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我が2024年の95句


春:

歌ふなり、はああるの、う、らあらあの ハードエッジ

春暁の遠ざかりゆく始発駅 ハードエッジ

引力を楽しむ春やゆやゆよん ハードエッジ

細く長く小枝の春となりにけり ハードエッジ

ひとつづつ種の疼きや二月来る ハードエッジ

啓蟄や殻を割るべく種もまた ハードエッジ

お彼岸の墓も喜ぶ上天気 ハードエッジ

黄塵の国に果てたる遣唐使 ハードエッジ

亀よ鳴け降る春塵は山をなせ ハードエッジ

春なれや空にきらきら塵ほこり ハードエッジ

姉に吹き妹に吹く春の風 ハードエッジ

花の雨しだるる枝にしたたるよ ハードエッジ

塩辛き海に驚く雪解川 ハードエッジ

風船のヘリウム・アルミニウムかな ハードエッジ

校門を遠足バスの高みより ハードエッジ

潮干狩吾子の旋毛がよく見ゆる ハードエッジ

咲き満ちてこぼるる花の虚子忌かな ハードエッジ

古池に雨あたらしき蛙かな ハードエッジ

鳥籠より暗き巣箱であらうとも ハードエッジ

長旅に続く出産つばくらめ ハードエッジ

髪に挿す紫雲英嬉しや蓬摘む ハードエッジ

海を出て末は海苔巻煎餅か ハードエッジ

同じ種が同じ高さに芽吹くころ ハードエッジ

ある朝は花菜の卓にバナナ食ふ ハードエッジ

花を詠むホ句は幾万ありとても ハードエッジ

夏:

歳月の吹き抜けゆくや墓地涼し ハードエッジ

飛石は空を飛ばねど地に涼し ハードエッジ

一字にて足る一、十、百、千、万涼し ハードエッジ

涼しくて笑ふが如しアッパッパ ハードエッジ

大衆の通俗の原色の夏 ハードエッジ

石鹸の薄きが割れて夏の果 ハードエッジ

片陰は天の賜お陰様 ハードエッジ

現実を目の前にした西日なり ハードエッジ

植田から青田に変る日数かな ハードエッジ

サイダーの甘き空缶籠に投ぐ ハードエッジ

二度寝して昼寝の贅を尽しけり ハードエッジ

この傷は海の思ひ出サングラス ハードエッジ

すれ違ふ長き電車や夏休 ハードエッジ

図書室は本の涼しさ夏休 ハードエッジ

もう一度午後のプールに来たといふ ハードエッジ

客船がプールを乗せて海を行く ハードエッジ

週明けや祭の屑も分別し ハードエッジ

叩かれて鯵の面目なかりけり ハードエッジ

ガラス戸にブロック塀にかたつむり ハードエッジ

金魚には金魚の妻や領巾ふりぬ ハードエッジ

音がして青大将のどたと落つ ハードエッジ

ふる雨に水温変る目高かな ハードエッジ

新緑のこだま追ひ抜くひかりかな ハードエッジ

葉桜の緑したたる水面かな ハードエッジ

青バナナ黄色に熟し黒に果つ ハードエッジ

船の旅バナナの皮は海へ投ぐ ハードエッジ

さつちやんの遠くへゆきしバナナかな ハードエッジ

秋:

爽やかに翼を広げ滑空す ハードエッジ

心臓に遠き血管手足冷ゆ ハードエッジ

堪へ難キヲ堪へ帝國の秋日濃し ハードエッジ

一理二里三里四里五里霧中なり ハードエッジ

本流になれぬ悲しみ流れ星 ハードエッジ

寂しさに流星群をなせりけり ハードエッジ

大仏の鋳造すすむ流れ星 ハードエッジ

解体のビルの階段十三夜 ハードエッジ

今年から兄と一緒の運動会 ハードエッジ

夜食まであと100kmの運転手(ドライバー) ハードエッジ

故郷は三桁の番地盂蘭盆会 ハードエッジ

電車には都の生者盂蘭盆会 ハードエッジ

食ふ虫も食はるる虫も秋の闇 ハードエッジ

庭掃けば命尽きたる虫いくつ ハードエッジ

ふるさとは寒し冷たし渡り鳥 ハードエッジ

渡り鳥小さな顔が風を切る ハードエッジ

食ひ終へて外の空気を栗の虫 ハードエッジ

白桃や月の如くに盆の上 ハードエッジ

秋茄子の小さく軽く硬くかな ハードエッジ

南瓜硬し煮ればたちまちやはらかし ハードエッジ

まだ鳥の餌食にならず柿たわわ ハードエッジ

朗らかや柿のたわわに「わ」がふたつ ハードエッジ

羊羹と栗の出会ひを祝福す ハードエッジ

冬:

甲板に寒風すさぶ空母かな ハードエッジ

蒟蒻を買ひ忘れたるおでんでも ハードエッジ

懐しき人になりたや日向ぼこ ハードエッジ

雪だるま大きな顔をしてをりぬ ハードエッジ

門前の小僧が作る雪達磨 ハードエッジ

我こそは吹雪の中の雪達磨 ハードエッジ

脱色で叶ふ金髪翁の忌 ハードエッジ

冬彦さん寅彦さんの忌日なり ハードエッジ

長きものキリンの首と鶴の足 ハードエッジ

寒禽の種蒔く尻と思ふなり ハードエッジ

枯れてなほ枝の絢爛銀杏立つ ハードエッジ

飛んで来し雪合戦の寒椿 ハードエッジ

年末:

年越や三百六十五進法 ハードエッジ

水仙を生けて終りぬ年用意 ハードエッジ

洗ふ切る掃く拭く磨く年用意 ハードエッジ

新年:

初日の出までをぬくぬく家の中 ハードエッジ

天の戸を侍女が引き開け初日差す ハードエッジ

アスパラのガスと歌会始なら ハードエッジ

乗初の女車掌の指差称呼 ハードエッジ

見る人に幸多かれと初鏡 ハードエッジ

全然堂本店:

葉書俳句 2024 全部入り 20枚


以上です

どうぞ、良いお年をお迎え下さい

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