衛生学・公衆衛生学(健康について)
こんにちは。
本日も記事をご覧いただきありがとうございます。
さて今回は前回に引き続き、衛生学・公衆衛生学の健康についてをまとめていきたいと思います。
1)健康の概要
○健康とは (日本国憲法 第25条)
「すべての国民は健康で文化的な祭典限度の生活を営む権利を有する」
「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上に努めなければならない」
a.身体障害者の健康
・国際障害分類(ICIDH)
障害を機能障害・能力障害・社会的不利の3つのレベルに分類したが、マイナス面の視点からの分類であった。
・国際生活機能分類(ICF)
従来の障害者のみを対象とした分類とは異なり、すべての人を対象として、障害(マイナス面)と健康な状態(プラス面)の両面からその人の「健康状態の構成要素」を評価する分類。
ICFにおける障害とは「心身機能・構造」「活動」「参加」という3つの生活機能に支障をきたすことを言い、それぞれ「機能障害」「活動制限」「参加制約」と呼ばれる。
b.病気と健康ーその連続性
○感受性期;1次予防(疾病の発生を未然に防止)
・目的;疾病・事故発生の阻止
・手段;①健康増進(健康教育、栄養指導、環境整備など)
②特異的予防(予防接種、特定の疾病の発現防止)
※1次予防の重視
人口の高齢化の進展に伴い、疾病治療や介護に係る社会的負担がますます過大となるため、従来の疾病対策の中心であった健診による早期発見・治療にとどまる事なく、健康を維持・疾病の発病を予防する「1次予防」に一層の重点を置いた対策を推進するようになった。
○発症前期;2次予防
・目的;死亡率低下、生存期間延長、現段階で自覚症状はないが検診で疾病の診断が可能な時期から臨床期への移行を防ぐ
・手段;①早期発見(健康診断、人間ドッグ)②早期治療(臨床的治療)
○臨床的疾病期;3次予防(回復・機能障害)
・目的;ADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)の向上
・手段;①機能障害防止(後遺症、再発の防止、適切な治療)②リハビリテーション(機能回復訓練、作業療法、職業訓練など)
※発症した傷病の悪化を防止し、機能障害を残さないように臨床的な対策を行う事。及び社会的復帰を図るためのリハビリテーションの2つの段階がある。
★鍼灸臨床は予防医学レベルの1〜3次予防すべての段階にも適応することができる。地域に根付いた鍼灸院は1次予防、つまり「身病治」の果たす役割も非常に大きい。また繰り返し定期的にリピートして来院される患者さんは、1次予防の大切さをよく理解されている人が多い。
2)健康管理
a.集団検診
・スクリーニング検査;
罹患の自覚症状の無い集団から罹患が疑われる者をふるい分ける事。
例)新生児マススクリーニング、生活習慣病検診、がん検診、結核検診など
言葉の意味
・真陽性;疾病あり、検査でも陽性
・真陰性;疾病なし、検査でも陰性
・偽陽性;疾病なし、検査では陽性→過剰診断
・偽陰性;疾病あり、検査では陰性→見逃し
検査の有効性(妥当性)を測る指標
・感度;病気の人を正しく陽性と判定する割合
→感度の高い検査は偽陰性率が低いため病気でないことを示す除外診断に有効
・特異度;病気でない人を正しく陰性と判定する割合
→特異度の高い検査は偽陽性率が低いため疾病であることを示す確定診断に有効
※スクリーニング検査を行う際、感度と特異度が100%に近いことが最も望ましく、その検査は有用であると言える。
b.医療制度と医療保障
●社会保障とは
国民が相互に連携して支え合い(共助)、また国が必要な扶助を行う(公助)ことにより、国民の生存権を保証するのが社会保障の概念。
★社会保障制度の4本柱
①所得保証;(年金制度、生活保護)
疾病、老齢、失業によって生活困窮に陥ったものに対して保護を行う制度
②社会福祉(高齢者福祉、母子福祉、児童福祉、障害者福祉)
高齢者、児童、障害者などハンディキャップを抱えるものが生活の困窮しないよう扶助し自立を支援する
③医療保障(医療保険、公費負担医療)
国民皆保険のもと、傷病の際に必要な医療を効果的に受けられることを保障する
④公衆衛生(感染症対策、環境汚染対策、労働衛生対策)
医療施設や救急医療を整備し国民の健康増進、疾病予防を図る。生活及び労働における環境衛生を整える。
※これら4つの柱が重層的に人々の生活を支え、社会保障の役割を担っている。
●医療保障とは
・国民が傷病の際に必要な医療を効果的に受けられることを保証する制度。
・すべての国民が何らかの医療保険に加入している(国民健康保険)。被保険者は保険者に保険料を納めることで、傷病の際に保険医療機関を通して医療の給付を受け、残りの医療費を自己負担で支払う。
〈医療保険〉
・被保険者(加入者)は所得に応じた保険料を保険者(運営主体)に納める。
・傷病の際、保険者から医療の給付を受け残りを自己負担で支払う。
①国民皆保険;
すべての国民が何らかの医療保険に加入する仕組みとなっている
②種類;
a.被用者保険;企業などの被雇用者が事業所単位で加入する
b.国民健康保険;被用者保健の適用を受けないものは居住地ごとに加入する
c.後期高齢者医療制度;75歳以上の者、及び65~74歳以上で一定の障害のある者
※6割が被用者保険、3割が国民健康保険、1割が後期高齢者医療制度に加入
〈現物給付〉
・現金ではなく、現物(医療サービス)を給付される
・療養の給付-傷病の治療
・高額療養費;長期入院などで既定の自己負担限度額が上回った場合に支給
・医療費;やむを得ない事情により保険医療機関で保険診療を受けることができなかった場合。
○対象となる疾病
神経病、五十肩、腰痛症、リウマチ、頸腕症候群、頸椎捻挫後遺症、その他これらに類似するもの
〈国民医療費〉
国民医療費は医療機関などにおける治療に要する費用を推計したもので、医療保険や後期高齢者医療、生活保護など公的な医療を提供することで医療機関に支払われた総額を示す。
①現状(2016年度)
・総額;42兆1381億円
・国民一人当たり;33万200円
・国民所得に占める割合;10.76%
②範囲
・診療費(医科・歯科)
・入院時食費、生活医療費
・薬局調剤医療費
・訪問看護医療費
・療養費など
③割合
・財源別;保険料50%、公費40%、患者負担10%
・年齢階級別;65歳以上が60%以上を占める
・傷病別;1位 循環器系の疾患、2位 悪性新生物(がん)、3位 骨格筋及び結合組織の疾患
★毎年約1兆円の医療費増加の主な原因
①高齢化②医療技術の高度化③高額医療機器の導入④疾病構造の変化⑤医療供給体制の整備⑥長期入院
以上、今回は衛生学・公衆衛生学(健康について)についてまとめました。
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本日もご覧いただきありがとうございました。