<お受験コラム> 「フリー枠」の中身と幼稚園への貢献
幼稚園受験(または小学校受験)を検討すると必ず目にする言葉が「フリー枠」と「縁故」です。
「縁故」とは、親御様またはご兄弟が受験する幼稚園または小学校の卒園(卒業)、在園(在校)生である事を意味します。対する「フリー枠」は、それらが無い事です。
世の中では「縁故」有利、と言われますが、受験生の多数を占めるのは「フリー枠」の様で、「フリー枠」のやるべき事を幼稚園の視点からご説明します。
「縁故」の強みは伝統園の価値観や雰囲気を体感していること
本noteで幼稚園の評価視点として、その2−2 ご家庭の教育方針が同じベクトルかを判断されるにてご説明しましたが、歴史ある幼稚園には、変わらぬ価値観、大切にしている雰囲気のようなものがあります。これは先生方、園児さん、そしてご家庭にも共有され、園の伝統を積み重ねているのです。これは対外的には、その根幹となっている「建学の精神」や「学園の理念」として開示されているのですが、体感しないとなかなか分かりません。
だからこそ、説明会では、価値観や雰囲気を少しでも理解いただくため、直接的な「建学の精神」や「学園の理念」の解釈よりも、それらに根差した園長先生のお考えや、実践に落とし込まれた保育の特徴をお話しするのです。
話がそれましたが、「縁故」があるご家庭は、「伝統を積み重ね」た同士として、園に迎え入れらるのは自然なことなのです。
裏を返せば「フリー枠」のご家庭が、願書や面接で、単に
建学の精神のxxに感銘を受けました
とか
学園の理念のxxに共感いたしました
とお伝えし無いのは、受け手側には何も刺さらないからなのです。
フリー枠の「中身」は勤務医さんが中心
フリー枠層の「中身」についてみていきます。「中身」の理解には色々な観点がありますが、客観化し易いように「お仕事」で区分します。
あくまでも都心の5園を見ただけの感覚ですが、お父様、お母様のお仕事と比率が多い順にこんなイメージです。
お父様:勤務医 → 自営業 → 開業医 → 会社員
お母様:主婦 → 勤務医 → 個人自業(会社員)
他には、著名人またはお名前を存じ上げないまでも別世界感がある方々もいらっしゃり、ここでは「超富裕層」としておきます。
次にご夫婦の「お仕事」の組み合わせと比率ですが、これも感覚ですが大体こんな感じです。
お父様のお仕事 x お母様のお仕事
2 勤務医 x 勤務医 少ない
3 会社員 x 勤務医 極めて少ない
4 会社員 x 個人事業 極めて少ない
5 自営業 x 主婦 普通
6 開業医 x 主婦 普通
7 勤務医 x 主婦 多い
もちろん他の組み合わせのご家庭もいらっしゃいますが、かなり少数派なので割愛します。
園の価値観や雰囲気を理解し、運営に貢献する
「フリー枠」のご家庭が共通してまずやるべきことは、前述の園の価値観や雰囲気を理解しようとすることです。そのために、説明会で先生方と対話することはもちろん、体験保育も貴重な機会です。ただでさえお忙しい先生方が、手作りで企画していただいているのです。園のお考えなど十分予習し、少なくとも拝聴したいポイントや見てみたい施設や遊びを決めて、ご参加ください。
次に、「フリー枠」の役割を考えてみます。「縁故」が有利とはいえ、半数以上は「フリー枠」です。視点を変えれば、フリー枠のご家庭が主となり園の運営を支えるのです。では、先生方ではなく、ご家族が担う園の運営とは、何があるでしょうか。
一つは組織的な支援です。例えば、バザーの企画、ノベルティーの作成、行事の裏方など単発的なイベントの支援と、クラスの親御様のまとめ役やその補佐など継続的な保護者組織のリードです。これらは保育に直接関係しない分、親御様の貢献余地が大きいのです。
もう一つは経済的な支援、つまり寄付金です。幼稚園の収入は潤沢ではなく、特に研究機関としての補助/助成が見込める大学を持たない園では、財源は主に保育料等、助成金そして寄付に限られます。この中で園の裁量で決められるのは寄付金だけであり、当然多い方が保育の充実につながる施策が打てるのです。
経済的支援は経済的余裕があるご家庭にお任せするとして、組織的な支援についてはご家族の時間的余裕とお仕事の専門性により様々な貢献が可能です。
貢献の内容は、おおまかに
・ お仕事の専門性を活かした行事の支援
・ 役員やと手伝い
に分かれます。
お仕事の専門性を活かした行事の支援
会社員や個人事業を営まれている親御様はその内容により園への貢献ができます。例えば、古くから日本文化に関係する家業をされている方、芸術家、 食に関わる事業をされている方など、職業人として園児さんたちにお伝えしたい事はたくさん思い付くのではないでしょうか。幼稚園から見ても、実物教育を重視する園は多く、生きた教材として、ぜひご支援を受けたいのです。
現実的にはレアケースですが、お仕事に関連した園への貢献が思い付けば、ぜひそれを願書や面接を通してお伝えください。
役員とお手伝い
時間的に余裕がある方は、「雑用します!」では決してありません。役員やお手伝いは、保護者の方単独で行うわけではなく、初対面の皆様が共同参加するのです。つまり、役員やお手伝いは、緊張した中で保護者の繋がる場であり、その年のクラスの雰囲気や園への距離感などを決めるものなのです。
ここで活かされるのは、ボランティアなどの自主的な活動、他園での経験です。
特に他園での経験に関しては、ご兄弟が伝統がある園に在園されていたら「あの時xxxに振る舞っておけばよかった」、「xxxさんのあのお声がけのお陰で打ち解けられた」など必ず思い出があるはずです。そしてその思い出はこれからの役員やお手伝いに必ず活かされ、緊張した皆様の場を「柔らかく」し、円滑な運営に繋げていけるのです。
幼稚園側は、少なからずこう言った貢献を保護者に期待しており、ご入園後に役員に指名されることなどを見ても、入試の段階である程度園の運営も考えていると推察されます。
ですので、こういった経験があれば、願書や面接で、直接お話しすることはありませんが、意識しておかれることをお勧めします。
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まずは目次をご参照ください。
その0 ご両親がまずやるべきこと
その1 相思相愛の幼稚園の探し方
その2 幼稚園の「評価視点」
その3 ご両親の準備 〜願書、面接、考査は三位一体〜
その4 当日の過ごし方
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