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言の葉の詩集🌿
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2022年4月の記事一覧

新緑

新緑

習いはじめのメヌエット
新緑のちいさな葉っぱ

木々はうす翠にけむり
いつかの森へ連れていく
途方もないまやかし

掌でそっとつつんでも
指のあいだからあふれ

優しくいだいても
かかえきれずに

独り占めしたいものは
いつかの森に

花びら

花びら

仕事から戻り
階段を一段一段ぼとぼとと

ピンクの小さな花びらが二枚
そこにいた

庭に桜の木はないが
どこから舞い込んだのか

うらぶれた階段に
そっと花びら達

せっかくだからそのままに
可愛いお客さま

春のなごり花
優しいピンク

ゆっくり
お茶でもいただきましょう

あなた+

あなた+

あなたが私にくれるもの
太陽と月と星
穏やかな眠り
涼やかな目覚め

あなたが私にくれるもの
鼻先に吹く一番の風
いつもそばにあるのに
気づけないもの

いつだって
大きすぎるものは
見えない

みつけたかけらは
ぎゅっとつかんで
離しちゃいけない

春の夕暮れ

春の夕暮れ

春の夕暮れは
ほろほろところこぶ色です
嫋やかであり
淑やかでもあり

夜には雨でも降るのでしょうか
桜はもう限界で
後は散るしかないようです

カラカラだった木々の枝は
薄っすらと緑をまといはじめ

その夕暮れは
なにも映さない幻灯
懐かしい色

私はほっとしています
日が暮れることに
春が暮れることに