KSJ松戸2回戦で読んだやつ
去年のあんまし呂布さんの現場行けなかった時期、書いた日記です。(普通にライブ落ち着いてから12月は現場めっちゃ行った)
私は鳴る。
誰の為にと問われれば難しいけれど、どこかで私の歌が誰かに聞いてもらえれば。
そう思いながら、下手くそにリリックを書く。
あの日。深夜にジャージで家を出るのが趣味だった。
下着もつけないで、ジャージだけ着て、
雪の降る街を。凍った道路を
行き場もなく走った。
真っ白な夜に聞いたHIPHOPは痛烈だった。
関連動画を見漁って、海を隔てた遠い街の、遠い日のリリック1曲1曲に祈った。
クリスマスより少しだけ早い日。
吹きすさぶ雪が全部火の粉であればいいと。
灰になってしまえと。
ヤボなこと言わないのに鋭い歌も、予言の歌も、あの日、言葉すらかわさないまま勝手にわたしの武器になった。
壊してくれ。寂れた街も寂しい自分も。
時々あの時の感動を思い出しながら、スクランブル交差点でスクリーンをじっと見ていた。
街を焼いて欲しいと願った福音は、イヤホンを外せば雑踏に紛れて聞こえない。
お金の匂いのする詩は名前のない男の人のセリフとして、並ぶスクリーンの中でも特別小さいところに、アンダーグラウンドなんて知らんぷりして時々流れた。
あの男を、私は知っていた。
『男の人』なんかじゃなくて。
あれはもっと特別な、ディテールを持って私を救った。
嘘っぱちのおばあさんを助けるための詩は変わらず優しかった。
青空。壊れたビルの夢を見る。
私を成す、言葉を想う。
みんな違う中じゃ特別目立つ訳でもなくて、ただ、まっすぐ、綺麗に鳴りたいと思った。
みんな良いと言われたって、特別に鳴りたいと思った。
鈴は歌えない。小鳥は走れない。
憧れた音楽はとうに鳴り終わっていた。
焦がれた声は時間と街に呑まれてしまった。
夢を、見ていた。
爆発する。私が。
全部、その中心に、あの日の私が。
諦めて自暴自棄な私が。
どこか掛け違えた私が。
飲み込んで、前向きな私が。
私を見てくれ。と、爆ぜた。
画して私は全部食うことにした。
過去、見上げたステージに立つ。無視されたステージに立つ。
見えなかった正面が良く見える。
私は確かにあの中の1人だった。
竜になる夢を見た。
竜になる夢を見ていた。
私の目は冴えている。
鼓動は早く、私の声はこの場所で鳴っている。
誰かに聞こえる日を今は夢見ている。
私は、私を背負って、1人。
ステージに立つ。
あの日すれ違った神様はとうに雑踏の中に。
まだ。手のひらの上。