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#48妊娠8ヶ月 新幹線で里帰りと思うこと(体外受精⑥からの妊娠)

夏の暑い日が続いていた。早朝から部屋は30℃…朝からクーラーをガンガンにつけた部屋で過ごす日々。里帰りの日が来た。
箱詰めした荷物を自宅へ送り、リュック一で私は帰る。

夫の体調のことを考えると見送りはできないだろう、玄関前でお別れかなと思っていたけど、夫は改札前まで一緒に来てくれた。
夫の体調は心配だし、何ヶ月も離れることが初めてで、たくさんの人が行き交う駅で恥ずかしながらホロリと涙を流してしまった。

目がかゆいふりをして涙を拭いて、なんとか笑って手を振る。

立ち会い出産ができないので、次に会うのはおそらく産後だろう。産後に会いに来てくれるのか、そんな話しもできないまま私は実家へと帰る。

妊婦1人で移動することに不安な気持ちもあったけれど、一人旅が趣味だったので、1人でのびのびと実家まで帰ることができた。不妊治療を始めてから旅行に行くことが減ってしまったので、久しぶりに自由な旅気分を味わえた気がする。なんでも自分1人で決められるのが一人旅の楽しさだ。

とは言え妊娠8ヶ月。お腹は大きくなっていた。それでも、ゆるりとした服を着てしまえば私が妊婦だとはあまり分からない。
考えすぎだとは思うけど、妊娠8ヶ月で1人で移動してることに、変に難癖をつけられたりしたら嫌だったので、マタニティマークはあまり目立たないようにポケットにしまっていた。何かあった時に機敏な動きをしたり、走ることもできない。それと感染症の予防には気をつけてマスクと除菌を心がけた。夏休み前だったが、外国人観光客などで新幹線の席はいっぱいだった。


里帰りしてから1週間弱、今までの病院でもなく、里帰り先の病院にもまだ行っていない、宙ぶらりんな時期があり少し不安な日々を過ごした。
妊娠中に安心できるのは検診の日くらいだ。

里帰り後の産院は総合病院。
総合病院だから、たくさんの科があり老若男女いろんな人がいる。個人産院とは雰囲気も全然違う。

里帰り後の検診で、先生や助産師さん、看護師さんと話すことができた。以前より診察までに待ち時間がかかり、4Dエコーもない、立ち合い出産も感染症予防でできないけど、診察は丁寧だったし、入院も個室とのことなので安心した。総合病院なので小児科もあり、産後に子どもになにかあっても安心だ。

資料をたくさんもらい出産までの説明をうけた。そろそろ入院バッグもつくれそうだ。このころは入院バッグをいつ作るか、何を入れるかで頭がいっぱいだった。

同じ頃、ヒカキンの奥さんの出産動画を見て泣いた。ヒカキンさんは出産に立ち会いして、一緒に病院に泊まって赤ちゃんのお世話をしていた。出産も産後の体調も育児の大変さもわかっていいなと思った。

それから、このころ大きな地震があった。
あぁ、私になにかあったら2人分なくなってしまう。
夫に会えないまま人生が終わってしまう。
ふと、命や人生の終わりを改めて感じた。

夫が住んでいる場所と私の地元は距離があるので、
私が地元で大きな地震にあっても、夫の地域はほぼ揺れないので気づかない。ここで夜中に大きな地震が起きたら、夫は気づくことなく朝が来るだろう。
私はどうなっているかもわからずに。
そう思うと怖い。

人生を考える。
生きるということを考える。

過去のことや最近の自分の気持ちはぐちゃぐちゃしていたけど、その気持ちがどうでもよくなった。
私の人生を生きなければと思う。
いつでも命ははかなく、急になくなる可能性があると感じた。

そんな妊娠8ヶ月。

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