駐在妻のキャリア相談
過去の自分の悩みを今の自分は解決できるか。
会社を辞めて帯同すると基本的にキャリアはそこで途切れます。帯同ギリギリまで働いていた場合、失業保険すらもらえません!
キャリアが途切れないように努力することもできると思いますが、職種によっては難しいので、キャリアは基本的に途切れると思い切らなければなりません。
私が駐在妻だった頃の話なのでもう大昔ですが、某媒体で駐在妻のキャリアの悩み相談のような連載されている方がいました。
私のいるところと近い国で夫の駐在に帯同されている最中の方で、毎回自分の経歴、帯同することになった経緯、今の自分の現状の自己紹介が入るのですが、「夫が海外赴任中は妻は休職扱いとなり、帰任後も同じポストで働くことが約束される制度を利用して、今は駐在生活をエンジョイしています」という一文が必ず書かれていました。
当時その方は個人ブログもされていましたが、帯同中は思い切ってエンジョイしましょう!という内容でおすすめのお土産やレストランの情報が主でキャリアの話はされていませんでした。
今となってはお悩み相談の本題がどんな内容だったが微塵も覚えていませんが、帯同生活をエンジョイすることが何か他のキャリアにつながるかも!みたいな感じだったと思います。
それよりも毎回毎回しつこいくらいに書かれるその自己紹介にイライラしたことだけ覚えています。
この休職制度は海外赴任が多い会社で、妻も同じ会社の社員だとあり得る制度のようです。この方以外にも何人か同じ制度を利用して来られている方がいましたが、それをひけらかすような方は他にはいませんでした。
もちろん海外生活で得るものもたくさんありました。ただ私のキャリアは途切れました。
それは自分で選んだことです。
振り返ると選ばざるを得なかったからではないかと思ってしまう事もあります。でも余計に苦しく感じるので振り返ってはいけません。これはとても重要なこと。
過去の自分の選択を振り返って後悔するのは自分を苦しめるだけ。
本当に本当に楽しい事、素晴らしい出会いがたくさんあったということは間違いないのです。
そう思うと先述のキャリア相談駐在妻さんの、帯同中は思い切ってエンジョイしましょう!という主張自体は正しかったように思えます。
そう簡単に思い切ることこそが難しいのだけれど、もう海外に来てしまったのだから、今を思いっきり楽しむ。一周回って駐在妻の悩みの解決方法はこれのような気がします。
お友達とのランチ、習い事、日本でもできるのでは?
いいえ、できません。海外ですから。海外ですることは何気ないことでも全て日本ではできないことです。本当に心の底からそう思っています。過去の自分のへの自己弁護でもなんでもなく。たとえ毎日買い物へ行くのが日系の日本語の通じるスーパーマーケットだったとしても、そこは海外なのです。そこに自分の足で行き、自分で商品を手に取り、選び、会計する。セルフレジだっていい。
正直、全てが嫌になって一日中ベッドで寝てたって全然問題ない。だってそれも色々ある海外生活の一部だから。
そこで生きてるだけで色々なことを得ている。何も得ていないと思えたとしても。
海外生活を楽しめなくても、その場所で生きていることだけで成長している。そして誰かにそう言われるのではなく、自分自身ががそう心で思えなければならない。何をしても、何をしなくてもいいけど、そう自分で思えるようになる努力は必要かもしれない。
キャリアが途切れても大丈夫。キャリアは途切れても人生は続くから。人生が続いていく限り人は成長するのだから。
私は過去の自分にそう言ってあげたいと思う。