灰の境界線~第十六話~
ベルゼブブの宣言に従って、クラウンはエルと二人で留守を預かり、アルマたちはガブリエル救出のために出発した。
まずは、あの巨大スーパーの廃墟に向かう。初めてゲーティアの悪魔と戦った場所だ。そこまで降りていき、地下へと到着する。今は、もうない悪魔紋章の上に立つと、ベルゼブブが指を差した。
「この向こうから、囁き声が聞こえる」
それは、人間の手で掘られた通路だった。三人はその道を通っていく。
明かりが無いせいで、足元も見えない。すると、ベルゼブブが蝶を一羽、髪から出した。蝶は光を放ち、道を照らした。
道は長く続いており、まるで蟻の巣のような様相をしていた。
黙々と進んでいると、そのうちトルソは静寂に耐えきれなくなり、話しかけた。
「なぁ、ガブリエルは特別だって聞いたけど、どういう意味なんだ?」
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