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確認書類
マリーアントワネット風の髪型に
長いイヤリングをぶら下げ
老人ホームにいるはずの
二人の伯母がファミレスの席につく
先に来ていた伯母は昔とちっとも変わらない
もう一人、知らない女がいる
伯母達は私のことを覚えているのか
確かめようとするが
各々喋りまくっている
相変わらず賑やかな関西弁が飛び交う
伯母達はネイルで煌めく長い爪を上手に絡ませ
互いの手を取り笑っていた
ぽつねんとした私は先に来ていた伯母が
とうに亡くなっていることを思い出した
やがて女は徐ろに書類を広げ
青い芯の木の色鉛筆をテーブルの上に置き
二人の伯母に署名を迫る
「確かに私は死亡致しました」
死が幻にいて
明確に浮かびあがろうとしていた