妨害さえなければ4ターンでゲームが終わるのが当たり前となり、最速キルターンはなんとパイオニア最速クラスの3ターン!
妨害がほぼない緑単信心を倒すには絶好のデッキであった。
また青単スピリット側はボロスヒロイックを相手すると軽い生物を的確にカウンターすることは難しく盤面の生物はほぼ残り続けるし強化スペルは実質カウンター不可でどうやってもサイズ差で殴り負けることになる。ついでに青単スピリットのクリーチャーを1マナで葬れる無謀な怒りを自然に採用されている点がボロスヒロイックの有利に拍車をかけた。
理論上は最高のデッキに思えた。
緑単信心と青単スピリットだけがデッキではない。
テストしていくうちに問題点が浮き上がってきた。ラクドスに弱い。弱すぎる。
ラクドスミッドレンジは緑単信心が台頭したことで数を減らしていたものの依然としては人気なことに変わりはなかった。
ボロスヒロイックは分類するとしたらコンボアグロとでも言おうか。爆発力こそあれスペルで強化できないとスペックで劣るクリーチャーだけで戦うしかなく、自分だけリミテッドをプレイしている気分で対戦するハメになる。クリーチャーがいないならもっと酷い。クリーチャー+スペルを上手くできるようバランスよくカードを引くことが重要なのだ。
さてそんなデッキが必死こいて良い手札になるようにマリガンしてさあやるぞ!と思った心を粉々に打ち砕けるカードが存在する。
思考囲いである。
思考囲いが入ってればとりあえず入ってそうな致命的な一押しもやはり致命的でラクドスミッドレンジがいる環境でこれを使いたくない気持ちが強くなった。
またプレイしていくうちにどんどん浮き彫りになっていくマリガンが多いデッキなのにマリガンに弱いちぐはぐさが余計にこのデッキに対する評価を下げていき、最終的に候補から外れていった。
そんなこんなでボロスヒロイックを介護しているうちに環境にまた変化が起きた。
イゼットフェニックスの隆盛
表現の反復が禁止されてパワー不足に思われたイゼットフェニックスが奇跡の復活を果たしていた。まさにフェニックス。
リストを見てみるとニューカペナの街角収録のニューフェイス、後にモダンレガシーにも大きな変化をもたらすカード、帳簿裂きが採用されていた。
・緑単信心が苦手とする航空戦力が多い上に除去できないと致命的になる氷の中の存在が使える。
・帳簿裂きの採用によりフェニックスを従来より墓地へ送り出し易くなったため安定感が増した。
・青単スピリット相手には細かい1マナ除去で丁寧に生物を対処することで対応できるほか、帳簿裂きやフェニックスが場に出るだけで相手のクロックが止まるため明確に有利。
・ラクドスミッドレンジ相手は宝船の巡航によるアドバンテージ勝負に持ち込むことができ、不利にはならない。
なるほど確かにこれは探していた条件に合致するしボロスヒロイックと比べて致命的な弱点も少ない。マリガンにも強そうでプレイするストレスも少なそうだ。なにより昔から度々フェニックスを使ってたこともありそれなりにすぐに馴染みそうだ。よし使おう。
……リーグ1-4
………リーグ2-3
…………………………リーグ0-3
諦めた。
デッキは悪くない。自分が悪い。今まで使ってたイゼットフェニックスとプレイのセオリーが変わっているのだろうと思いながらも、それにしても立ち直れないほど負けたため、明確な理由もつけずにただ諦めてしまった。これ難しすぎるよ〜。
そんなことをしている内に6月は終わりを告げ、いよいよを持って予選シーズンが始まった。
マズい!まだなにも決まってないぞ!
7/2プレミア予選@晴れる屋郡山店(福島県)
使用デッキ:ラクドスミッドレンジ
あそこまで緑単信心のやばさを謳っておきながらそれに弱いデッキを使うのはどうかと思ったし、なんなら直前まで使用候補から抹消していた。正直何ひとつとして決まらないがために仕方なく選択することとなる。
まあただこのデッキを持ち込むに当たって勝算がなにもないというわけでは断じて無い。言い訳をさせてくれ。
①緑単信心はいない。
プレミア予選に参加するほど意識の高いプレイヤーは必ずその時点でのベストな選択をするはずだ。
飽くまでもMOベースの結果ではあったがこの時期にはもう緑単信心は駆逐されたと言っても差し支えないくらいに数を減らしていた。
このトーナメントが開催された日のベストな選択はまだ明確な攻略がなされていないイゼットフェニックスに他ならなかった。
トーナメントプレイヤーの視点ではこのベストデッキに弱いとされる緑単信心を積極的に使うことはないだろうと考えたのだ。
②イゼットフェニックスに対し有効なカードを使える。
この時点でイゼットフェニックスに有効なカードはなにか。急速に研究が進められていた。
多くのデッキではニューカペナの街角で登場した新しい墓地対策カード未認可霊柩車が複数枚採用されるようになっていた。
確かに墓地を継続的に掃除し、後半はフィニッシャーにもなるこのカードは今までの墓地対策カードと比較しても革命的なカードであった。
しかしながら相手側も当然それを織り込んでのサイドボーディングをするだけで重ね引きした時の弱さやそもそも墓地追放の速度が間に合わない場合があることも相まってこのカードだけでイゼットフェニックスの猛攻を止めることは叶わないのが現実だった。
そこでもう一つ別の対策カードに注目が集まる。
真っ白である。
当初は精神腐敗に毛が生えた程度のカードと思われていたが、使ってみると強い強い。
刺さるデッキにとっては使われると墓地を増やすために使用したマナを全否定されながら、再度墓地を肥やすためのカードを捨てるか、その先のゴールを捨てるかの不自由な2択を迫られるのだ。これほどカード名と結果が合致するカードはあるだろうか。
イゼットフェニックスはこれに加え、フェニックスを墓地から戦場に戻す条件(スペルを3回唱えること)を達成するためのスペルも無理矢理に捨てさせられることになり、まさに二重苦となる。
ラクドスミッドレンジはこのカードを自然に採用することができ、未認可霊柩車と合わせれば隙はない。
そう思って使用を決めた。
ロータスコンボどうしよ
実はこのラクドスミッドレンジの後にテストしており、使用候補に追加していたデッキがロータスコンボだった。
遥か昔にロータスコンボはイゼットフェニックスに強いという話を聞いたことがあった。
というのもパイオニアのイゼットフェニックスはキルターンが遅く、どう逆立ちしてもロータスコンボの決まるターンの方が早い。またイゼットフェニックスはデッキ性質上スペルの多くが能動的に使えるものでなければならない関係でロータスコンボに対するカウンターカードを採用できる枚数に限界があり、仮にその数枚の対策カードがプレイできたにしても一度の時間稼ぎで間に合うほど甘いゲームは中々ないからだ。
他のマッチアップについても青単スピリットは最悪だが緑単信心へは母聖樹複数枚採用で対策を乗り越えられるし、ラクドスミッドレンジはハンデスがあっても土地さえ伸びればトップ1枚で勝利することができ、そこまで悪くはない。
トップメタをイゼットフェニックスとするならば十分選択肢に入ると考えたのだ。
しかし結果として自分は使用経験の少なさを理由にラクドスミッドレンジを選んだ。
ただ自分で使用候補に挙げた以上、他の人も同じことを考えている可能性は高い。警戒を怠るわけにはいかない。
そしてラクドスミッドレンジのサイドボードを構築するにあたってこのロータスコンボの存在が大きく頭を悩ませることになる。
サイドボードの枠がない
ロータスコンボというデッキはクリーチャーを使うわけでもない。なにかの置物を使うわけでもない。スペルと土地だけでほぼ完結するコンボデッキでパイオニアにしては特異な性質を持っていた。
それ故に対策カードが限られ、もしこのデッキを見るとするならサイドボードに専用スロットを用意することになり、大抵はそこを埋めるのは減衰球となっていた。
減衰球は緑単信心にも有効だしイゼットフェニックスにも効くから専用スロットじゃない。という意見もあったが、いずれもクリティカルとまでは言い難く、このカードをプレイすることで生じるテンポロスとカードアドバンテージロスに対して釣り合う効果があるとは思えず、サイドボードにあったとしてもサイドインすることはなかった。自分にとってはやはり専用スロットに他ならなかった。
元来専用サイドスロットを取る行為は余程のリターンがある場合に限ると考えていた。
①専用サイドスロットを取ることで特定のデッキに大幅な勝率改善を見込める場合。
②環境上位に多くその相手が存在しており、勝ち上がるに当たって必ず1度は対戦すると想定される場合。
一部例外は存在するが概ねこの2つの条件を満たして初めて専用スロットを取るようにすることが自分の中でのセオリーであった。
そしてこのロータスコンボについては必ず遭遇するかと言われたら正直首を傾げてしまう。
プレイが特殊で少々のやり込みが必要だし、特別爽快感のあるデッキというわけではない。弱いデッキではないが自分がそうであるようにプレイしようと思うにはカロリーがかかり過ぎる。
立ち位置が良くなり上位にある程度固まることはあるかもしれないがそれは少なくとも今週ではないと思った。
専用サイドカードとならない対策カードを探す。
実はここからは失敗の話だ。
結論から言って私が見つけたカードはこれだった。
常在型能力で根本原理、森の占術が止まり、母聖樹等ディッチャで割られることもない!
墓地追放能力で今をときめくイゼフェニも対策できる!
これを見つけた時はあまりにも自分の求めていた条件に合致し過ぎて脳内物質が吹き出し、しっかりと検討しないまま自分の才能が怖い……とか調子こきながら採用を決めていた。
無理もないこれを見つけたのは大会前日の深夜だったからだ。
ちなみにこのスロットに押されて抜いたカードは未認可霊柩車である。
フェニックス自体は溢れんばかりの除去で対応すれば良いし、継続的に墓地を掃除する役割はアショクと被ってるからというのが理由だ。
結果:3-3
負けはセレズニアオーラ、青白コントロール、イゼットフェニックス
強く意識したはずのイゼットフェニックスに負けてしまった……
アショクがとにかく弱かった。
確かに探査呪文をプレイさせない役割はこなせるかも知れないが、肝心の孤光のフェニックスに対してあまりに無力過ぎた。
除去すればと言っても、そもそも相手が0マナで2枚場に戻したカードを除去で対応しようとする行為自体がテンポ的に不利で目指すべきゲーム展開ではなかった。
また当然ではあるがコストが3という部分もデッキにフィットしているとは言い難かった。ラクドスミッドレンジというデッキは強力なカードが3マナ域に集中しており、サイドカードに関しては極力2ターン目までにプレイできるカードにまとめておかなくてはテンポが悪くなってしまう。
おまけに今回はイゼットフェニックスに対してサイドインするもう一枚のカード、真っ白のコストが同じ3なのだ。どちらもサイドインするとなると3マナ域が大きなタワーになってなおさら良くない。かと言って真っ白を押しのけてまでサイドインするカードではないので本当に悪いカードであった。
これが未認可霊柩車だったなら……と対戦中何度も後悔していた。
しかしながら大会を通してメタゲームは大方予想通りで、イゼットフェニックス多数に、ラクドスミッドレンジが同数程度(これは純粋に日本人がこういったミッドレンジを好む傾向にあるので驚きはない)、その下に緑単や青白コントロール、スピリット系、そして最後に雑多と言ったところであった。怖がっていたロータスは軽く見まわした限りでは1名程度だった。
またラクドスミッドレンジ自体はとち狂って未認可霊柩車をアショクなんかに変えなければ好感触ではあった。
7/24店舗予選@イエローサブマリン宇都宮GAMEショップ(栃木県)
栃木在住の自分としては数少ない地元開催の予選。(とは言っても片道1時間半かかる)
ここが一番近場の予選であり今後の交通のことを考えても是非抜けたいところ。
使用したのは前回に引き続きラクドスミッドレンジ。
この頃には緑単信心はすっかり形を潜め、更にはイゼットフェニックス包囲網が完成されつつあった。その中でも存在感を際立たせてきたのは今回使用するラクドスミッドレンジであった。
未認可霊柩車+真っ白はやはりイゼットフェニックスに対し劇的であり、対応力の高さからその他の中途半端な有象無象もついでに蹴散らしていくラクドスの姿はまさに王者そのものであった。
そして気がつけば環境の最大勢力はラクドスミッドレンジとなっていた。
ではラクドスに強い緑単信心がベストではないか?
最初はそう考えたが実際に使用してみると環境がNoを突きつけてきていることがすぐに分かった。
確かにラクドスミッドレンジへの勝率は著しく高かった。しかしながら問題となったのは残党と化している前環境における緑単信心キラー達であった。
難しいところがこの緑単信心を意識したデッキ達は表面上ラクドスと戦えていたことだ。
ラクドスミッドレンジは王者ではあるが、常に微差で勝利をもぎ取るような繊細なデッキでもある。
そのためどの相手でも勝率は50%前後に収束することが多く、対応力が高い反面、受け攻め自由自在が故にそのバランス感覚が非常に難しく、対面した相手に対しどうゲームメイクすれば勝ちやすいかしっかり把握した上で、状況に応じてどのプランを取るか的確に判断する嗅覚が大切となる。
私も含めこのあたりの鋭い嗅覚を持つプレイヤーは多くはない。そんなラクドスミッドレンジの難しさが時代遅れと言えるようなデッキ達にチャンスを与え、結果として緑単信心を勝ち切れないデッキにしてしまっているような状況だった。
形を変えればとも思うかもしれないが緑単信心は固定スロットが多い上にサイドボードはカーンの能力を上手く使うためにほぼ用意することができない。環境が目まぐるしく変化している中、パイオニアをプレイし始めてから緑単信心だけが形をほぼ変えていないことを見ても環境がデッキに合うことを待つ以外の選択肢が持てないというのが感想であった。
また店舗予選となると多少なりとも競技志向のプレイヤーの比率は落ちるため、プレミア予選と打って変わって環境を考えてデッキを選ぶ人は減ってくる。私のような予算度外視でコロコロデッキを変える狂ったプレイヤーは全体から見たら少数派なのだ。
直近の環境から停滞していると思うなら緑単信心は勝ち切れないし、勝つならラクドスミッドレンジだと考えた。
今回はその考えを元にラクドスミッドレンジを選択し、更にはラクドスミラー用に少しずつ流行りつつあった絶望招来をメインボードに搭載する形で持ち込むようにした。
結果:予選ラウンド 3-0-2
SE1没
負けたのはラクドスミッドレンジミラーマッチ。
構成上はこちらに優位性はあったと考えてはいたが、負けた試合展開はこうだ。
リスクリターンを考えず適当にマナカーブ通りカードを放り投げる→綺麗に捌かれた末に手札で腐った除去カードを真っ白でハンデスされる→あとはクリーチャーで良いように
見事なハメ殺しを決められてしまった。
あとから思えば自分の下手さを咎めて、どうプレイするのが正しいかしっかり検討すべきだったのだが余りにも良いようにされたがために、ミラーマッチに対するトラウマを植え付けられるだけで終わってしまったのだった。
この負けは完全な勉強不足だっただけなのに、この日を境にミラーマッチを避けたいという悪い思いだけが積もり、ラクドスミッドレンジを諦めることになった。
今後のイベント参加方針
さて、ここで私の予選参加スケジュールに大きな変化が起きることになる。
店舗予選初参加にて初めてエリア予選の権利書を拝見させてもらったのだが自分が考えていた内容と全く違っていたのだ。
・当初の考え
・実際の内容
期間内のエリア予選には何度でも参加できます。
!!?!?!!!!!?
あれ?これだと優勝しか権利貰えないプレミア予選回るより店舗予選経由のエリア予選※の方が抜けやすいのでは……?
※エリア予選は店舗により上位4〜12名がファイナル参加権利を獲得できる。
またこの時のプレミア予選はチャンピオンズカップファイナルの参加権利を貰えるだけでエリア予選権利は一切配られなかったため、もし店舗予選を回らずに抜けられなかった場合、9月のエリア予選シーズンは完全に指を加えて見ていることしかできなくなり、ただ悲しみを背負うだけの結果となる。
プレミア予選の予定を全て白紙に戻し、予定を店舗予選最優先で組み直すのであった。
7/30店舗予選@晴れる屋郡山店
ラクドスミッドレンジを諦めた私は新たな相棒を探すべく直近の大会の結果を確認しながらMOで様々なデッキを回し始める。
その中で気になるデッキが現れる。
アブザンパルヘリオンである。
かなり前にラクドスミッドレンジの練習で何度か対戦したことがあり、ラクドスに対してはかなり良さそうだなと考えて少し触ったことはあったが死儀礼のシャーマンを始めとしたコンボに関係のないカードが複数採用されていたり、ウルヴェンワルド横断が採用されているのに平地が入ってなかったり気になった部分は幾らか修正したものの構築に難ありのイメージのまま諦めたデッキではあった。
そんなアブザンパルヘリオンがパイオニアチャレンジというイベントで突如として2位に浮上してきた。
どうせまぐれだろう思いながらリストを見てみると無駄なカードが削ぎ落とされ、各カードが4枚積みと非常に美しい構成に生まれ変わっていた。どうしてここに行き着かなかったのか自分の構築力のなさが恨めしい。
リストの美しさに魅せられすぐさまリーグにジョインしてみるとかなりの好感触。
16枚の切削カードに4枚のルーティングカード。ぱっと見多く見える4枚の未練残りもここまで墓地を肥すカードが増えれば安定した運用が可能になり、フラッシュバック能力と組み合わせて墓地だけ肥してさえいれば墓地だけでコンボが決まるようになる。墓地を手札のように扱えるデッキは決まって強い。
ラクドスに対してはコンボが決まらなくとも機体自体が強く十分殴り切れる上にそもそものところメインボードについてはインスタント除去が少なく揃えば概ねコンボが決まるため大きく有利。その他のデッキに対しても3ターン目パルヘリオンの暴力が多少の不利を覆す。押し付け代表の緑単信心と違ってサイドボードもしっかり取れるので相手に合わせて十分な準備も可能。切削で落ちるカードによって多少強さにブレは出るがパイオニアをプレイする上で欲しかった要素が全て詰まってるとまで思った
事実これまで負けに負けていたリーグ勝率が一気に安定することになり今週末はこれだと自分にしては珍しく迷いのない決断を下すことができた。
結果:予選ラウンド4-1
SE2没
負けたのは予選ラウンドでラクドスミッドレンジ。
SEではミラーマッチ。
権利賭けの最後の1戦はお互い1-1で折り返した3戦目で目を覆いたくなるようなミスを犯し敢えなく敗北となってしまった。
しかしながら恐らく会場に2人しかいなかったアブザンパルヘリオン使用者が両方ともSEに残り、最後にぶつかったことから勝ち組であったことは間違いなかった。
8/6店舗予選@カードゲームショップりらい(福島県)
スタンダード準備してませんでした。
8/11店舗予選@BOOKSながしま(群馬県)
環境としてはラクドスは相変わらず多く、スピリットが減少傾向に転じ、緑単信心も少しずつ息を吹き返してくるような動きを見せていた。
その中でもアブザンパルヘリオンは少しずつ定着しつつあり、当初はパルヘリオンと言えばマルドゥだった認識が塗り替えられていく程にまで成長していった。
かくいう私もアブザンパルヘリオンの魅力にすっかり取り憑かれ、他のデッキを回しながらももうこのデッキ以外考えられない!と早々と相棒宣言をする始末。完全にゾッコンである。
そんなこんなで今回もアブザンパルヘリオンの使用を決め、店舗予選参加のため群馬の地まで片道3時間の運転を行うのであった。着いた頃には当然ヘロヘロである。
参加者は8名と今までで最も少ない人数。この場合はスイスドロー3回戦を行い、上位2名に権利が与えられる。あまりにも破格過ぎるのでなんとしてでもここで抜けたい。
1回戦目 イゼットフェニックス ○○
2回戦目 マルドゥ巨大な鋤
……巨大な鋤!?
中々面白いデッキで巨大な鋤等軽量(マナコスト)かつ高重量(搭乗コスト)な機体クリーチャーを早いターンで起動し、あとはハンデスや神々の思し召しでバックアップ。更にはティムールの激闘や敵対するもの、オブ・ニクシリスによるワンショット要素もありとパルヘリオンとボロスヒロイックの間を取ったようなデッキであった。
○××
終わった………………
と思いきや心優しい相手の方からトスのお申し入れが!!!
本当にありがとうございます!!!!!!!
そして最終戦は無事IDで順位を確定させ権利獲得!
長い旅であったがなんとか実を結ぶことになって良かった。
次回 エリア予選編
え?もうシーズン終わって2ヶ月以上経ってるけど本当に続き書くの?