駅前にて
駅前のベンチに本を広げ、地面にひざをついてひたすら音読するじいさんがいた。
お経、念仏なのかなあと思って近寄ると、2冊の本のうち1冊は閉じられていて表紙には英会話なんとかという書名が見える。
じいさんが読み上げている本は何語かはわからない。だって、単語の区切りもなく、文の区切りもなく、イントネーションも強弱もなく、ただただずらずらと棒読みで読み上げるだけだから。
おじいさん、家では迷惑がられているのだろうか。駅前の野外ベンチで何語かをひたすら読み続ける姿になんともいえない悲哀を感じた。