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パチパチキャンディーの同意
姪っ子と甥っ子がニヤニヤしながら、両手を後ろにして私に近づいていた。
ねぇ、Ditoは、これを食べたことがある?
そう言いながら差し出したものは、パチパチキャンディーだった。
思わず、うわぁ!と言って、その袋を受け取った。
渡された小袋は全部で三袋あり、それぞれ味が違うようだ。
少しずつ、みんなで味見をすることにした。
パチパチという音をもっと聞かせようとして、私の耳のそばで口を開ける甥っ子。
一袋全部を一気に口に入れたら、どうなるかな?と聞いてくる姪っ子。
あぁ、私も子供の頃、同じことをして、同じ事を考えていたなぁと、思わず笑ってしまう。
日本にもパチパチキャンディーがあって、子供の頃に食べた事があるのよと話すと、子供達は少しびっくりしていた。
そして、Ditoは子供の頃は何をするのが好きだったの?と聞いてくる。
色々な思い出を話した後に、更にこんな質問がやってきた。
Ditoは、過去に戻れるとしたら、いつに戻りたい?
子供の頃に、また戻りたい?
子供ながらの無邪気な質問だけれど、私は少しだけドキッとした。
もう一度人生を繰り返せるなら、一体いつに戻りたいだろうか。
一瞬だけ考えてから、私は答えた。
昔に戻りたいとは思わないかな。
元に戻っても、また同じ選択をするだろうね。
でも、もし子供の頃に戻れるとしたら、友達に会ってまた一緒にたくさん遊びたいよ!
パチパチキャンディも一緒に食べたいな。
へぇ、そうなんだ!
子供達は、私の返答を面白そうに聞いていた。
*****
今までの人生、後悔がゼロという訳ではない。
むしろ、たくさん失敗したので、過去の自分は馬鹿だなぁと思う事ばかりだ。
でも、そんな馬鹿な私がこうして失敗を重ね、今の私がここにいる。
アインシュタイン博士も、こう言っている。
Wer noch nie einen Fehler begangen hat, hat noch nie etwas neues probiert
まだ一度も失敗したことがない人は、一度も新しいことに挑戦したことがないのだ
私の人生は、決して褒められるものではない。
でも、そう捨てたものでもないかな、とも思うのだ。
そう思った瞬間、口の中のどこかに残っていたパチパチキャンディーが、小さくパチパチッと音を立てた。
パチパチキャンディーに、そうだそうだ!と言ってもらえたような気持ちになり、一人でこっそり笑った。
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