見出し画像

Ver12.5 公道300kmオーバーの世界は現実に存在した

某湾岸線や首都高をステージにした漫画がある。あの作品は実際のランナーやチューニングショップによく取材して書かれているなと感心した。作者もGT-Rオーナーだから、かなり現実に近いことを描いたんだろうなと思う。フィクションだとしても、読者は詳しいことが分からないとしても、リアルを元に描かれていると、ストーリーに説得力が出る。

その漫画でも出てくる湾岸線での最高速レース。公道で300キロ以上を涼しい顔で出してしまう。そんなクルマが実際にあるのか…。自分はその最高速マシンを作ることで有名なチューニングショップへ取材に行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一時期、最高速がブームになり200mph、時速だと320キロがターゲットとされていて、「俺は200マイル達成したぜ!」というのが自慢になっていた。物理的に320キロ出るマシンを作るところまでは問題ない。そういうレベルまで日本のチューニング業界は達していた。すべて合法の範囲でも作れただろうと思う。しかし、マシンが完璧だとしても、走る環境やドライバーの質、運、その全てがそろわないと簡単には出せる速度ではない。

湾岸線が混んでいたら…たとえ100キロで走っているクルマでも隣を300キロで走れば、その速度差は200キロ! そうなると止まっているようなもの。3車線のうち1車線しか空いていないとき、その1車線を300キロで走り抜けるのは、細い路地を飛ばしているよりも恐怖を感じる。もし後方確認していない車両が車線を変更したらお陀仏だ。

タイヤに傷が付いていてバーストしたら終わり。エンジンの油膜が切れても終わり、ミッションやデフがブローしても終わりだ。

幸運にもクリアラップが取れて、マシンにトラブルが出ずに、勇気を持ってアクセルを開け続けた結果、MAXスピードが記録されるわけ。

ある日、湾岸線で事故があった。車両は粉々でエンジンは数百メートル先(この先、約50行あります)


ここから先は

2,510字

¥ 250

かつて自分の血を沸騰させたスポーツカーと界隈の人間。その思い出を共有していただきたい、知らない方に伝えたいと、頑張って書いております。ご支援いただければ幸いです。