タナカ カナタ
昔話を新解釈でお届けしています。 ストックたくさんありますので、以下続刊中
コロナが治らない コロナになって、東京都から物資をもらったり、高価な薬を無料で試せたりしたのだが、熱が下がっても呼吸苦は10日以上続いた。 喘息から来ているのだろうと思っていたが、近所の呼吸器のクリニックを受診すると左の肺が真っ白でなにも映らないほどに水が溜まっているので、コロナ専門病院に搬送されることになった。 コロナ専門病院はさながら野戦病院のようだった。 ここに入院できるのは、コロナでも別の病気のために生命の危機にある人なのだろう。 廊下で見かける患者たちはストレッチ
8月5日 お休みで浮かれていた私の元に、上長のアズマさんから連絡があった。 「最近一緒に仕事をシェアしていた看護師さんがコロナ陽性なので、大至急会社からお渡ししている抗原検査をやってください」 おそるおそるでもありながら、素早く鼻に長い綿棒を突っ込み、試験管の試験薬に浸して15分待ったが「陰性」。 しかしマスクしつつもかなり一緒にいたので、それから毎日抗原検査をしたところ、9日になって初めて陽性反応が出た。 元々喘息の既往があり、近所の呼吸器内科にて5日にも吸入薬を1ヶ月分
「マッチはいかがですか?」 「ライターをなくしても、カバンに入ってたらタバコが吸えますよ。 気分が暗くなった時、炎を見てホッとしませんか?」 「引火するものに燃えたマッチを近づけると、大きな炎も楽しめてアシがつきにくいマッチはいかがですか?」 「人気の商品で、残りあとわずかとなって参りました。 あと5名様で売り切れとなります。 お早いお求めをお勧めします。 ギンギラギンににさりげないマッチはいかがでしょうか?」 歳の瀬も押し迫った12月の凍えるような寒さの中、少女は街
津南のたからやは大名カツ丼が有名だ。 使い込まれた塗りのお椀の蓋をとると、白身多めなカツ丼が現れる。 しかし、白身だと落胆してはいけない。 越後の大名と名乗るほど、そのどんぶりの中身は計算され尽くされている。 下のご飯は鰻のタレと間違えるほどの甘いコッテリなタレご飯で、その上に半熟な黄身とよく煮込まれた玉ねぎとカツが乗っていて、最後に白身が程よい固さで丼を覆っているのだ。 雪国津南町の名物として恥じる事のない、雪のような卵の白身。 そして大名を名乗るに相応しい大きなトン
「秋茄子は嫁に食わすな」って言う諺もあるくらい、美味しくて独り占めできる食材だって、同意される人も多いと思うわ。 道の駅で知り合った茄子生産者の方から「送料だけで良いんで、皮に傷のついた茄子を10キロ引き取ってくれないか?」と言われたの。 「送料だけなんて言わず、2000円お払いします」と、お返事したらたいそう喜ばれて、最初は10キロ段ボールいっぱいの茄子。 送料込で2000円。傷と言ってもほとんどわからないぐらい。 でも、大手のチェーンスーパーとの契約だとコレでもダメなん