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デザインとマーケティングの融合 〜コラボレーションを加速させるコミュニケーション術〜

コミュニケーションデザイナーはビジネスサイドと密連携してデザインをしていくことが必要不可欠ですよね。

今日はマネーフォワードの法人向けSaaSを展開するビジネスカンパニー(MFBC)で、マーケティングやセールス組織に所属して活躍しているコミュニケーションデザイナー4人に、普段の仕事やそこで得た学びについて雑談してもらいました!

まずは自己紹介をお願いします。

青野:HR(人事労務)領域でコミュニケーションデザイナーをしている青野です。マーケターと伴走して様々なタッチポイントのデザイン・ディレクションを担っています。

寅野:ERP領域でコミュニケーションデザイナーをしている寅野です。ホワイトペーパーや広告バナー、展示会のブースなどのデザイン・ディレクションを主にしています。

川島:事業推進本部で、主に税理士や社労士などの士業さまに向けたWEBクリエイティブのデザイン・実装を担当している川島です。マーケ組織内のワークショップの設計・ファシリテーションも行っています。

新井:青野さんと同様、HR領域でセールス部門のタッチポイントのデザインを担当しています、新井です。制作媒体は営業資料がメインになります。

作るもの、関わり方の幅広さがやり甲斐

ー 部署単位で見ると「ひとりデザイナー」になることも多い皆さんですが、このポジションならではのやり甲斐はどんなポイントになりますか?

青野:やはり手がける範囲の広さが一番ですね。
LPやバナーやホワイトペーパーはもちろんですが、展示会出展、エディトリアル、撮影、ワークショップ設計など、とにかく色々やっています。
アウトプットの幅広さ以外だと、プロジェクトに関わるタイミングも多岐にわたります。
企画がある程度煮詰まって短期決戦で結果を求められることもあるし、まだ要件がフワッとしている初期段階から入って進めていくこともあります。
そのばらつきが大変でもあり、面白いところです。

HRマーケティング担当の青野さん

川島:幅広さで言うと、関わる人に関しても同じことが言えて、様々なポジションの人と協業する機会があります。
僕はコミュニケーションデザイナーの中でもちょっと特殊で、WEBにスコープを絞ってフロントエンドの実装まで含めてやっているのですが、それでもそう感じます。
新規のお客さま向けも、既存のお客さま向けも、小さいバナーも、新規ページの立ち上げも。ひと通り広く携わっています。

新井:セールスに所属していると、作るもの自体は導入前のお客さまに向けたものが多くなります。でも中には検討中や導入フェーズのお客さま向けのものもあり、やはり関わるタイミングは様々です。
課題の解決策を探すところから入ることもありますし、ある程度要件が決まった上で、デザインでどう解決していくかから入ることもあります。それぞれに面白さがあります。

寅野:私もお客さまのフェーズ、タッチポイントの媒体の幅ともに広く携われる環境です。決まっていることももちろんありますが、それよりも多いのは「どうにかしたいけれど……どうしよう?」というボールです。日々受け止めて、デザイナーとして応えています。

"デザインのなんか"の裏側に何があるのか、 抽象を具体化して共有し合うためのコミュニケーション術

ー マーケやセールスの組織の中にいると、周りとの共通言語が少ないと思うのですが、その中でデザイナーとして価値発揮するための工夫はありますか?

青野:職能に違いはあるのですが、のりしろはあります。
例えば企画段階に一緒に入っていってアイデアを膨らませ、デザイナーの視点で感じることをどんどん発言していく。
そうやってのりしろを意識して動くことが大切だと思っています。

そしていざ作る前に「何を伝えたいか」、「どういう成果を目指しているか」の目線合わせを厚くやっています。
作ったものの答え合わせも同様で、レビューに参加してもらい、かつ目線合わせの時の視点のままでレビューしてもらうことも大事にしています。

作業自体はやはり孤独になりやすいので……煮詰まったらここにいるコミュニケーションデザイナーのメンバーのところに来ます(笑)。
横軸の目線でレビューをもらうことも大事ですし。

ー マーケの皆さんとの会話のスタートはどんな状態が多いですか?頻出ワードがあったら聞かせてほしいです!

寅野:「とにかくデザインを変えたいです!」が多いですね。特に広告バナーで多いかなと思います。

川島:「なんか変えたい!」はめちゃくちゃありますね。

寅野:これは決して目的がないわけではなくて、必ず体験や数字面などの目的があった上で「デザインについてはうまく言語化できないけれど、良くしたい」という意味ですね。

青野:それに対して皆さんはどういう反応をしているんですか?

寅野:「よしきたぁ!」と思いますね。
会話をする中で「どうして変えたいのか」「変えた後にどうなって欲しいのか」を明らかにして、具体の方法を提案するんです。
絡まって塊になっている毛玉をほぐすような感覚です。

新井:それはセールスでも起きることがあります。
営業資料をご覧になるお客さまにとってわかりやすいかどうか、という目線はデザイナーが得意とすることだと思っています。
サービスをお届けするセールスの目線で「どこを一番伝えたいか」と、「それをどういうメッセージにすればお客さまにとって理解しやすいか」を繋げるための翻訳作業のように捉えています。

HRセールス担当の新井さん

川島:WEBクリエイティブも同じですね。
新規ページのような粒度だと目的が最初から言語化されていることが多いですが、逆に広告バナーなどになると「なんか変えたい」が増えてくるんです。
「その "なんか" の正体は何だろうね?」というヒアリングをしながら要素分解する。
テキストの内容でABテストすれば明らかになるものなのか、もしくはビジュアルを変えることなのか。
"デザインのなんか" をクリアにするためにどんな打ち手がベストなのか、会話を通して目線を合わせていきます。

ー 広告バナーで「なんか」が頻出する裏側には何があると感じますか?

青野:例えばですが、同じ広告を出し続けていくとパフォーマンスが下がっていったりしますよね。最初は良くても、何度も同じものが表示されればスルーされやすくなるのは自然です。
それが数字に表れてくると、クリエイティブそのものに課題がなかったとしても、違うものを作る必要が出てくるわけです。季節的な要因もあるかもしれません。
そのクリエイティブの経年劣化が "デザインのなんか" の正体であるケースは多いと感じています。
あと、広告バナーだとPDCAのサイクルが速いことも大きいと思います。

寅野:同じものを掲出し続けると、評価が下がっていく仕様になっているプラットフォームもあるじゃないですか。
その中でお客さまに興味を持っていただけるタッチポイントを出し続けるためにも、変えることは大事な責務で、それが "デザインのなんか" につながるんです。

お客さまとの接点の現場を理解し、デザイナーとしての意見を積み上げる

ー 短期間でPDCAを回してクリエイティブの打ち手を数多く打っていくと、長期目線で「変えないこと」の蓄積が価値となってくるブランド表現とコンフリクトを起こすことがしばしば発生すると思います。そういう時はどういうコミュニケーションですり合わせていますか?

寅野:変えるべき打ち手は変えつつ、変えなくていいものの共通認識も作っていくことは大事ですよね。
そのためには根本から丁寧に見直すようにしています。
もちろん「バナーの見た目を変えよう」が正解の時もありますが、実は問題はバナーの表層表現じゃないこともあります。
「どちらかと言うと、飛び先の入力フォームを変えた方が良いんじゃない?」とか。
バナーだとモノとしてわかりやすいし、差し替えしやすいから注目しやすいのだけど、違う視点も逃さないで提案することを意識しています。

ERPマーケティング担当の寅野さん

川島:僕はとにかくまずはマーケターの目線を全て受け止めて理解することを意識しています。
違う目線から意見を言うだけだとハレーションが起きやすいと思っていて、まず話を聞いて、「確かにそうだよね」って共感できる状態まで自分を持っていきます。
その上で、自分のデザイナーとしての意見を積み上げるイメージです。
ちょっと抽象的ですが、自分の中にマーケター視点の下地を作るためにも、大事にしていることです。

新井:営業資料も、お客さまにお伝えしたいことがたくさんある中で、メッセージを再構成することがよくあります。
絞れればベストですが、そうはいかないこともあります。
その場合は無理やり絞ったり、1ページに収めるのではなく、分解したりします。
ややこしくて読みづらい1ページがあるくらいなら、読みやすい3ページになった方が良い資料と言えますよね。
デザイナー目線で量を絞ることだけにこだわるのではなく、セールスとしてお客さまに全てお伝えする必要性をちゃんと理解して、そのための最適な設計をします。

青野:ホワイトペーパーも同じです。
「いろんなことをお客さまにお伝えしたい!」の中で、じゃあコミュニケーションとしてどうすべきかを議論をします。
その中でブランド的な観点を踏まえて設計し、表現する。その視点はデザイナーの得意領域じゃないですか。
そしてその際に、どうしてこういうアウトプットにするのか、理由をちゃんと説明することが大事だと思っています。

ブランドガイドに理由がしっかり書いてあるので、それを一緒に見ながら、マネーフォワード クラウドらしい表現方法を共有していきます。
「こうしなきゃいけないんです!こういう表現はとにかくダメなんです!」っていうルールだけ言うのは本質的ではないですよね。
「どうしてこういう印象にしたいんだろう?それを作り上げるには?」っていう文脈で、一緒に発散と収束をしていく。
その過程を一緒にやるのが大事だなと思っています。

マネーフォワードはブランド観点の大切さも理解してくれるマーケターが多いので、あまり悩むことはないです。

コミュニケーションの積み重ねで関係値を作ると見えてくる成果

ー こういうコミュニケーションは、日々の具体タスクの話でもあり関係値作りでもありますよね。その積み重ねが目に見える成果として表れたことはありますか?

川島:スピードかなあ。
良い関係値を作ることで施策のスピードは上がりますよね。
コミュニケーションを重ねることで、ユーザーや表現への解像度がお互いに高まり、結果として説明コストが減っていく。
それは僕がフロントエンドの実装までやるから成果として見えやすくなっているのかもしれないけれど、そうじゃなくても同じ現象は起きると思う。

士業パートナーマーケティング担当の川島さん

寅野:広告バナーとかでも同じ現象が起きますね。
毎週、掲出した広告バナーの成果を共有して次の打ち手を練る定例ミーティングをマーケターと一緒にしているのですが、関係値ができてくると、その場で「次はこういうのやったらどう?」ってささっと提案できて、即決するケースも出てくるんです。
「やりたいことはあるけれどカタチにできない」というペインに、速度を持って貢献できているかも、と感じます。

青野:僕も同じです。マーケターと定例ミーティングでデザインの成果をオープンにして、毎回次の案件が来た時のナレッジを積んでいます。
密連携しているからこそ、クリエイティブの新しいチャレンジも出しやすくなるんです。

新井:営業資料も、お客さまとの商談の全体像をデザイナーが理解すると、新しく作りたいものが出てきた時に、Why〜Howの段階で提案ができるようになりますし、作り途中の状態で共有して、デザイナー目線と、現場で実際に資料を使う目線の両方で一緒に解像度を上げていけるようにもなります。

対話を通して抽象的なものを具体化していくことを皆大切にしている

各自の場所から成果を持ち寄って作るデザインの仕組み

ー 大組織の中でコミュニケーションデザイナーが横断的な動き方だけしていると、これらの効果を出すにはどうしても限界があると思います。各セグメントに注力している皆さんがいるからこそですね。一方で、横断的な取り組みはしていますか?

青野:各マーケティング部署で作っている広告バナーを僕たちが集約して要素分解し、一貫性のあるアセットにブラッシュアップしてライブラリ化する取り組みをしています。

僕たちはそれを「バナーラボ」って呼んでいるのですが、その中でさらに新しく挑戦できそうなことがいくつかあると思っていて。
アセットをライブラリ化した現在はスタートラインで、今後はそれを活用して各部署で作った広告バナーの中で、パフォーマンスが良いものを再び吸い上げて横断的にシェアし、またライブラリをアップデートさせていくことができると考えています。
デザイナーがそのサイクルを作ることで、「クリエイティブによる成果」の平均値が継続的に上がっていくと良いなと。
それをここにいるメンバーで実行していきたいです。

これから挑戦したいこと

ー 部署ごとに細かく回るサイクルと、横断的に平均値を上げていくサイクルの2つがあるとして、後者のサイクルについてはデザイナーがハブになれると良い、ということですね!

青野:はい。ここにいるメンバーが各自の所属部署から持ち寄って、みんなで改善して、持ち帰ってもらう。
それが僕たちのようなポジションでデザインをするデザイナーがすべき連携だなと思っています。

ー バナーラボのような取り組みのアウトカムを考えるときに、数字と向き合うことになると思うのですが、そこについて取り組んでいることはありますか?

寅野:数字的な結果の要約を見て、それに対するクリエイティブのアプローチはもうできるんですよね。
でも、データポータルやGAに入って、着目ポイントを自分で探せるようになる必要があると感じています。
数字を点で見て「上がった!」「下がった!」ではなくて、流れを追って解析できるようになっていきたいです。
それから「数字が伸びた=ターゲットユーザーに届いた」とは限らないじゃないですか。
デザイナーとしては、その数字の質を高めることを意識したいです。

川島:僕もGAはよく見ているのですが、他のデジタルマーケティングツールも含めて見れるようになっていきたいです。
数字に対する考え方を学ぶために、マーケターのミーティングに「お邪魔しまぁーす!」って顔を出させてもらっています。
任意参加でも毎回出るようにしていて。やっぱり考え方ってそういう現場に出向いて吸収するのが一番だなと感じています。

それからこれはスタンスの話になるのですが、「数字をマーケターに依存しない」っていうのが大事だと思っています。
受動的に「数字教えてください。」じゃなくて、自分から見にいく。
デザインするにあたって数字に振り回されてしまうのはダメだけど、常に頭の隅には置いておきたいです。
能動的にキャッチしにいくかどうかで、アウトプットも変わると思うんです。

新井:セールスに所属していると「受注率」が一番多く出てくるワードになります。
受注率が何かはもちろん理解しているのですが、今はその解像度を上げたいなと思っています。
導入検討中のお客さまの状態をさらに細分化して理解度を深めれば、作るタッチポイントをもっとUser Focusにできるなって。
そのための取り組みとして、私もセールスの各ミーティングに参加したり、商談同席にトライしたりしています。
商談のどんなパートでどんな質問をいただくのか、どんな疑問や不安を抱いているお客さまが多いのか、またそれに対してセールスのメンバーはどう応えるのか……現場を見て知ろうと頑張っています。

能動的に情報をとりに行く姿勢が大事と語る2人

青野:やっぱりマーケターはいろんな数字を見ているし、その裏にあるお客さまの状態に対して仮説立てています。
デザイナーはそこと対話する上で、どうしても知識や経験の差があるので、わからないことはとにかく聞く。頻出ワードは共通言語として頭に入れる。

僕、マーケターの先輩に「僕を新卒マーケターだと思って教えてください!」って聞きに行ったことがあって(笑)、そしたら「一般論としてCTRはこのくらいあれば御の字……とかあるけれど、実際マネーフォワード クラウドのサイト上だとどうなの?って、一般的な感覚とユニークな感覚の両方を持ち合わせること。」「とりあえず自動化せずに、まずは手動で資料フォームのページの数値を日々ウォッチすることをやってみたら?」と言われました。で、毎日やってるんです。

突然アクセスがはねた時にどんなリリースや施策や露出があったか。
逆にリリースも露出もないのにはねた!と思ったら小さな導線ひとつ変えただけだったとか、急に半減したら実はABテストしてたとか、数字の計測が間違ってたとか……。

そういう動きを手動で見る中で、気付いて、仮説を立てて、マーケターにレビューしてもらう。
そういうことをしていかないと、実務レベルの対話にならないので。

クリエイティブじゃないところではねることが多いってわかると少し悲しくなったりするんですが、そこに気づくのが大事で、その上でデザインでどう貢献できるかを考えていきたいです。

ー 皆さん奮闘中ですね。

川島:めっちゃ楽しいですよ……!

ー 素晴らしいですね。今日はありがとうございました!

さいごに

マネーフォワードではコミュニケーションデザイナーを積極採用中です。
サービスの魅力をお客さまに届けるためのデザインを、一緒にしませんか?


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