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放課後に彩られた、懐かしの蛸薬師通り

京都市内を東西に走る通りの一つ、蛸薬師通り。高校時代、新京極通から河原町通にかけての通りは、放課後の私たちの遊び場だった。授業が終わると、友達と一緒にいつものルートを歩き出す。


まずは河原町商店街を抜け、角にある「tutuanna」で可愛い靴下を物色するのが定番。店内に並ぶ色とりどりの靴下を見るたび、どれにしようか悩んでしまう。

そして、その足で少し進むと、靴屋の「Step」と「ABCマート」が競い合っていた。Stepの大きな看板の下には、「そっちよりも安いで」という煽り文句の貼り紙があった気がする。そのやり取りが妙に京都らしくて、いつも笑ってしまった。


さらに真っ直ぐ進むと、「neomart」が見えてくる。店先にはいつも、季節ごとに変わるディスプレイが目を楽しませてくれた。
海外の雑貨や文房具、服飾品、お菓子まで、何でも揃うこの店は、私たちにとってまさに宝の山だった。大手の雑貨店では見つからない、珍しくて新しいモノがたくさんあって、どれもこれも手に取ってみたくなる。気づけば、何時間も店内をうろうろしていた。


さらにその先に進むと、通りの反対側に「河原町ビブレ」があった。確か、地下フロアがゼストで、1階から上がロフトのフロアだったと思う。ロフトにも、いつも新しい文房具や雑貨が揃っていて、行くたびに時間を忘れてしまう場所だった。

店内に入ってすぐ、右手にはアクセサリーショップが並んでいた。高校生の私にとって、そこは少し背伸びした憧れの世界だった。ペアリングを眺めながら友達と一緒に「ペアリングはこのTHE KISSかPINKY&DIANNEにすんねん!」と、相手もいないのに夢中で選んでいたのを思い出す。ふたりで冗談半分、本気半分で未来の彼氏について語り合っていた。
その後は、コスメや雑貨をじっくり眺めながら、またもやあっという間に時間が過ぎていった。ロフトの中を歩き回るたびに、新しいリップやアイシャドウ、そして使ってみたいスキンケア商品が目に入る。どれも手が届きそうで届かないものばかりだったけれど、友達と一緒に「あれ可愛い!」「これ欲しい!」なんて言い合っている時間が、何より楽しかった。


お腹が空いてきた頃には、自然と目線が向かいにある「ロッテリア」へ。バーガーやポテトを注文して、「これからどうする?」と尋ねながら、また次の場所を探すわけでもなく、何でもない話をずっとしていた。


あの頃の蛸薬師通りは、私の放課後に欠かせない場所だった。いまでも、通りを歩けば当時の懐かしい風景が目に浮かぶ気がする。






※この記事は、私の記憶をもとに書いていますが、記憶違いや時代の変化により、実際の状況と異なる部分があるかもしれません。ご了承ください。

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