灰の境界線~第十八話~
調子が戻ったガブリエルを連れて、一行はベツレムへと戻った。
室内に入ると、部屋の掃除をしていたエルが笑顔で出迎えた。
「おか、えり!」
エルがガブリエルに抱き着く。彼も笑顔で「ただいま」を言って抱擁を返した。
その後ろから、クラウンがやってくる。
「無事にガブは取り戻せたんだな」
アルマが頷く。
ようやく一息つける、とトルソとアルマは顔を合わせて息を吐いた。
その日の夜は例によってベルゼブブが料理を作り、エルが歌を歌い、久しぶりに落ち着いた夜を過ごせた。
トルソはどこから持ってきたのか、酒瓶を片手にクラウンの肩を掴んで大笑いし、クラウンは酒が苦手なのか顔を真っ赤にしてふらふらしている。その様子をエルが楽しそうに笑い、ガブリエルは苦笑いする。
アルマも笑い転げていたが、ふと目線をそらすとベルゼブブがいないことに気づく。
アルマは楽しい宴会のような場所から離れ、二階へと向かった。
寝室に入ると、ベルゼブブが窓際に立っている。外は、ぽつぽつと雨が降り始めている。ガラスに映る彼女の顔は、なんだか暗い。
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