Ver21 GT-Rと別れることが正解だったのか?

晴れて?GT-Rを手放し、精神的にも経済的にも解放され、重荷を降ろしたような気持ちになったのは事実。

月々の出費が減り、今まで縁遠くなっていた普通のレジャーや旅行なんかも楽しめるようになった。「これが一般的な幸せなのかな…」ちょっと大げさだけど、そんな気にもなるというもの。

普通の乗用車に乗り換え、トラブルなく、チューニングの必要もない。女の子を誘ってのロングドライブだって快適だし、壊れる心配しながらの運転もない。

刺激を求めてRに乗っていたのに、刺激がなくなってホッとしている自分がいた。その刺激に疲れていたのかも知れない。

しかし、失ったモノも確実にあった。自分はGT-Rに乗っているんだ、乗れる人間なんだという自負の様なもの。苦労をモノともせず付き合い続けるということは、プライドでもあった。それを失ったことによる虚無感…。

自分より先にRを降りた人間を、耐えきれず脱落した者…という見方をしていなかったと言えばウソになる。何がファミリーカーだよ、家族の冷たい目だよ。そんなの耐えてコソのR乗りだろうと。しかし、自分が手放す立場になると、案外そんなことは気にならなくなってしまうものだ。あのときは、一刻も早く手放したかった。

そして、多くの仲間を失った。

失ったというか、自分から離れていったのだけれど、同じR乗りの仲間とはもう会えなくなってしまった。正確には連絡を取ったりオフ会に行くことは物理的に可能だけれど、もはやR乗りではない自分に会う理由はないし、参加する資格もない。もちろん行けば快く受け入れてくれるだろうけれど、一緒にRの話をすることは出来ないだろう。そういった気持ちから、GT-Rによって築かれた人脈も同時に失うことになったのだ。

自分の中ではクルマを手放したロスと、この人脈を失ったロスは、同じくらい大きいことだったかも知れない。

そして、Rを手放したことが本当に正解だったのか、その答えは未だに出ていない。得たモノ、失ったモノ、それが今でも天秤で釣り合ってしまっている…そんな状態なのだ。あのままRに乗り続けていたらどうなっていたかな、そんなことを思うということは、失ったモノの方が大きかったのかも知れない…。




かつて自分の血を沸騰させたスポーツカーと界隈の人間。その思い出を共有していただきたい、知らない方に伝えたいと、頑張って書いております。ご支援いただければ幸いです。