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MSX1向けゲームの肌色表現を集めてみた

MSX1の特異なパレット色では肌色表現というのは本当に厳しくて、もしMSX1に綺麗な肌色のパレットが積まれていたら世界の歴史が変わっただろうと言われています(言われてない)。自動コンバーターを作るにあたっても肌色は特殊扱いしないと駄目だなと感じており、一度状況を整理して考察したく思います。


MSX1パレット基礎知識

まずMSXで使えるパレットをおさらいします。

MSX1とMSX2でデフォルトカラーパレットは結構異なりますが、注目するべきはこのカラーパレット内に綺麗な肌色がないという事です。9番の薄オレンジと11番のくすんだ明るい黄色が肌色に使えなくもない…けれどまあ綺麗とはいいがたく、厳しいわけです。しかしやっぱり、これらで戦うしかない。

問題なのはMSX1向けのグラフィックスで、MSX2では512色中から16色を選んで好きなパレットに変更できるので綺麗な肌色を作る事が出来ます。メーカーによって使い方が異なるのでこちらも調査するのに面白いトピックではあります。あと、ファミコンにはばっちりな肌色が何色かありました。

各メーカーの表現

どのメーカーのゲームも工夫や苦労をしているが見て取れるのでこの辺りをまとめてみます。なお以下に掲載するMSXソフトの画像はMSX2上での表示ではなく、MSX1上での表示カラーに調整して統一してあります。MSX2全盛期でもMSX1のソフトを出していたコナミ作品などはMSX2の濃い色のパレットで覚えている人の方が多いかもしれません。
詳しくは下記の投稿を。

では行きます。年代順とかではないです、

ソニー(開発 HAL研究所):ガルフォース

いきなりですがこれが正解じゃないかいう物から。シューティングゲームのガルフォースの女の子たちです。(※ 実際にこのように7人並んでいるシーンはゲーム中にありません、自分が切り貼りしてまとめました。)

1986年 ©ソニー

11番の明るいイエローに9番8番6番で陰影をつけていく。このパターンがイラストとしては一番自然に見えるのではないかと思います。日焼けや肌の色が遺伝的に暗めな人は9番をベースにします。MSX1制限の中で7人とも良く描けていますね。原作の映像を見たことがないのですが、予告編らしきものをYoutubeで見たところバイファム的な雰囲気を感じました。興味出たので見ようと思ったのですが、とりあえずアマプラにはないですね。

ゲームについては以下の記事が良くまとまっています。

記事内でこのゲームをMSX1で立ち上げた場合とMSX2で立ち当たげた場合は絵が異なるとの旨紹介されていますが、自分にはMSX1とMSX2のデフォルトパレット値の違いに見えます。記事の後半でMSXマガジンにそう記載があったと書かれているので、どこかが違うのかもしれません。間違え探し難しいです。

コナミ:シャロム

1987年 ©コナミ

コナミもこの11番黄色+9番赤の影パターンを使いますが、10番の暗い黄色の影もその間に差し込まれています。1影が10番で2影が9番です。ちょっと肌の血色が悪く見えなくもないですが立体感は強調されます。しかしこれをMSX2でみると肌の黄色みが強くなるので、バランスが難しい所です。ドット絵はめちゃ上手いです。

コナミ:沙羅曼蛇

1987年 ©コナミ

OPムービーより。このおじさんとお兄さんは9番の肌色です。男性だったり状況が宇宙にいるなど暗い場所だとこの色でも気になりません。

1987年 ©コナミ

上段は主人公の男女ですが、こちらはシャロムと同じ配色です。良く描けていますが、上段右側の女性の髪形に強い違和感を持ちます。これは男性のキャラパターンを使いまわしたからだというウワサがありますが本当でしょうか。下段は自分が左右反転したものを並べたものです。MSXにキャラ反転機能はないと思いますが...。上下で比較すると確かに似ていますね。むむむ。

上下の段を重ねて減算合成で差分を比較すると…あっ!!

ENIX:ウィングマン

ここからエニックスシリーズです。まずは黎明期の作品からウィングマンの1本目を。

1984年 ©ENIX / 桂正和 / 集英社

細かい部分が崩れていて少し残念な部分もありますが、1984年のソフトは今回集めた中でも抜群に古いです。媒体もテープだったはずで容量や開発効率なども悪い条件だったことを考えるとまずまずのCGです。この作品では肌の色に白が使わている事が多いです。背景色との兼ね合いでそうなる場面もありそうですが、タイトルシーンではあえて白が使われているのだと思います。暗いシーンだと白でも違和感は少ないですね。

ENIX:ウィングマン2-キータクラーの復活-

1987年 ©ENIX / 桂正和 / 集英社

ウィングマン2はメガロムでの提供になり、CGは圧倒的にきれいになりました。肌色は11番の明るい黄色です。他のシーンも明るい黄色がメインで使われているようです。ただ、肌に影が入っておらず、シーンによっては他機種と比べてのっぺりとして見えます。

ウィングマンの2つのタイトル画は描きなおしてみたいなあ…。

ENIX:軽井沢誘拐案内

1986年 © ENIX

堀井雄二氏のミステリー三部作の第三弾。(あれ?2段目だっけ?)
これは、、カラーパレット11番ではなくて10番!10番でしょうか!?他のシーンではもっと薄い黄色を肌色に使っている場面がけっこうあるので、これは10番でしょう。タイトル画面の屋外パンチラシーンでも10番が使われているので狙って使っていますね。なぜか?これはおそらく日焼けの表現です。他機種でもオレンジ色系と黄色系の肌色が塗り分けられています。うーん、でもだったら日焼け表現は9番でいいような。

まあ要は周りとのバランスなのでどの色を肌に使ってもいいんですが、10番の肌色がMSX2ではどんな見た目になっちゃうのか気になりますね!

MSX2色にしたらレトロ感が増した

ENIX:ザース

1985年 © ENIX

以前の記事でも紹介したザースの有名わき役ミリカですが、9番のオレンジの強さを低減するため白とのタイリングパターンになっています。ええ、描いた方の気持ちはとてもわかります。ただ低解像度でこれをやるとアウトラインがガタついて見えたり肌ががさついて見える事もあるので使いどころは難しいです。このCGの場合は面積が大きいのでそのような印象は和らいでいますね。ブラウン管で見るとちょうど良いのかもしれません。

ENIXはその他にもTOKYOナンパストリートとかライーザとかありますが、とりあえずこの辺で。

日本ファルコム:ザナドゥ

ファルコム系に行きます。まずはザナドゥですが結構発売遅いんですよね。MSX2版はこれより前に出てます。そのMSX2版は他機種の色合い・画面構成に忠実ですがこちらはMSX1版です。

1987年 ©日本ファルコム

その他ショップのどの人物もパレット9番メインの肌とその他赤の影色になっています。リアル調の絵なのであまり違和感はありません。

日本ファルコム:ロマンシア

1986年 ©日本ファルコム

ファルコムのMSX1作品はこのパレット9番がお好きなようです。セレナ姫は女子感を引き上げるために黄色系でもよかったかもしれません。でも同じレイアウトでアップで11番と並ぶとお互いに変な色の引き立て役みたいになるかもしれないな…。

という事でやってみました。けっこういいのでは。

ゲームアーツ:ぎゅわんぶらあ自己中心派

MSX1ぽさを感じない見た目のソフトだったなあと思いだしてweb状上の情報を見つけてきました。MSX1モードで起動中のゲーム画面です。
やはり肌色はパレット9番です。それと男女同色です。小さいドット絵である事&枠線がある事からか濃い肌色に違和はありません。枠線部分はたぶんスプライトですね。他のMSX1ゲームの絵でもでも、線画が追加できれば肌色がちょっとおかしくてもずっと良い印象を持てたかもしれません。

©片山まさゆき/講談社 ・ 1988年 ©ゲームアーツ・YELLOW HORN

このゲームはMSX1版とMSX2版が1カートリッジで提供されており、起動時に自動判別して切り替えるというなかなか凝ったことを(ガルフォースと同じく)しているのですね。下記にくわしい説明が(PC88番じゃなくてMSX版で紹介しているのがレア?)あるのでぜひ読んでみてください。

日本テレネット:ファイナルゾーン・ウルフ 

1986年 ©日本テレネット

これは濃い肌色が暗い場所にマッチしている例です。雰囲気良いです。ですが他機種版では女性と男性の肌の色が塗り分けられ、全員の肌にハイライト部も存在します。グラフィック担当者としては納得がいってない可能知絵もありますね。目力が強いし良いじゃないか。
X1版での肌色の使い方の確認はEGGでどうぞ。(アフィリエイトじゃないです。きれいな動画があったので。)

そういえば、日本テレネットといえば忘れちゃいけないヴァリスなんですが、MSX1版ヴァリスにはアニメシーン無いんですね。検索しても見つからないわけだ。

マイクロキャビン:はぁりぃふぉっくす 雪の魔王編

1986年 © マイクロキャビン

有名なADVの続編です。いや続編の方が有名か?MSX向けはテープ番で展開。タイトルの女の子は肌色が11番と白のタイリング中間色で表されています。市松模様でなく1ラインごとの並びで表現するタイリングパターンを顔に適用するのは珍しいです。(といいつつ自分の絵でも多用するんですが)このような小さいエリアだと中間色ではなくだたのシマシマ模様に見えてしまう事が多く、使うのが難しいです。しかしこの絵の場合は髪の影色が大胆に黒に振られているため、黒と肌色との対比で白と明るい黄色が近い色に見え、破綻を抑えられています。ブラウン管で見ていたらにじむのでなおさらわからないかと。

その他 特殊パターン(?)

肌色表現を色々見てきましたが、全く違う色で表現される事もありますね。以下に一部をかいつまんで掲載します。

ジョークですよ

その他、人が出てくるゲームはいっぱいありますが、とりあえずこのくらいにしておくときます。同じ9番や11番でも使われ方で印象が違いますね。あとは9番でも11番でもない肌色表現を効果的に使っている作品があればまた特集してみたいです。それとMSX2スクリーン7での肌表現についても。カラーパレット定義もメーカーごとに味があるんですよね。

オマケ画像&次回について

今回の記事のヘッダ画像はこの投稿専用でこしらえたブタ美ちゃんMSX1カラーです。意外とかわいくできたました。せっかくなので実機で表示できるであろう画像もおいておきます。256x192です。(ちょっと縦長に見えますが、MSXのドットは横長なので実機表示を考慮するとPC上では細く見えるように作るのが正しいので、これであってます。)
実機向けバイナリ化ってどうやれば良いかなー。良いツールありそうだけど。

ぶう

次回は、先に投稿したザースのミリカのCGで肌色を決定する時にどういう思考があったのか、という手前味噌なお話を投稿します。たぶん。


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