4,000億円の空白市場を切り拓いたワークマンの「しない経営」と「データ経営」
オンラインのセミナーに参加した。スピーカーは、ワークマンの土屋氏(専務取締役)だった。
話の内容、話の仕方も含めてとてもよかった。ワークマンがどのようにして新たな市場を開拓したのか。
ワークマン式「しない経営」―― 4000億円の空白市場を切り拓いた秘密
Amazon.co.jpによる
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1.凡人経営
自分たちのことを凡人といい、できることを明確にし、選択と集中、何にリソースを割くのかを考えた経営を行っているとのこと。凡人経営の新規事業、1点集中、自主性、ストレスフリーを念頭に、以下の4点を意識していると。
①ポジショニングー100年競走優位を気付けるか
②会社の本気度を示すートレードオフを辞さない
③時間の制約をなくすー時間を味方にして必ず成功
④ストレスをかけない。ー自分の意欲で仕事をする
2.自社のことを理解すること
当社は、自社のこと(商品がどのように売れる、どのような人が買う、購入されるサイクル、在庫のこと・・・)、置かれてる環境、他社からどう見られているかなどをとてもよく分析し、現在の立ち位置を把握している。それが所謂マーケティングということなのだろうか。理解しているからこそ、目的が明確になる、やること・やるべきことが整理されいるのではないか。
その理解から、会社としてどのように進んでいくべきか、ビジョンがとても明確。いただいた資料もコンサル会社が作成するような、デザインされていておしゃれな見た目ではないが、とてもシンプルでわかりやすい。デザインされているものが無駄だということではないが、目的は資料を綺麗に見せることではなく、理解してもらうために作成している、会社のことを伝えることが目的だ、ということを言わんとしているのではないかと感じた。
3.マネジメント・目標について
社員にストレスを与えない、時間的制約を設けない、マイクロマネジメントをしない、高すぎる目標でなく超えられる高さの目標、という考えのもと目標が設定されているとのこと。
「目標が低いことで、楽をする従業員が増えるのでは?」セミナー内での質問に対し、
「超えられるから、その後自分たちで目標を設定している、自主目標ができると自分で意味づけをして、意味のあることをそれぞれが主体的に行える、やらされる仕事ではない。」
自分の勤務先と比較すると、真逆である・・・
口では、主体的にというものの、
①トップダウンで役員が言っているから。
②期限は定められている、期限までに必ずやれ
③あれはどうなった、これはどうなった、進捗をわかるように管理表を作れ
④てにおは、細かいところを何度も何度も修正、意味のない会議資料の作成
⑤高すぎる目標設定、意味のない仕事、ハイストレス
漠然とした危機感はあるものの、本当の意味で、自社がどのように置かれていて、これからどうなっていくのか、分析しておらず、どうすべきか明確なビジョンがない、ビジョンがないから戦略がない、戦略がないのに戦術を下に考えさせる。それなのに、下から出てきたものに対しては、あーでもない、こーでもないと評論家のように批評する。うーん・・・
4.マーケティングについて
ワークマンではアンバサダーマーケティングを活用。
2〜10万人のフォロワーを持つ、ワークマンのことを好きな方(所謂マイクロインフルエンサーというらしい)に、「無償で」PRしてもらう。自社の社員よりも、当社のことが好きな人が、その人をフォローしている人達に商品の事を伝えてもらう。有償にすると、何か嘘くさい、信用されない、だからこそ無償でやる、プレスリリースもしないが、勝手に広がる仕組みを活用している。アンバサダーによるYouTube配信、#ワークマン女子といったハッシュタグをつけて思わず投稿したくなるような店舗作り。
またTVCMを行うのではなく、当たるイベントを企画実施(過酷ファッションショー:雪の上や雨の降る中でのファッショショー)する事で、TVやWebなどさまざまなメディアで取り上げてもらう、それが認知につながる。循環型の広告と定義づけているよう。人が人を呼ぶ仕組み。
広告費は最低限だが、効率よく、効果を最大限引き出す仕組みが出来ている。
また、商品改善や新規企画など、数多いる消費者からではなく、アンバサダーからの意見も参考にしている(フォローしている人たちの代表、意見集約がなされているという前提としている)。
ただし、売れ筋しょうひん、売れていない商品など、データ分析の仕組みを構築し、誰でも分析できるような環境を整えている。社内での勉強会も実施されているよう。高度な分析手法を使っているわけではない。
その中でも自主的に分析をしたいと思う人が出てきて、その人が’勝手に’勉強して資格を取得したりしている。ただ、そういった努力をしている人には、金銭的なインセンティブを与えたりする事で評価につなげたりする工夫もあるよう。
ただし、なんでもデータ分析してから実施するというわけではなく、ある種答え合わせのような形で使用することもある。「声のする方へ’後追い’で進化していくために、データを活用する」といった発言もありました。
5.まとめ
勤めている会社とのギャップをすごく感じ、ワークマンという会社にとても興味を持った。ワークマンの経営方針はどの会社でも当てはまるものなのだろうか。目標設定やマーケティング、当社だからできたものなのだろうか。参考になる部分はかなりあるので、踏まえて自社にも取り入れられる部分があるといいな。大きな組織では変わるのがかなり難しい。難しいけれども、変われなければ、うちの会社もやっていけないと思う。
ワークマンの善意を生む仕掛けとして、信頼感・親切心・人柄の3つのキーワードがあり。この善意のサイクルにより、好循環が生まれている。とても理想的なサイクルだと感じた。有能であることよりも親切であることの方に重きが置かれる、人として大切なことに重きを置かれていて、会社としての色が出ている。
まずは現状を理解すること、自分自身の分析を行い、何がよくて何が悪い、どうなりたいかシンプルに考える。そこからビジョンを作り、戦術ー戦略を考えていく。自分のキャリアについて悩んでいるが、どうしたら解決できるか、今回のセミナーのテーマとは全然異なるが、少し筋道ができたような気がする。
自分自身を分析し、やらないことを明確にする、やらないことを明確にする事でやるべきことに集中する、新しい価値観に触れることができ、とても有効な時間だった。引き続き、さまざまな価値観に触れ、自分自身の幅を広げていく。
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