HIGASHI TOKYO RIOT PART23
事実を事実のまま 完全に再現することは
いかにおもしろおかしい
架空の物語を生み出すよりも
はるかに困難である
(アーネスト・ヘミングウェイ)
これは事実談であり……この男(MUNE)は実在するッ!!
あの頃の文栄堂書店
ー小学校のときに通ってたあの本屋さんでの情報収集活動はもうやってなかったんですか?
MUNE あれは中学高校になってからもずっと続けてましたよ。
ーおお!
MUNE 店の入口の自動ドアの左側に「週刊女性」とか「女性セブン」とか「週刊プレイボーイ」が置いてあるんですよ。あと「FLASH」とか。そういうのをまずたっぷり20分かけて立ち読みして。
ー最新情報をインプットして。
MUNE そうそうそう。で、ビャーって自動ドアが開いて、入ってすぐ「ジャンプ」とか「サンデー」とかマンガ雑誌が積み上がってるんですよ。レジの目の前だからパラパラパラっと見る感じで。「ジャンプ」はあとで買うんで。で、そっから右に入っていくと音楽誌があって、そこで「ARENA37℃ 」とか。まだ覚えてますね「文栄堂書店」の配置を(笑)
ーうわーなつかしい!
MUNE 「「PATi PATi」」とか、あとは「GB」とか。
ーギターブック!
MUNE そうそうそう。そういうのとかを見て、左に行くとゲーム雑誌があるんですよ。「ファミコン通信」「ファミリーコンピューターマガジン」「マル勝ファミコン」「ファミコン必勝本」「Beep」「I/O」「マイコンBASICマガジン」とかそのへんのあらゆるものを見て。
ーパソコンの情報も摂取して。
MUNE パソコンで何が流行っていて、何が移植されるのか興味があったんですよ。ファミコンで流行ってるゲームとパソコンで流行ってるゲームってまるで違ったじゃないですか。「え、テグザー?ハイドライド?」みたいな。そういうのがあったんで、やっぱり情報は入れておかないとって。
ーあはははは!
MUNE 「やった、ザナドゥじゃん」とかいってたら「ファザナドゥ」とかってまったく違うゲームになっちゃって。ジャッキー・チェンの「プロジェクトA」とか「ポリス・ストーリー」とかもあったんですけど、あきらかに違うグラフィックで、メーカーどこだって見たら、ポニーキャニオンって書いてあって。だから、ファミコンにポニーキャニオンが進出してきた時って信用しなかったですもん。だから情報を入れといてよかったんですよ。
ーホントそうですね。
MUNE ほかにも疑問がいっぱいあったんですよ。「なんでギャラガはパソコンだと電波新聞社から出てるんだろう」とか「パソコンゲーム出してるメーカーってファミコンにぜんぜん参入してこないな」とか、ひとりであたまの中でつぶやいてましたね。
ー誰にいうわけでもなく(笑)。
MUNE だからほかの人たちよりもレベル高いですよね、つぶやいてる内容が(笑)。ナムコじゃない理由がなんかあんのかなって。「エグゼドエグゼス」がなぜ徳間書店から出たのかなとか。そういうのがちょっとよく分からなくて。そういう情報を入れつつの、ゲーム(雑誌)の横がカメラ雑誌で。
ーカメラ雑誌はさすがにスルーですか?
MUNE いや、それが「写楽」ってのがあって。表紙がおニャン子だったんですよ。中1のとき、それがどうしても欲しくて、でも「写楽」ってちょっとエロ本っぽいんですよ。だから買うのにすごい時間かかりましたね(笑)。何かと合わせて買わないとって。
ー単品だと買いにくい。
MUNE つかまんじゃねえかって(笑)。
ーあはははは!
MUNE で「CAPA」を見て、ぐるーっとやってきたら歴史の雑誌とかがあって。で、こっちに「宇宙船」と「ホビージャパン」があるんですよ。いわゆるホビー誌があって、プロレス雑誌もその辺でしたね。なんか、ガツッといっしょになってましたね。野球とかもあったな。で、そこから振り向くと、当時出はじめた廉価版のビデオテープのコーナーで。大陸書房とか。
ーうわー!
MUNE それをちょっと見つつ。三瀬真美子とか田島都とか。知ってます?
ー知ってます!
MUNE 村上弘明さんの奥さんで。あと堀江しのぶとかのイメージビデオをちらちら見ながら(笑)。そういうルーティンで行ってましたね。
ーだいたいどれくらいの時間いるんですか?
MUNE 1時間ですね。それを毎日とは行きませんけど、週4ぐらいでは行ってたかな。
ーけっこう雑誌は買ってたんですか。
MUNE とはいえ限界がありますからね。「週プロ」はぜったい買ってたし、「ジャンプ」も中学の頃は買ってたし、あとは「Beep」ですよね。やっぱSEGAだったんで。
ーけっこう買ってますね。
MUNE 中学の頃は1日200円もらってたんで、ためとけばいけるんですよ。駄菓子への興味がなくなって、もう買ってなかった気がするなあ。だからみんながする無駄遣いをしなかったんじゃないですかね。
ー服を買いに行くとかはまだなかったんですか?
MUNE 服もそれほどこだわってなかった気がしますね。服に情熱はまだそんなになかったかな。プロレス・ゲーム・音楽、んでエロ(笑)。
はじめて好きになったまともなバンド
ー当時いちばん聴いてた音楽は何だったんですか?
MUNE 爆風、米米、有頂天は当時いちばん聴いてたかもしれないですね。ぜんぶイロモノ(笑)。
ーあはははは! 爆風スランプだと当時は何の曲ですか?
MUNE 当時は「無理だ!」とかが出てきて、高校1年のときに「Runner」で大ブレイクするので、その前だと「ドンパッチ」のCMの曲(※1)とかかな。♪はじけろ早くしないと〜みたいな。
ーありましたねー。
MUNE でも、米米のほうがよく聴いてたかもですね。米米ははじめて買ったのが「SINGLES」っていうアルバムで。「Paradise」のセルフパロディの「Parodies」って曲が入ってるんですよ。それが印象に残ってるんですけど、その時はそういう曲だと思ってて、パロディだって後で知ったりだとか。
ーまわりにも米米聴いてる人はいました?
MUNE いや、いなかったなあ。「Paradise」が清涼飲料水のCM(※2)に使われてたんですよ。それで気になって買って聴いてみたら、けっこうよくて。
ー有頂天は当時はどんな曲でした?
MUNE 「ピース」ですね。有頂天はインディーズ時代は知らなくて、やっぱりメジャーデビューしてから衝撃を受けて。だからまともなバンドを好きになったのはバービーボーイズがいちばん最初なんですよ(笑)。
<HIGASHI TOKYO RIOT PART24につづく>
【本文脚注】
「ドンパッチ」のCMの曲(※1)
1986年2月26日に発売された爆風スランプ5枚目のシングル「青春の役立たず」。当時のCMはこちら▼
「Paradise」が清涼飲料水のCM(※2)
味の素 TEENS'のCMのこと。当時のCMはこちら▼