灰の境界線~第十七話~
キャッキャッ、と子供達がはしゃぐ声が聞こえる。
子供達は喜び、楽しみ、お祝い事をしていた。
その中に、一人佇む者がいた。彼は、あの優しい、微笑みを向けていた。
子供たちは言った。
『ガブリエルさま!』
ハッ、と目を覚ます。身体を起こそうとしたが、それは叶わなかった。
両手は後ろに縛られ、足も同じように縛られていた。
アルマは自分の状況に驚いたが、それよりも驚いたことがあった。
目の前に、大きな牙のような、角のようなモノが地面から生えていた。それはとてもこの世のモノとは思えない、非現実的な光景だった。
唖然としながらそれを見ていると、声が一つ響いた。
「目覚めたか」
頭だけ後ろに動かす。そこには、黒い衣服を着た男が立っていた。
男は、暗い紫の瞳でアルマを見下ろしていた。
アルマは、男を睨んだ。
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