タイトル/ノータイトル

未然への
トランクにつめこまれた
持続
せいかつが嗅ぎつける無精卵のこきゅう
レシートの束を捨てると
およそ二週間ごと
じぶんの名前がわからなくなる
すべての点呼に口走りそうな
ひあ。にまぎれて
ケシ粒を噛むとくしゃみがでること
書き損じに
挟んだままの栞や
誰がみていたか知らない青空のさけめ
ピー、ピー。
ふじゅんをていねいに濾過したら
正午すぎの郊外のパーキングのように
きみもいなくなる

―――まーた人称ずらしてアリバイづくり?
   ムリムリ。
   あんた喋りすぎるから
―――その大切な失調が、
   歴史や言葉のせいならいーね

夢枕には、ときおり鉄塔が立った
ぼろきれだか占領旗だかが、天井に疲れた風をみせた
所有への手は
みずからのへりをつかんで萎えてゆく
やまいではないめまい
どのわれよりもたえまなく覚めてあるものが
こちらに
傾きつつある気がしていた

―――なんで、わたしから逃げるの?
   しゅたいはないんだにゃーとかどーぶつじみて
   とりあえず聞くけど
   それで楽しい?
  あいしてた
 くせに
うるせえ
卵を割る。外を割るために―――のみ?
のみ。くだす
成熟しない生のなか身を
えずきながら
それでもわずかずつ
からだの欲する態にせいをのばして
いきているだけで
ありがたい
と思え。―――思えよ、生きろ、殺すぞ
ワンルームのせまい浴槽に
沈みはじめる不在たち
洗えない過去よりあふれてくるぬるい水から
あとずさりした葦の
果ての岩礁

(つばさはいらない)
くるぶしまで
あの血に浸かる
わたしが三人称になり
白い殻を、りょう耳にあて
ひあひあと
ありえないもののかわりに鳴いている





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