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レセプトの査定・返戻とは

医療機関は毎月10日に支払基金・国保連合会へレセプトを請求します。診療報酬の原資は国民が納付する税金や保険料等です。診療報酬は医療法や療養担当規則等を遵守し行った医療行為に対して支払われるものになるので、第三者である審査機関が適正か審査し判断をします。今回は保険請求に係る査定・返戻の基礎知識についてお話いたします。

【返戻とは】

審査の結果、記載事項の不備や不明等により、医療行為の適否の判断ができなかった場合など、請求内容に疑義が生じた場合にレセプトが医療機関に差し戻されることを返戻といいます。返戻事例で多いのは保険証の登録誤りや氏名等患者データの誤りです。保険証をスキャン・コピーするなど地道な対策が重要です。
返戻内容に対して修正・追記等を行い再請求が可能ですが、診療報酬の支払いが遅れるので該当件数が多いと経営に影響が出ます。

【査定とは】

審査の結果、保険診療のルール上不適当であると判断された場合に減点、調整されることを査定と言います。医療機関には「増減点連絡書(通知書)」にて通知されます。
また、査定事由ごとに記号が定められています。
〔A〕    医学的に適当と認められないもの(病名漏れ、薬剤や診療行為の適応外等)
〔B〕    医学的に過剰、重複と認められるもの(薬の過剰投与、診療行為の過剰等)
〔C〕    A・B以外の医学的理由により適当と認められないもの(薬剤禁忌等)
〔D〕   告示・通知に示された算定要件に診療行為が合致してないと思われるもの
   (告示や通知、疑義解釈等に示された算定要件に合わないもの)
〔J〕 縦覧点検によるもの
(過去のレセプトと併せて審査する。
 3月に1回等算定期間が定められている診療行為等)
〔Y〕 横覧点検によるもの
(入院・外来レセプトを照合したもの。退院後1ヵ月以内は算定不可等)
〔T〕 突合点検によるもの
(薬局のレセプトと照合される。院外処方箋を発行した医療機関から減点される)
〔F~K〕事務上に関するもの
(F固定点数誤り、G請求点数集計誤り、H縦計計算誤り、Kその他)

※都道府県によって、記号等の表現が異なることがあります。
 

査定に対しては、再審査請求(医療機関再審査)をすることができます。支払基金・国保連合会の定めた様式を作成し請求します。再審査請求期限は原則6カ月となります。再審査の結果、請求が認められると「復活」「一部復活」として後日、診療報酬が支払われます。「原審通り」となると請求は認められません。また、保険者が審査支払機関の結果に納得がいかない場合に行われる再審査(保険者再審査)も存在します。
 
診療報酬は医療機関の経営を支える要となります。患者さんから信頼され、地域に必要とされる医療機関であっても診療報酬を疎かにしてしまえば自院の存続に影響が生じます。

審査機関側は機械的な審査を進めています。医療機関側もレセプトチェックソフトの導入や自院用のカスタマイズ、査定返戻対策を行い診療報酬の減収を防ぐことが重要になります。


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